あえてフロント2ウェイに絞って高音質を追求した鈴木さんのトヨタ『ヤリスクロス』。静岡県のWISTERIAでモレルSENSUS62を軸に上質なインストールを完成させた。
◆ミッドバスの音抜けを改善するために、バッフル面積の広いアウターバッフルを製作



前編でもお伝えした通り、ヤリスクロスとは別にメインのオーディオカーを持つ鈴木さん。普段使いのために手に入れたセカンドカーがこのクルマだった。メインカーと同じ傾向のシステムでは面白くないと考え、差別化したオーディオを組むことがテーマになった。そのこだわりのひとつが「フロント2ウェイのシステムで高音質を極める」という方向性だった。
鈴木さんがフロントスピーカーとして選んだのは、モレルのSENSUS62。モレルの中でも比較的コストパフォーマンスに優れた高音質ユニットとして人気を集めているスピーカーだ。取り付けでは、ミッドバスをドア加工によるアウターバッフル化としている点も見どころ。ショップでは、ヤリスクロスのドア環境は過酷だと判断し、インナーではなくアウターにすることでスピーカーのパフォーマンスを存分に発揮できると考え、このスタイルを選択した。
ショップからオーナーへのリサーチでは「ドアポケット・ドリンクホルダーは使わない」とのことだったため、アウターバッフルでドア開口部をすっぽり覆う構造とした。こうして、バッフル面積の広い象徴的なアウターバッフルが完成する。ドアの純正形状にフィットするアウトラインを持たせつつ、面を強調したバッフル形状によって音響特性の良さを引き出す作戦だ。アウター化によって中低域の音抜けを改善し、くっきりとしたサウンドを引き出しているのも、オーナーお気に入りのポイントとなった。
◆Aピラーへのツイーター埋め込みで高域特性を整え、音の良さを確実に引き出す



モレルSENSUS62のツイーターは、Aピラーにシンプルな加工を施してビルトインされている。システムセレクトの時点で、インストールするスピーカーユニットに2ウェイスピーカーという制約を設けたオーナー。それだけに各ユニットの取り付け精度は非常に重要になった。ツイーターはロケーションや取り付け角度を厳選し、高域特性をしっかり引き出す作り込みとしている。
取り付け部を見るとシンプルなデザインながら、ツイーターはしっかり角度付けされており、サウンド面での充実ぶりがうかがえるインストールがされている。オーナーの望みとして「セカンドカーもコンペで戦える仕様にしたい」というリクエストがあったが、取り付け精度の高さと緻密な調整を徹底。すでにコンペで高い成績を収めていることからも、その優れたパフォーマンスがしっかり証明されている。
こうして取り付けられたモレルSENSUS62の2ウェイは、オーナーがヤリスクロスで表現したかった女性ボーカルの艶感を再現。さらに解像度の高いサウンドも特徴となった。お気に入りの音の方向性を見事に表現したスピーカーと取り付けに仕上がっている。
◆DSPアンプ、DAP、電源強化にも配慮し、システム全体のパフォーマンスを高めた




システム面でも、シンプルかつミニマムな構成を目指したのがこのクルマの特徴だ。そのためDSPアンプを用い、調整とフロント2ウェイのドライブを両立させている。選んだのはPlug&PlayブランドのDSPアンプ「Plug&Play 1080」。8チャンネルの内蔵アンプと10チャンネルDSPを備え、システム全体をコントロールできる仕様となっている。操作部と表示部はセンタークラスター下部にさりげなく取り付けた。もともと小型のコントローラーなので、コクピットで過度に主張せず、内装デザインにも自然にフィットしている。
オーディオプレイヤーには高音質DAPであるiBassoのDX300MAXを採用。音源クオリティを高めることで、システム全体のサウンドを底上げするのもオーナーの狙いだ。コンペ参戦の経験を重ねてきたオーナーならではのチョイスといえるだろう。
また、コンペで戦えるクルマに仕上げるポイントとして、電源強化もテーマに加えている。そのためシート下には、電源強化アイテムがインストールされている。サウンドに大きく影響を与える電源部を強化することで、オーナーの望み通りのサウンドへとチューニングし、完成度を高めた。
2台のオーディオカーを使い分ける鈴木さん。セカンドカーであるヤリスクロスは、2ウェイスピーカーのパフォーマンスを極限まで引き出すことがテーマになった。ベテランオーナーらしく細部まで気を配った作り込みによって、完成度の高いサウンドを実現している。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後、出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務した。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連など幅広い分野でライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請け負った。現在もカーオーディオをはじめとした分野で、執筆を中心に活動している。

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