手軽さを取るか本格的に攻めるか… 詳説「システム・メイク術」Part7「パッシブか、アクティブか」その1 | Push on! Mycar-life

手軽さを取るか本格的に攻めるか… 詳説「システム・メイク術」Part7「パッシブか、アクティブか」その1

カーオーディオでは、「どんなシステムを組むか」も悩みどころの1つとなる。そこのところを“楽しみながら”悩んでいただこうと当特集を展開している。今回は「パッシブシステム」と「アクティブシステム」について考える。さて、これらはそれぞれ何なのか…。

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「アクティブクロスオーバー」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。
  • 「アクティブクロスオーバー」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。
  • 「アクティブクロスオーバー」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。
  • 「アクティブクロスオーバー」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。
  • 「アクティブクロスオーバー」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。
  • 「アクティブクロスオーバー」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。
  • 「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(DLS・UPi4)。
  • 「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(DLS・UPi6)。
  • 「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(DLS・UPi36)

カーオーディオでは、「どんなシステムを組むか」も悩みどころの1つとなる。そこのところを“楽しみながら”悩んでいただこうと当特集を展開している。今回は「パッシブシステム」と「アクティブシステム」について考える。さて、これらはそれぞれ何なのか…。

音楽信号の“帯域分割”を何で行うか、も考えるべきポイントの1つ!?

ところでカーオーディオにおいての「システムタイプ」の分類の仕方は、何に着目するかで変わってくる。ちなみに前回までは、「パワーアンプに何を使うか」に着目したときに分類が成り立つ2つのシステムタイプのうちの1つである「内蔵パワーアンプシステム」について考えてきた。なおこのときのもう1つの「システム」とは「外部パワーアンプシステム」だが、それについては回を改めて考察する。

続いて今回からは、「音楽信号の帯域分割を何で行うか」に着目したときに分類がなり成り立つ2つの「システム」について考察していく。そのときの2つの「システム」とは、1つが「パッシブシステム」でもう1つが「アクティブシステム」だ。

最初にそれぞれがどのような「システム」なのかを説明していこう。まず、ここで言う「パッシブ」とは「パッシブクロスオーバーネットワーク」のことを指す。これはセパレートスピーカーに付属している、音楽信号の帯域分割を行うためのパーツだ。例えばセパレート2ウェイスピーカーでは、高音再生をツイーターで中低音再生をミッドウーファーで行うわけだが、このように全帯域の音楽信号を複数のスピーカーユニットで再生する際には、音楽信号の帯域分割を行う装置が必要となる。「パッシブクロスオーバーネットワーク」とはまさしくそれを行う装置だ。

対してここで言う「アクティブ」とは、「アクティブクロスオーバー」のことを指す。例えばメインユニットに内蔵されているプロセッサーの1機能である「クロスオーバー」機能や、外部プロセッサーに搭載されている「クロスオーバー」機能が「アクティブクロスオーバー」にあたる。

「アクティブクロスオーバー」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。「アクティブクロスオーバー」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。

カーオーディオにおいて「パッシブ」と「アクティブ」が意味することとは…。

ちなみに「パッシブ」という言葉には、「受け身の、受動的な、受動態」といった意味があり、「アクティブ」には「積極的、能動的な、能動態」といった意味があるが、カーオーディオにて使われる場合にこれらは、「パワーアンプの後段に置かれるか前段に置かれるか」、この違いを表している。

というわけなので「パッシブクロスオーバーネットワーク」はすなわち、パワーアンプの後段、つまりスピーカーの手前に置かれる。対して「アクティブクロスオーバー」は、メインユニットに内蔵されている場合でもパワーアンプの前段に組み込まれていて、外部プロセッサーもパワーアンプの前段に置かれることとなる。

そしてこの違いこそが、それぞれの利点と不利点を生む。

では、「パッシブシステム」と「アクティブシステム」のそれぞれの利点を説明していこう。まず「パッシブシステム」の利点として真っ先に挙げるべきは、「システムのコンパクト化が可能になること」だ。

というのも「アクティブシステム」では、パワーアンプのch数が多く必要になる。例えば使用するスピーカーが2ウェイの場合、音楽信号は「アクティブクロスオーバー」にてあらかじめ左右計4系統に分割されるので、パワーアンプのch数も計「4ch」が必要となる。

対して「パッシブシステム」では、スピーカーが2ウェイであったとしても3ウェイであったとしても、パワーアンプのch数は「2ch」あれば良い。信号の帯域分割はパワーアンプの後段にて行われるので、信号を増幅する段階ではch数は左右1chずつがあれば良いのだ。

というわけなので、「パッシブシステム」は導入のハードルが低い。愛用しているメインユニットに高度なサウンドチューニング機能が搭載されていなくてもスピーカーを鳴らせる。外部プロセッサーを買い足さなくてもOKだ。

「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(DLS・UPi6)。「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(DLS・UPi6)。

「パッシブシステム」なら、リアスピーカーを殺さなくても良い!

また、リアスピーカーを殺さなくても良いこともメリットだ。メインユニットに「クロスオーバー」機能が搭載されていてそれにて「アクティブシステム」を構築した場合には、内蔵パワーアンプの4chすべてをフロントスピーカーを鳴らすために使い切るので、リアスピーカーは鳴らせなくなる。しかし「パッシブシステム」では、そうはならない。

続いては「アクティブシステム」の利点を説明していこう。それは主には2つある。1つは「スピーカーの駆動力が上がること」で、もう1つは「詳細なサウンド制御を行えること」だ。

それぞれがどのようなことなのかを説明していこう。まず「スピーカーの駆動力が上がる」のはなぜかというと、フロント2ウェイのスピーカーの1つ1つにパワーアンプの1chずつをあてがうこととなるからだ。1chで2つのスピーカーユニットを鳴らす場合と比べて余裕を持って各スピーカーをドライブできる。さらにいえば、スピーカーの振動板を止めたいときの力(制動力)も上がるので、サウンドのキレ味も良くなる。

そして、「詳細なサウンド制御を行える」ことの意味は以下のとおりだ。メインユニットもしくはプロセッサー内であらかじめ信号を分割できるので、各サウンドチューニング機能を分割した信号のそれぞれに効かせられる。結果、細やかなサウンド制御を行える。

ところで「パッシブシステム」を組む場合にも、「アクティブシステム」で得られるようなメリットを享受可能だ。「バイアンプ接続」と呼ばれる接続方法があり、それを実行するとスピーカーの駆動力が上がりサウンド制御もより細やかに行える。

ただしこれを行おうとするときには基本的に、付属の「パッシブクロスオーバーネットワーク」がこれに対応している必要がある。

さて、これについて詳しい解説は次回に行う。続編をお読み逃しのなきように。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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