本格的なカーオーディオシステムを組もうとするとき、「DSP」の使用はマストだ。当特集では、そうである理由からこれの選び方や使い方までを解説していこうと試みている。現在は、これが普及した歴史を振り返っている。今回は2010年代以降の新たな潮流について説明する。
2010年代に、ハイエンドカーオーディオシステム構築法の新たな選択視が登場!?
最初に、ここまで説明してきた内容を極々簡単におさらいしておこう。本格的な「DSP」は、1993年に初登場した。『カロッツェリアX』が誕生し、それに「DSP」が組み込まれていた。なお『カロッツェリアX』の「DSP」は、当システム専用だった。つまり汎用性はない。そして2000年代の半ば頃までは、「DSP」は専用機である場合がほとんどだった。
ところで『カロッツェリアX』は、2010年代の半ば頃までハイエンドシステムを組もうとする愛好家の定番であり続けた。しかし2010年代の半ば頃からは、それに変わる新しいスタイルが愛好家の間で定番化し始める。新しいスタイルとは、「単体DSP」を核とするものだ。ハイレゾ音源が普及し始めて、ハイレゾ音源を再生できるDAP+「単体DSP」、この2つを核とするシステムが、ハイエンドカーオーディオ愛好家に選択されることが増えていく。
前回の記事にてここまで説明したのだが、実は2010年代に入ってからしばらくした頃、もう1つ別の選択肢が誕生している。それは、「DSP内蔵ハイエンドナビ」を使うというものだ。
『ダイヤトーンサウンドナビ』の登場で、ライト層が再び増加!
ところで実をいうと2010年代に入る頃、カーオーディオを楽しむ層は減少傾向にあった。2000年代からAV一体型ナビの使用率が上がり、これをセンタークラスターパネルに装着するとハイエンドメインユニットを別に装着しづらくなる。マニアはなんとかしてハイエンドメインユニットを愛車に積んだが、一般のドライバーはハイエンドメインユニットを敬遠し始めた…。
しかし2012年に、その状況に一石を投じる新製品が出現した。「三菱電機」が『ダイヤトーンサウンドナビ』をリリースしたのだ。これが「DSP内蔵ハイエンドナビ」の初号機だ。
ちなみにそれまでは、ナビとハイエンドカーオーディオユニットの一体化は困難だとされていた。ナビメカはノイズの発生源ともなるからだ。しかし『ダイヤトーンサウンドナビ』はその壁を破ったのだ。
かくして以後は、「DSP内蔵ハイエンドナビ」を核とするという形も本格カーオーディオシステムを構築をしようとするときの1つのスタイルとして定着する。結果、再びライトなカーオーディオ愛好家が増えていく。
「カロッツェリア」も『サイバーナビ』に本格的な「DSP」を搭載!
そしてその後、本家「カロッツェリア」もその流れに追随する。2016年に、通常の『サイバーナビ』に「ネットワークモード」を搭載し、その翌年の2017年モデルには「31バンドイコライザー」も積んだ。通常の『サイバーナビ』がいよいよ、「DSP内蔵ハイエンドナビ」としての機能を持つに至ったわけだ。
また「カロッツェリア」はさらに、2018年に遂にハイエンドAV一体型ナビ『サイバーナビXシリーズ』をリリースする。高音質パーツをふんだんに使い、そして高性能なDSPをも搭載した本格ユニットを市場に投入して注目を集めた。
ちなみに逆にこの頃になると、CDレシーバーを核とする『カロッツェリアX』はいよいよ使われるケースが減っていく。そして2010年代の終盤からは、「単体DSP」を核とするスタイル、もしくは「DSP内蔵ハイエンドナビ」を核とするスタイルこの2つが主流となり、そしたさらにもう1つ新たなスタイルも出現する。新たなスタイルとは、「パワーアンプ内蔵DSP」を使うというというものだ。
それついては、次回の記事にて詳しく説明していく予定だ。お楽しみに。