「プロセッサー」を追加して、音の“聴こえ方”を変える! Part7 機能解説「タイムアライメント」編 | Push on! Mycar-life

「プロセッサー」を追加して、音の“聴こえ方”を変える! Part7 機能解説「タイムアライメント」編

サウンドを制御するためのユニット「プロセッサー」について、選び方、使い方等々を解説している当特集。第7回目となる今回は、「プロセッサー」に搭載されている3大機能のうちの1つ、「タイムアライメント」について深掘りする。

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「タイムアライメント」の設定画面の一例(ダイヤトーンサウンドナビ)。
  • 「タイムアライメント」の設定画面の一例(ダイヤトーンサウンドナビ)。
  • 「クロスオーバー」の設定画面の一例(ダイヤトーンサウンドナビ)。

サウンドを制御するためのユニット「プロセッサー」について、選び方、使い方等々を解説している当特集。第7回目となる今回は、「プロセッサー」に搭載されている3大機能のうちの1つ、「タイムアライメント」について深掘りする。

スピーカーの“発音タイミング”をデジタル処理して整える!

「プロセッサー」にはアナログタイプとデジタルタイプとがあると以前に説明したが、この「タイムアライメント」は、デジタルタイプの「プロセッサー」にしか搭載されていない。なぜなら当機能は、音楽信号をデジタル処理することで初めて可能となる機能だからだ。

ちなみに、当機能を世間に広めたのはご存知、『カロッツェリアX』だ。“カロッツェリア”のハイエンドカーオーディオシリーズ『カロッツェリアX』の普及とともに、当機能はカーオーディオ界に浸透していったと言っていい。その『カロッツェリアX』が誕生したのは1993年。以来、すでに四半世紀以上が経過している。

さて、当機能がどのような役割を果たすのかを改めて解説していこう。当機能は「スピーカーの発音タイミングを揃えるための機能」だ。クルマの中ではリスニングポジションが右か左かのどちらかに片寄る。この状況は、ステレオ音源を楽しむ上では弊害と成り得る。しかしスピーカーの発音タイミングを機械的に揃えられれば、その弊害の解消が可能となるのだ。

もう少し詳しく説明していこう。まずステレオの仕組みからおさらいしておきたい。ステレオ音源は、音楽が左右の2チャンネルに振り分けられて録音されている。そしてそれを左右のスピーカーで再生すると、音楽がリアルに再現される。人間は左右の耳で聴くことで音を立体的に感じ取るのだが、ステレオはいわばそのメカニズムを逆手に取っているというわけなのだ。

なお、このメカニズムを成り立たせるためには、左右のスピーカーの中央で音楽を聴く必要がある。左右のスピーカーから放たれる音を、音量的に等しくそしてタイミング的にも同時に聴かなくてはならないからだ。

スピーカーの取り付け位置に応じて、発音タイミングの“遅延”度合いを変更!

しかしクルマの中ではそれがままならない。センターハンドルのクルマでない限り、左右のスピーカーに対してのセンターの位置に身を置くことは不可能だ。さらに言えば、左右それぞれにおいてもツイーターとミッドウーファーの取り付け位置がバラバラだ。結果車内は、ステレオの効果が得られにくい状況となっている。

でも「タイムアライメント」があれば話が変わる。近くにあるスピーカーほど発音タイミングを遅らせて、すべてのスピーカーから放たれる音が同時にリスナーに届くようにできるのだ。つまり、あたかも全スピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。結果、ステレオのメカニズムが成り立ち、音楽を立体的に感じ取れるようになるというわけなのだ。

なお、このように各スピーカーの発音タイミングを個別に制御するためには、「プロセッサー」に、ツイーターとミッドウーファー間の信号の帯域分割を行えるタイプの「クロスオーバー」機能が搭載されている必要がある。「クロスオーバー」は、スピーカーの取り付け状況に応じて最適な「信号の帯域分割」を行うための機能だが、「タイムアライメント」を緻密に運用するためにも必要なのだ。つまり「タイムアライメント」は「クロスオーバー」とセットで搭載されていてこそ、その効力を最大限発揮できる。

ちなみに、ツイーターとミッドウーファー間に掛けられる「クロスオーバー」が搭載されていないメインユニットにも、「タイムアライメント」機能が搭載されていることがある。このタイプの場合はツイーターとミッドウーファーとを1つのスピーカーと見なして運用することになるのだが、そうであっても「タイムアライメント」が掛けられない場合と比べたら相当にコントロール性が高まる。

『ダイヤトーンサウンドナビ』には、特別な「タイムアライメント」が搭載されている!?

ところで「プロセッサー」にツイーターとミッドウーファー間に効かせられる「クロスオーバー」が搭載されているとき、それによって分割されたそれぞれの音楽信号は(「タイムアライメント」が掛けられた後のそれぞれの音楽信号は)、「プロセッサー」から出力された以降も個別に伝送される必要がある。混ぜてしまうわけにはいかないからだ。ゆえにデジタルタイプの「プロセッサー」を用いる場合には「マルチアンプシステム(スピーカーユニットの1つずつにパワーアンプの1chずつをあてがうシステム)」を構築することがマストとなる。

ただし、三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』に搭載されているスペシャル機能「マルチウェイ・タイムアライメント」では、個別制御した音楽信号を同一回線で伝送できる。音楽信号の帯域分割は、スピーカーの手前に設置されたパッシブクロスオーバーネットワークで行われるのだが、「プロセッサー」内で処理する「クロスオーバー」のクロスポイントをパッシブと同様の値にしておけば、結果的にツイーターとミッドウーファーの個別制御が成立するのだ。

ちなみにこの機能を活用すると、スピーカーは純正のままでしかも配線も純正状態を保ったままでも、ツイーターとミッドウーファーの音の個別制御が実行できる。つまり、「ただナビを交換しただけ」で詳細な「タイムアライメント」の運用が可能となるのだ。

このようなことができるのは今のところ『ダイヤトーンサウンドナビ』だけだ。もしもスペシャルな「タイムアライメント」の運用に興味があれば、『ダイヤトーンサウンドナビ』をチェックしておこう。

さて次回は、アナログタイプの「プロセッサー」について解説していく。お楽しみに。

《太田祥三》

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