音を良くするための第一歩!「スピーカー交換」に挑戦! Part10 “エンクロージャー化”とは? | Push on! Mycar-life

音を良くするための第一歩!「スピーカー交換」に挑戦! Part10 “エンクロージャー化”とは?

「ドライブには音楽が欠かせない」と考えている方々に、「スピーカー交換」の実行を強力に推薦してきた当特集。今回はその最終回として、“エンクロージャー化”について解説していく。スピーカー交換をするにあたってはこのような方法論も有り得えている。

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“エンクロージャー化”されて取り付けられたスピーカーの一例(製作ショップ:プロショップヴォーグ<千葉県>)。
  • “エンクロージャー化”されて取り付けられたスピーカーの一例(製作ショップ:プロショップヴォーグ<千葉県>)。
  • “エンクロージャー化”が推奨されているスピーカーの一例(DLS)。

「ドライブには音楽が欠かせない」と考えている方々に、「スピーカー交換」の実行を強力に推薦してきた当特集。今回はその最終回として、“エンクロージャー化”について解説していく。スピーカー交換をするにあたってはこのような方法論も有り得えている。

初めてのスピーカー交換においてこれが実行されることは多くはないが、知っておいても損はない。じっくりとお読みいただきたい。

クルマのドアは、スピーカーボックスとして条件が良くない!?

最初に、“エンクロージャー化”とは何なのかを説明しよう。これはつまり、スピーカーを“箱(エンクロージャー)”に取り付けて、その“箱”ごとドアに埋め込むというインストールスタイルのことを指す。

ところでホーム用のスピーカーは基本的に、“エンクロージャー”にスピーカーユニットが取り付けられた状態で完成形となっている。対してカーオーディオでは、ドアが“箱”の役目を果たすこととなる。

だが、クルマのドアが完全に“エンクロージャー”の役目を果たせるかというと、実はそうでもない。まず、完全な密閉状態にできるわけではないので、その点がホーム用のスピーカーの“エンクロージャー”と異なっている。

さらには、そもそも音響パーツとして設計されているわけではないので、音響的なコンディションがあまり良くない。鉄板は案外に薄く共振しやすい。また、スピーカーの裏側から放たれる音をドア内部に完全に閉じ込めることもし難い。

それらスピーカーボックスとしての不利要因に対処すべく“デッドニング”が行われるのだが、この作業は勘がものをいう部分も多々あり、ベストなコンディションを作り上げるには経験と技術が必要となる。極論を言えば失敗も有り得る。

しかし、“エンクロージャー化”というワザを繰り出せば話が変わる。スピーカーを“コントロール下”に置きやすくなるのだ。

不確定要素が減るので、鳴り方をコントロールしやすくなる!

“エンクロージャー化”するとなぜにスピーカーをコントロール下に置けるのかというと…。

1つ目のポイントは、「ボックスの容量を計算して設計できること」にある。スピーカーはボックスの容量が変わると鳴り方も変わる。逆に言うと、容量を計算して設計することで鳴り方を変えることも可能となる。対して“エンクロージャー化”しない場合には、ドア内部の容量を正確に量ることは難しく、そもそも密閉できていないので容量が分かったところであまり意味をなさない。さらにいえば容量を変えることも不可能だ。

また、“エンクロージャー化”すれば鉄板が共振することもなくなるし、背圧(スピーカーの裏側から放たれる音エネルギー)を制御する必要もなくなる。不確定要素を相当に減らせる。良いことずくめ、というわけなのだ。

ただし…。取り付けのハードルは相当に高い。特に、16.5cmとか17cmクラスのスピーカーの場合は、必要容量が多くなるので、“箱”そのものをある程度大きく作らざるを得ない。結果、ドア内部に組み込もうとすると、相応に大がかりな改造が必要になる。

しかしながら、ハイエンドシステムを搭載するユーザーの中には、敢えてこれに挑戦する強者もいる。ベース車両がそれなりの車格でなければ難しいのだが、そうであれば、ドア内部の形状に追従する形で“エンクロージャー”を造形して可能な限りの容量を確保させ、そしてドア内部の鉄板等々を必要に応じてカットするなどの処置がなされ、“エンクロージャー化”が果たされる。

“エンクロージャー化”が推奨されているスピーカーも存在!

ちなみに、国産ハイエンドカーオーディオブランドの“ビーウィズ”のフラッグシップスピーカー『コンフィデンス・シリーズ』等では、“エンクロージャー化”されるのが一般的だ。それがしやすいように、『コンフィデンス・シリーズ』やセカンドラインとなる『アキュレート・シリーズ』のミッドウーファーは、口径が少々小さめに作られている(13cm)。そのくらいのサイズであれば、“エンクロージャー”の容量も少なくできる。“エンクロージャー化”が現実的になってくる、というわけなのだ。

なお、口径が小さくなると低音再生には不利が生じるが、“エンクロージャー”を“バスレフ”仕様にすればレンジを伸ばせる。ゆえに“ビーウィズ”スピーカーの取り付けにおいては“バスレフ”タイプの“エンクロージャー”が用いられることが多くなっている。

ところで、“エンクロージャー化”が推奨されているスピーカーは他にもある。スウェーデン発のHi-Fiカーオーディオブランドの“DLS”は、フラッグシップスピーカーである『スカンジナビア・シリーズ』に、それをラインナップさせている。同シリーズは、3ウェイスピーカーをユニット単位(ペア)で販売しているのだが、ミッドウーファーは2タイプが用意されていて、そのうちの1つは、3ウェイ専用モデルでありかつ“エンクロージャー”に取り付けることが前提で設計されている。世界を見渡せば、そのようなスペシャルモデルも存在している、というわけだ。

さて、計10回にわたりお贈りしてきた当特集はいかがだったろうか。とにもかくにも、カーオーディオの音を良くしようと思ったら、「スピーカー交換」が手っ取り早く、そして好結果も得られやすい。ぜひトライを♪

《太田祥三》

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