“最初の本格システム”を組むのに“使える”モデルはどれ? エントリー4chパワーアンプ、一挙6モデル聴き比べ! Part.3 | Push on! Mycar-life

“最初の本格システム”を組むのに“使える”モデルはどれ? エントリー4chパワーアンプ、一挙6モデル聴き比べ! Part.3

純正状態のカーオーディオシステムの音を良くしようと考えたときの、定番の“最初の一手”は、“スピーカー交換”である。そしてそこからさらにサウンドを向上させようと思ったら、次なるプランとして浮上するのは、“パワーアンプの追加”だ。

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“最初の本格システム”を組むのに“使える”モデルはどれ? エントリー4chパワーアンプ、一挙6モデル聴き比べ! Part.3
  • “最初の本格システム”を組むのに“使える”モデルはどれ? エントリー4chパワーアンプ、一挙6モデル聴き比べ! Part.3
  • MMATS PRO AUDIO・MPA470
  • IMAGE DYNAMICS・i4500

純正状態のカーオーディオシステムの音を良くしようと考えたときの、定番の“最初の一手”は、“スピーカー交換”である。そしてそこからさらにサウンドを向上させようと思ったら、次なるプランとして浮上するのは、“パワーアンプの追加”だ。

“外部パワーアンプ”を使ってシステムを“本格化”させることで、余裕を持ってスピーカーを駆動できるようになる。結果、情報量が増え解像度が上がり、サウンドが豊かに響きだす。

そんな楽しさを現実のものとすることが可能な、実力ある“エントリー4chパワーアンプ”をご紹介している。今週はその最終回として、5万円台後半の人気機種2台についてのインプレッション・リポートをお贈りする。

なお、今回の試聴には、リファレンススピーカーとして「グラウンドゼロ」の『GZUC 650SQX』(税抜価格:6万5000円)を使用した。テスト機のフロントchのみを使い、クロスオーバーは『GZUC 650SQX』に付属しているパッシブクロスオーバーネットワークで行っている。ケーブル類は「モンスターカーオーディオ」の精鋭で統一した。

“鮮やか”なサウンド傾向。エネルギッシュにスピーカーを鳴らしたいと思うなら、要チェック。


では早速、本編に進んでいこう。5台目としてテストしたパワーアンプは、こちらだ。

MMATS PRO AUDIO・MPA470

●Entry No.5
MMATS PRO AUDIO・MPA470(税抜価格:5万7000円)
●仕様:Class-A/B 4ch(4/3/2ch)パワーアンプ
●定格出力:70W×4(4Ω)、110W×4(2Ω)、220Wx2(4Ωブリッジ) ●周波数特性:10Hz-22kHz(±1dB) ●S/N比:103dB ●クロスオーバー:ハイパス50Hz-500Hz/500Hz-5kHz(-12dB/oct)、ローパス50Hz-500Hz/500Hz-5kHz(-12dB/oct) ●サイズ(幅×奥行×高さ):282×195×56mm ●質量:2.80kg ●実装ヒューズ:40A ☆BASS BOOST(0-+18dB)
1990年創業の、実力アメリカンブランドの1つである「マッツ プロオーディオ」。スピーカー、サブウーファー、そしてパワーアンプまでを擁する総合カーオーディオブランドであり、パワーアンプに関しては計4ラインを持っている。製品ラインナップはなかなかに豊富だ。

そのパワーアンプ4ラインの中で、もっともお手頃なのがこの『MPAシリーズ』だ。2chモデルと4chモデルはそれぞれ2機種あり、さらにモノchモデルも1機種用意されている。当機はその中の、よりリーズナブルなほうの4chモデルだ。

デザインは、どちらかと言えばシンプル路線。しかしながらアルミのボディにヘアラインをあしらって高級感を演出しつつ、トップパネル中央には大きめにブランドロゴが入れられていて、存在感は高い。サイズはほど良くコンパクト。多くの車種でシート下に収められそうだ。

機能的には、クロスオーバーに周波数切り換えスイッチが備えられているあたりが注目点。クロスオーバー機能を、フロントスピーカーとサブウーファー間、もしくは、トゥイーターとミッドウーファー間のどちらでも適用可能だ。

ルックス的にも機能的にもムダがなく、要所を押さえた設計になっている、という印象のパワーアンプだ。

さて、音のほうはどうだったのだろうか。

1曲目のイントロを聴き終わったあたりでまず感じたのは、サウンドの“鮮やかさ”だ。基本的にはバランスはニュートラル。どこかが強調されているというわけではないのだが、全体的にゴージャスな音色傾向であったのだ。これにハマると抜け出し難い、クセになるタイプのサウンドである。

質感も上々だ。高域の解像度も十分確保されていて、低域もほどよく締まりパンチも効いている。ダイナミックレンジもなかなかに広く、説得力たっぷりに楽曲を表現できている。余韻の消え方にも好感が持てた。艶やかで、きらびやかだ。

聴かせ上手なパワーアンプだと思う。特に、明るめの曲や、ノリの良い音楽が好きならば、当機は有力な候補になり得るだろう。エネルギッシュにスピーカーを鳴らしたいと考えている方は、当機を要チェック。『マッツ プロオーディオ・MPA470』なら、インパクトあるサウンドを奏でられるはずである。

純粋なHi-Fiサウンドなのか? と聴かれれば違うと答える。では音が悪いのか? と聴かれればそれも違うと答える。このアンプの特徴はとにかく“色気”があるということ。高域&低域が少し強調されているのだが、ドンシャリとは違う。色艶増し増し華やかさをトッピング、それが感じられるアンプの特徴だ。質は悪くない、価格を考えれば逆に良いぐらいで、そこに加わる餡掛けが好きか嫌いかの話となる。好きな人にはたまらない製品であり、純粋なHi-Fiが好きな人には味の濃い製品だ。(藤澤純一)

至って聴きやすい、正統的なHi-Fi方向のサウンド。生真面目なパワーアンプ。


いよいよ、最後の1台となった。6台目として聴いたのは、こちらのモデルだ。

IMAGE DYNAMICS・i4500

●Entry No.6
IMAGE DYNAMICS・i4500(税抜価格:5万7000円)
●仕様:Class-A/B 4ch(4/3/2ch)パワーアンプ
●定格出力:75W×4(4Ω)、115W×4(2Ω)、230W×2(4Ωブリッジ) ●周波数特性:20Hz-22kHz(±1dB) ●S/N比:94dB ●入力感度:500mV-4V ●クロスオーバー:ハイパス40-250Hz(-12dB/oct)、ローパス40-250Hz(-12dB/oct) ●サイズ(幅×奥行×高さ):379×203×60mm ●質量:4.86kg ●実装ヒューズ:30A×2 ☆BASS EQ(0-+18dB) ◎プリアウト(パススルー出力端子)装備
かつてはサウンドコンペティターたちに絶大な支持を得て一時代を築いた「イメージダイナミクス」。音に対して生真面目な、優良アメリカンブランドである。

パワーアンプは計3ラインを持っている。いずれもロングセラーを続けている実力シリーズだ。その中で、もっともリーズナブルなのが、この「Iシリーズ」だ。4機種でシリーズが構成されていて、内訳は、2chモデル×2機種、そして4chモデルと5chモデルが1機種ずつとなっている。

ルックスには落ち着きがあり、そして、適度に高級感もある。象徴的なのはヒートシンクのデザインだ。出っ張り度合いを最小に押さえながら密にラインを刻むことで、絶妙に気品を醸し出す。ロゴも主張し過ぎることはなく、しかし印象には強く残る。

機能はシンプル。クロスオーバーも、フロントスピーカーとサブウーファー間でのみ使用可能なスタンダードなタイプとなっている。しかしながら、BASS EQとサブウーファーアンプ用のプリアウトが備わっているので、使い勝手は良さそうだ。

まずは見た目や作りから、“イメダイ”らしい生真面目さが伝わってきたのだが、音はどうだろうか…。

サウンドからも、らしさがひしひしと伝わってきた。さすがはコンペティター御用達ブランドだ。エントリーモデルでありながら、正統的なHi-Fi方向の音だった。至って聴きやすい。

高域は繊細でスムーズ。音数も多く、ほどよくツヤもある。粒立ちも良く、音の分離感も申し分ない。中域の充実している。そして、低域も良質だ。タイトで、密度感も十二分に確保されていて、躍動感も上々。さらにはレスポンスも速いので、リズムの刻みもシャープだ。コストパフォーマンスは高い。

この音を気に入る人は多いはずだ。このところ新機種の登場がなく、目立つことの少なかった「イメージダイナミクス」ではあるが、その実力に陰りはない。安心して聴ける、正確なサウンドを奏でてくれるパワーアンプをお探しならば、「イメージダイナミクス・i4500」のこともお忘れなきように。聴き応えある確かなモデルだ。

マッツの後に聴いたので・・・『もっと前に出ておいで』と思ってしまう。大人しめでゆったりとした音調、ステージ一歩後ろで鳴っている感覚。しかし一定時間聴き込むと音の暖かさがとても感じられて優しい気持ちになってくる。適度な分解能、密度を感じるフラットなバランスと悪いどころか良さを多く感じられるスルメ的製品。分かる人には分かる、好きな人はとことん好きになれるパワーアンプなので、購入前に自分の好きな曲を何回も聴いてみて欲しい。(藤澤純一)

今回の比較試聴記は、以上を持って終了だ。最初のパワーアンプの導入を考えている方々の参考になったのならばうれしいのだが…。

取材を通して、「エントリーモデルであっても、外部パワーアンプの良さを満足度高く味わえる」ことをつくづく感じた。スピーカー交換を終えている貴方は、そろそろ次のステップに歩を進めてみてはいかがだろうか。“外部パワーアンプ”を導入すれば、カーオーディオは今よりもっと、楽しくなる。

《太田祥三》

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