【プロに訊く】音楽ジャンル別・システム構築術&サウンドチューニング術、徹底検証! Part.4「ジャズ編」 | Push on! Mycar-life

【プロに訊く】音楽ジャンル別・システム構築術&サウンドチューニング術、徹底検証! Part.4「ジャズ編」

音楽ジャンルごとのシステム構築術とチューニング術を研究している。プロショップに取材して、それぞれのジャンルに対しての、“向いたスピーカー”や、“おすすめの調整法”を教えていただいている。今週はその第4回目として、“ジャズ”をテーマにお届けする。

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3ウェイスピーカーの、“トゥイーター”と“ミッドレンジ”の装着例。製作:アミューズ(広島県)。

音楽ジャンルごとのシステム構築術とチューニング術を研究している。プロショップに取材して、それぞれのジャンルに対しての、“向いたスピーカー”や、“おすすめの調整法”を教えていただいている。今週はその第4回目として、“ジャズ”をテーマにお届けする。

今回は、広島県の実力ショップ、“アミューズ”の岡本さんにご協力いただいた。ベテランインストーラーである岡本さんに、「ジャズ向き」のカーオーディオシステム&チューニング法について、根掘り葉掘りお訊きした。

■柔らかな音色のスピーカーが“ジャズ”に向く。さらには、“感動力”も大事。

最初に、“ジャズ”に向いているスピーカーのタイプからお訊きした。

「あくまでも個人的な考えなのですが、ボーカルものにしても、インストゥルメンタルにしても、“ジャズ”においては特に“生っぽさ”を表現できるかどうかがキモになると思うんですね。“温度感”と言ったらいいでしょうか。カチッとした雰囲気よりは、柔らかさが出たほうが有利だと思います。となると、振動板の素材は、紙とか繊維系のものが向いています。天然素材でできている振動板のほうが、柔らかな音がすると思うんですよね。

トゥイーターもどちらかと言えば、金属系の振動板よりは、シルクドーム系が良いと思います。金属系は高域が伸びますが、それに対して非金属系のトゥイーターはそれよりはナローな傾向にはなりますが、だとしても、“ジャズ”には合うと思うんです。柔らかな音を出せるトゥイーターのほうが、“ジャズ”にハマると思うんですよね。

あとは、“音楽性”を感じさせるスピーカーが向いていると思います。原音をそのまま再現できるかどうかがスピーカーに求められる要素なのですが、こと“ジャズ”に関してはそれ以上に、感動できるかどうか、が重要だと思うんです。そこに着目して、スピーカー選びをされると良いと思います」

次には、サブウーファーの必要度についてお訊きした。

「もちろん、サブウーファーがあるに越したことはないのですが、その前に、フロントスピーカーをしっかり鳴らすことが大事だと考えています。フロントでしっかり下まで出せれば、必ずしもサブウーファーがなくても、“ジャズ”の醍醐味は味わえると思います。ビート系の音楽のように、低域にパンチを効かさなければならない、というわけではないですから。

ミッドウーファーをしっかり鳴らすためにするべきことが残っている場合は、まずは、そちらを優先させたほうが良いですね。そのほうが、満足度が上がると思います」

■ウッドベースが“それらしく”聴こえるように、イコライザーを駆使。

続いては、“ジャズ”を気持ち良く聴くためのサウンドチューニングテクニックについてお訊きした。

「“ジャズ”に限りませんが、まずは高域のピークを取ることから始めたいですね。高域でうるさく感じるところを押さえて、全体のバランスを整えましょう。そしてその次には、弦楽器の音色の再現性に着目して調整を進めていくと良いのではないでしょうか。特に、ウッドベースです。音色がそれっぽいかどうか、ここに着目したいですよね。

弦楽器の音をそれっぽくするためのコツは…。ポイントは、50~200Hzあたりにあると思います。そのあたりを上げ下げしてみて、弦楽器の音色がそれらしく聴こえてくるように。このとき、低いところを触っていながらも、耳では弦楽器の音域全体を聴きたいですね。下を触ると上の音にも変化が現れますから。下を操作しながら、全体にどのような変化が出るかを聴き分けながらやると良いと思います」

さらには、サブウーファーを導入した際の調整方法もお訊きした。

「まず、フロントスピーカーとのクロスポイントは、50Hzとか63Hzといった、低めのところで設定すると良いと思います。サブウーファーには音階を演奏できる楽器の音はほぼ担当させずに、空気感や、その場にいる雰囲気を演出するための音を受け持たせる、というイメージですね。音階を演奏できる楽器の音は、ミッドウーファーで鳴らせば良いと思うんです。そうしたほうが、サウンドがまとまりやすいんですよ」

最後に、トゥイーターとミッドウーファーのクロスオーバーについて、さらには、2ウェイと3ウェイ、どちらが良いのかについてお訊きした。

「トゥイーターとミッドウーファーのクロスポイントの決め方は製品や車種によって変わってきますが、スロープに関しては、こと“ジャズ”を聴くときには、緩やかなタイプを選択したほうがいいと思います。急峻なスロープにすると、サウンドがソリッドになっていく傾向がありますが、“ジャズ”の場合は、柔らかさや、ナチュラルさを出せたほうが良いと思うんですね。となると、スロープは緩やかなほうが良い結果が得られやすいんです。

2ウェイと3ウェイについては、断然、3ウェイをおすすめしたいですね。中域の音数が違いますから。ノリが良ければOKというタイプの音楽ではないですし、中域の解像度は大事です。その点においては、3ウェイのほうが有利なんです。“ジャズ”を突き詰めようとすると、予算が多めにかかりがちですよね(笑)。だからこそ、やり甲斐があるジャンルでもあると思います。いろいろとこだわって、自分好みのシステムに仕上げていっていただきたいですね」

いかがだったろうか。今回も、具体的な話がたくさん聴けた。“ジャズ”好きな方もそうでない方も、アミューズ・岡本さんの話をご参考に、ご自身のシステムを発達させていただきたい。

次週は最終回として、“ロック”向きなシステム&チューニングについて考えていこうと思う。お楽しみに。

《太田祥三》

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