【カーオーディオ深層探究】トゥイーターのインストール学 Section.3 「角度」について 取材協力/ラ・ルース | Push on! Mycar-life

【カーオーディオ深層探究】トゥイーターのインストール学 Section.3 「角度」について 取材協力/ラ・ルース

「トゥイーターのインストール学」と題し、トゥイーターを取り付ける上でのセオリーの数々を、1つ1つ検証している。それにより、カーオーディオの奥深さを探究せんと試みている。第3回目となる今回は、「角度」について掘り下げていく。

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カロッツェリア・TS-Z1000RSのトゥイーター

「トゥイーターのインストール学」と題し、トゥイーターを取り付ける上でのセオリーの数々を、1つ1つ検証している。それにより、カーオーディオの奥深さを探究せんと試みている。第3回目となる今回は、「角度」について掘り下げていく。

今回は、福井県の実力ショップ「ラ・ルース」の米田さんにご協力いただいた。早速、お訊きしたお話をご紹介していこう。米田さんは、どのような観点でトゥイーターの角度を決めているのだろうか。

「トゥイーターの角度を決めるにあたって私がもっとも重視しているのは、“反射の影響を受けないように”、ということです。もろもろを勘案して取り付け場所を決めたら、その場所において、もっとも反射の影響を受けにくい角度を探していきます。ガラス、ダッシュボード、メーターフード等々、すべてについて検討します。

とはいえ、反射の影響をゼロにすることは不可能です。なので、放っておいても良いものと、放っておけないものを見極めることが大事になりますね。

結果としては、リスナーに正対させるよりも少々ずれた角度に落ち着くことが多いです。本来ならば、正対させるのが音質的はもっとも有利なのですが、正対させると反射の影響も大きくなりがちです。例えば、右側(運転席側)のトゥイーターをAピラーに着けて自分に正対させたとすると、サイドのガラスへの反射の影響が大きくなってしまいます。

正対させることで得られるメリットを重んじる、という考え方もあるのですが、私の場合は、反射によるデメリットを減らすことを優先して考えているんです」

ちなみに、米田さんが考える“反射によるデメリット”とは、どのようなものなのだろうか。

「ピークやディップが引き起こされることですね。特にやっかいなのはディップです。反射によるキャンセリングが起こってしまったら、イコライザーで持ち上げようとしても持ち上がりません。そもそも音が消えているわけですから。ピークに対してはある程度イコライザーで対処できますが、イコライザーの使用はできるだけ最少に留められたほうが有利です。イコライザーを操作することで位相ズレが起きますので、多くを触るほど難易度も上がっていきます。というわけで、ピークもディップも出ないほうが良いと考えているんですよ」

では、反射の少ない角度を決めるにあたっての“傾向と対策”はあるのだろうか。

「長年にわたっていろいろとテストをしてきて、どういう状況のときにどのような悪影響が出るのかを掴んではいるのですが、要因がさまざまありますので、一概には言えないですね。

トゥイーターのタイプによっても状況は異なります。例えば、ドーム型のトゥイーターの場合は、音が広範囲に広がっていきますので、反射の影響が多岐に及びます。でも逆に、強い悪影響は出にくかったりもしますね。それに対して指向性が強いタイプのトゥイーターになると、影響が強く出てしまう角度がありますので、その角度は特に避けるべきです。ですので、角度を決める作業を、より慎重に行う必要が出てきますね。成功と失敗の差が、大きくなってしまうんです。

また、フランジの大きいタイプのトゥイーターは、後ろ側に音が回りにくいので、角度決めがしやすいですね。逆に後ろ側に音が回り込みやすいタイプのトゥイーターは、反射の影響も大きくなりますから、角度の選定はよりシビアに行う必要が出てきます。

その場合は、リングを工夫して対処したりもしますね。リングを立てて、後ろ側に音が回り込みにくいようにするんです。さらにリングのフィニッシュも工夫します。有利なのは植毛ペイントか、布系の生地を巻く仕上げ方です。これらは音を反射しにくいので、悪影響が出にくいのです。

トゥイーターの角度を決める作業は、難しい作業ですよね。考え方もさまざまありますし。でも私は、反射をコントロールすることに妙味があると考えているんです。一筋縄ではいきませんが、重要であることは確かです」

トゥイーターの“角度決め”は、シビアかつデリケートな項目なのだ。あちらを立てればこちらが立たないという中で、いかに創意工夫を発揮させるか、そこが各ショップごとの腕の見せ所、というわけなのだろう。

そして、米田さんの言うように、反射の影響が少ないに越したことがないこともまた事実だと思う。“反射を制すものはトゥイーターを制す”、ということなのかもしれない。

さて、次回は“クロスオーバー”について深く検証していく。次回もお読み逃しなきように。

《太田祥三》

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