プロが伝授する、本格サウンドチューニング術!「基本と応用」第3回「タイムアライメントの詳細設定」 | Push on! Mycar-life

プロが伝授する、本格サウンドチューニング術!「基本と応用」第3回「タイムアライメントの詳細設定」

音調整を自分でもやってみたい、そう思っているカーオーディオ中級者以上の方々に向けて、プロのノウハウを紹介する短期集中連載をお届けしている。想定システムは、「フロント2ウェイ+サブウーファー」。それを緻密にコントロールする方法を解説している。

カーオーディオ カーオーディオ特集記事
ダイヤトーンサウンドナビの“タイムアライメント”の設定画面。
  • ダイヤトーンサウンドナビの“タイムアライメント”の設定画面。
  • トヨタ・オーリス(製作:アミューズ、オーナー:吉国陽介さん)
  • トヨタ・オーリス(製作:アミューズ、オーナー:吉国陽介さん)
  • トヨタ・オーリス(製作:アミューズ、オーナー:吉国陽介さん)
  • トヨタ・オーリス(製作:アミューズ、オーナー:吉国陽介さん)

音調整を自分でもやってみたい、そう思っているカーオーディオ中級者以上の方々に向けて、プロのノウハウを紹介する短期集中連載をお届けしている。想定システムは、「フロント2ウェイ+サブウーファー」。それを緻密にコントロールする方法を解説している。

なお今回は、システムに高度な“DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)”が備わっていることを前提に話を進めている。もしもここで紹介しているサウンドチューニングを実践してみたいと思ったら、本格的な“DSP”をシステムに取り入れる必要がある。

ちなみに、高性能な“DSP”を搭載したAV一体型ナビや、パワーアンプを内蔵した使いやすい「パワーアンプ内蔵DSP」もいろいろと出ている。というわけで手軽に“DSP”を導入する方法もいくつかあるので、もしもサウンドチューニングに興味があれば、お近くのカーオーディオプロショップに足を運んでみよう。愛車の状況にあったサウンドチューニングを楽しめるシステム構築法を、いろいろと提案してもらえるはずだ。

さて、本題に入ろう。第3回目となる今回は、広島県の人気ショップ“アミューズ”の岡本さんにご協力をお願いし、“タイムアライメント”調整に関する話を中心に、基礎設定から詳細設定に至る手順を教えてもらった。

ところで、毎回冒頭で説明しているとおり、サウンドチューニングのやり方は、プロショップごとでさまざまだ。今回紹介する方法以外にもやり方は多々存在している。いろいろな流儀を知り、いろいろと試し、その中から自分にとってしっくりくる方法を見つけてほしい。また、本命の設定はプロショップにお願いすべきであることも、重ねてお伝えしておきたい。機器の性能を十分に引き出すためにも、まずはプロの技術に頼ったほうが良い結果を得られやすい。その上で自分でもやってみることを、当サイトでは推奨している。

では、岡本さん流のやり方を紹介していく。じっくりとお読みいただきたい。

■まずは仮設定。接続が正しく行われているかも同時にチェック。

今回も、仮設定のやり方から教えてもらった。

「“タイムアライメント”の仮設定は、距離を実測して行います。左耳から左側の各スピーカーまで、右耳から右側の各スピーカーまで、大体の距離を測ればOKです。ちなみに当店では、“レーザー距離計”を使って計測しています。レーザーを当てるだけで距離が測れるのでとても便利です。そんなに高額な機械ではありませんから、持っていてもいいかもしれないですね。おすすめです。

一方“クロスオーバー”は、ツィーターの“カットオフ周波数”を5kHzあたりに設定し、ミッドウーファーはとりあえずフルレンジで鳴らしておきます。サブウーファーの“ローパス(ハイカット)”は、63Hz、もしくは80Hz、このどちらかでいいと思います。

なお仮設定時には、基本事項の確認も行います。各スピーカーからしっかり音が出ているか、プラスとマイナスの接続が間違っていないか等々もチェックしておきます。

仮設定後は、“タイムアライメント”の基礎設定に入ります。当店の場合は、ツィーターとサブウーファーをミュートして、左右のミッドウーファー間の調整から始めます。

このとき、遠い側のミッドウーファーの数値は変えません。そこは固定しておかないと、のちのち迷宮に入り込むことにもなりかねません。操作するのは近い方だけです。“タイムアライメント”と“音量”を変化させて、センター定位を有るべき位置に持っていきます。

ちなみに“タイムアライメント”の調整時には、ソロボーカルの音源を使っています。奏者が1人なので、ターゲットを絞れますから」

■「まずはセンター定位を、点ではなく、タテのライン上に合わせていきます」

話を続けてもらった。

「センター定位の位置は、リスニングポジションから見て正面よりやや左側(右ハンドルの場合)に置くようにしていますが、お客様の好みによって臨機応変に変えています。真正面にあるほうが好きな方もいますし、ダッシュボード上の中央に持っていきたい方もいらっしゃいますから。

なお、ミッドウーファー間の“タイムアライメント”の基礎設定時には、上下の高さはそれほど気にしません。点で合わせるというよりも、線で合わせるイメージですね。

大体が整ったら、続いては左右のツィーター間の調整に移ります。今度はミッドウーファーをミュートしてツィーターの音だけを聴き、先ほどと同じライン上にセンター定位がくるように、“音量”と“タイムアライメント”を微調整していきます。

左右のツィーター間の調整が終わったら、いよいよフロントスピーカーをすべて鳴らして、全体のバランスを整えます。このとき理論上は、センター定位はタテのライン上に揃っているはずなのですが、高い音を歌っているときと低いメロディのときとでセンターイメージの位置がずれるようなら、ツィーターとミッドウーファーとのズレが生じていると判断できますので、さらに微調整を加えます。

このときには、左右をペアで動かします。例えばツィーターを動かすときに、右のツィーターを2cm遠くに移動させたら左のツィーターも同じように2cm遠くに移動させます。このように、“タイムアライメント”と“音量”を微調整しながら、大体のまとまり感を作っていきます」

■「ツィーターとミッドウーファーの繋がりが良好になるように、“クロスオーバー”を整える」

フロントスピーカーの“タイムアライメント”を合わせたら、今度はツィーターとミッドウーファーとの“クロスオーバー”調整に進んでいく。

「帯域バランスがより均一になるように、そしてツィーターとミッドウーファーの繋がりが良好になるように、“クロスオーバー”を整えていきます。とは言ってもここもまだ基礎調整の範疇ですから、シビアに追い込んでいかなくても大丈夫です」

その後は、サブウーファーの調整に進む。

「フロントスピーカーの低域再生の限界を見極めることから始めます。ある程度下までしっかり鳴らせるスピーカーならば、“ハイパス”は63Hzに、そうでなければ80Hzに設定しておきます。

そしてそれに合わせてサブウーファーの“ローパス(ハイカット)”を設定した後、今度はサブウーファーの、“タイムアライメント”、“音量”、“正相・逆相切り替え”を総合的に調整して、サブウーファーの音とミッドウーファーの音との一体感を高めていきます。一体感が出てくると、後ろを振り返っても低音が後方からは聴こえてこなくなります。この状態を目指したいですね。

なお、サブウーファーの“タイムアライメント”は、この段階では全然合っていないということもあり得ます。サブウーファーの反応スピードも影響してきますから。

ちなみに基礎設定の段階では、フロントスピーカーの“タイムアライメント”は1cm刻みくらいで変えていくのですが、サブウーファーは10cm刻みで動かします。サブウーファーは変化がわかりにくいですから。大きく動かすと、良い方向に行ったのかそうでないのかを把握しやすいと思います」

■「AとB、2択でどちらが良いかを比べながら煮詰めていく」

さて、以上で基礎設定は終了するのだが、調整は言ってみればこの後が本番となる。

「この段階である程度はまとまっているはずなのですが、ここからさらに、良くするためのトライを重ねていきます。

“スロープ”、“カットオフ周波数”、“音量”、“タイムアライメント”、それぞれについて、都度AとB、どちらが良いかを細かく検討していくんです。例えば右のツィーターの“タイムアライメント”を90cmと91cmでどちらがいいか、とか。そうして1つ1つつぶしていき、もっとも良い値を探っていきます。思いもよらないところで良くなったりもしますので、あまり決めつけてかからないほうがいいかもしれませんね。いろいろな可能性を試すようにしています。

値は小刻みに変えます。最近の“DSP”は優秀なので、少し変えただけでリニアに音が変化します。その点、以前と比べて調整はしやすくなりましたね。

細かなテクニックですが、サブウーファーがなかなかな合わないときに、ミッドウーファーの音をミュートして、ツィーターとサブウーファー間の繋がりを確認するというのもアリです。ミッドの音を消すことで、フロントスピーカーとサブウーファーのタイミングのズレがはっきりわかることもあるんです。

あと、根を詰め過ぎないこともコツだと思います。私の場合は、15分くらいやったら一旦耳を休めるようにしています。また、調整に使う音源は、調整においての向き不向きを考えることも大事なのですが、それ以前に、自分が好きな曲であることも重要です。そうでないと調整がつまらなくなってしまいますから。楽しみながらやっていただきたいですね」

岡本さんに聞いた話は以上だ。サウンドチューニングを実践するにあたっての、指針となる話をたっぷり聞くことができた。

いろいろと試して、どう操作するとどう音が変わるのか、その経験則を積み上げていこう。そうすれば徐々にチューニング技術は向上していくはずだ。トライあるのみ♪

《太田祥三》

特集

関連ニュース

page top