[カーオーディオ“なぜ?”]サブウーファーを後ろに置いても低音は前から聴こえる | Push on! Mycar-life

[カーオーディオ“なぜ?”]サブウーファーを後ろに置いても低音は前から聴こえる

カーオーディオを趣味として楽しもうとすると、専門知識が必要となる局面にしばしば出くわす。ゆえにビギナーを、“分かりづらい”と困惑させがちだ。当連載は、その“分かりづらさ”の解消を目指して展開している。

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「サブウーファー」をトランク設置したオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。
  • 「サブウーファー」をトランク設置したオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。
  • 「サブウーファー」をトランク設置したオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。
  • 「サブウーファー」をトランク設置したオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。
  • 「サブウーファー」をトランク設置したオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。
  • 「サブウーファー」をトランク設置したオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。
  • ボックスタイプの「パワードサブウーファー」の一例(カロッツェリア・TS-WX1210A)。

カーオーディオを趣味として楽しもうとすると、専門知識が必要となる局面にしばしば出くわす。ゆえにビギナーを、“分かりづらい”と困惑させがちだ。当連載は、その“分かりづらさ”の解消を目指して展開している。

今回は「サブウーファー」が後方に置かれても低音が前から聴こえてくるそのワケを説明していく。

◆本来スピーカーは前方に設置するべき。しかし「サブウーファー」は前には置けない…。

ところでホームオーディオでは、ステレオ音源を聴くためのシステムではスピーカーはリスナーの前方に置かれる。なぜなら、音楽は目の前から聴こえてくるべきだからだ。コンサートに行って、ステージに背を向けて演奏を聴く人はいない。普通人は、演奏者と正対して音楽を楽しむ。

そしてカーオーディオでも、スピーカーはリスナーから見て前方に設置されている。ドアのスピーカーとは完全に正対できないものの、それでも一応は自分よりも前にある。

しかし、超低音を再生するスピーカーである「サブウーファー」だけは前には置けない場合が多い。一部の欧州車の中には足元に「サブウーファー」が埋め込まれている車種があるが、その他の車種では前方には「サブウーファー」を設置できるスペースがない。なので自分の真下(シート下)かトランクに置かれることとなる。

となると超低音だけは自分の真下、もしくは後方から聴こえてくることになるはずだが、実は、チューニングが上手くいくと超低音も前から聴こえてくる。それはなぜなのか…。

◆「サブウーファー」の音がフロントスピーカーの音と一体化すると…。

ちなみに、超低音が前方から聴こえてくることは「低音の前方定位」と呼ばれている。そしてこれが成し遂げられるメカニズムは以下のとおりだ。

音は、音程が高くなればなるほど真っ直ぐ進もうとする性質が強くなる。逆に音程が低くなればなるほど障害物を回り込んで進もうとする性質が強くなる。なので、音程が高い音は出どころが分かりやすい。逆に音程が低い音は出どころが分かりづらい。

で、「サブウーファー」から放たれる超低音が、フロントスピーカーから発せられるサウンドと上手く一体化すると、人間の耳は超低音も前から発せられていると錯覚する。超低音はそもそもどこから音が出ているのかが分かりづらいので、高音から中音までが目の前から聴こえてくるとそれらの音と同じように前から聴こえているものと勘違いするのだ。

ただしこのように錯覚させるには、先述したとおり「サブウーファー」が発する音がフロントスピーカーの音と上手く繋がっている必要がある。そうならないと、超低音だけはしっかり後から聴こえてくる。

◆「クロスオーバー」や「タイムアライメント」を駆使すると、「低音の前方定位」が実現!

さて、どのようなチューニングを行うと「低音の前方定位」が成し遂げられるのかを説明していこう。まずは、フロントスピーカーと「サブウーファー」との再生担当範囲を割り振る機能である「クロスオーバー」がシステムに搭載されている必要がある。当機能が搭載されていないと超低音がドアスピーカーと「サブウーファー」の両方から聴こえてくる。そしてそれぞれがズレて聴こえるので、むしろ「サブウーファー」から放たれる超低音の存在感が際立つ。しかし担当範囲をしっかり割り振れると超低音が二重に聴こえなくなるので、高音から超低音までが一体化しやすくなる。

そして、「位相切替スイッチ」が使えると以下のようなことができる。これがあれば、ドアスピーカーから鳴らされる音と「サブウーファー」から鳴らされる音の「音波のタイミング」を合わせられる。つまり音波がシンクロ(同期)させられるので、サウンドの一体感が高まる。

さらには「タイムアライメント」機能も使えたらベストだ。当機能が使えると、音の到達タイミングを揃えられる。このことも、サウンドの一体感を上げることに大きく寄与する。

このようにチューニングできると、「サブウーファー」が後方に置かれていても、高音から超低音までが目の前から聴こえてくるのだ。

今回は以上だ。次回以降もカーオーディオに関して抱かれがちな“素朴な疑問”の答を説明していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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