接続方法を変えるだけで、音が激変!? スピーカーの性能をさらに引き出す“次の一手”を詳細解説! Part9「バイアンプ接続」にトライ! | Push on! Mycar-life

接続方法を変えるだけで、音が激変!? スピーカーの性能をさらに引き出す“次の一手”を詳細解説! Part9「バイアンプ接続」にトライ!

純正カーオーディオの音に不満を持つドライバーの多くは、「スピーカー交換」を実行する。しかし、それをそのまま使っているだけではもったいない。“次の一手”を施せば、交換したスピーカーの性能を一層引き出せるようになるからだ。当特集ではその具体策を紹介している。

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バイアンプ接続に対応したパッシブが付属するスピーカーの一例(モレル・イレイトチタニウム 602)。
  • バイアンプ接続に対応したパッシブが付属するスピーカーの一例(モレル・イレイトチタニウム 602)。
  • バイアンプ接続に対応したパッシブが付属するスピーカーの一例(モレル・スプリーモ 602)。
  • バイアンプ接続に対応したパッシブが付属するスピーカーの一例(カロッツェリア・TS-V173S)。
  • バイアンプ接続の配線図。
  • バイアンプ接続に対応したパッシブが付属するスピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。

純正カーオーディオの音に不満を持つドライバーの多くは、「スピーカー交換」を実行する。しかし、それをそのまま使っているだけではもったいない。“次の一手”を施せば、交換したスピーカーの性能を一層引き出せるようになるからだ。当特集ではその具体策を紹介している。

「パッシブ」が「バイアンプ接続」に対応していれば実行可能! もしくは…。

今回は、ユニットを追加することなく実行できる“次の一手”を紹介する。その作戦の名は「バイアンプ接続」だ。これはつまり、スピーカーケーブルの接続方法を変えるという作戦だ。

ただ、機材の追加はしなくても良いのだが、スピーカーケーブルは市販品に換えるべきだ。純正ケーブルを流用できる場合にはそうしても良いのだが、せっかく引き直し作業をするのだからケーブル交換までやってしまった方が合理的だ。なお、フロントスピーカーのスピーカーケーブルをすでに交換してある場合には、引き直す部分のケーブルにもそれと同じものを使う必要がある。

ちなみにすべてのケーブルを新調する際には、リーズナブルなケーブルをチョイスしても構わない。市販ケーブルの中には1mあたり200円程度のモノもある。それであっても純正ケーブルよりはかなり良質だ。そしてこれならば、仮に合計10m分が必要になっても追加部材代は2000円ですむ。

では、「バイアンプ接続」のやり方を説明していこう。なおこれを実行するには、スピーカーに付属している「パッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)」が「バイアンプ接続」に対応している必要がある。しかしそうでなくてもやりようはある。「バイアンプ接続」が行える「パッシブ」をワンオフすればOKだ。その場合にはコストは多めにかかってしまうが、とはいってもパーツ代は数千円で収められる。興味があればカーオーディオ・プロショップに相談してみよう。

で、「バイアンプ接続」に対応している「パッシブ」は、通常の「パッシブ」とは以下の点が異なっている。「パッシブ」は、音楽信号の帯域分割を行う装置なので、フルレンジの音楽信号を入力したらそれを、「パッシブ」内でツイーター用の高音信号とミッドウーファー用の中低音信号とに分割する。ゆえに、入力端子は1系統あれば良いが出力端子は2系統備えることになる。

バイアンプ接続に対応したパッシブが付属するスピーカーの一例(カロッツェリア・TS-V173S)。バイアンプ接続に対応したパッシブが付属するスピーカーの一例(カロッツェリア・TS-V173S)。

メインユニットの内蔵パワーアンプの全出力をフロントスピーカーに使用!

対して「バイアンプ接続」に対応した「パッシブ」は、入力端子を2系統備えている。つまり、ツイーター用の入力端子とミッドウーファー用の入力端子の両方を装備するのだ。

なので、次のような接続方法が可能となる。メインユニットの内蔵パワーアンプのフロントスピーカー用の出力を「パッシブ」のミッドウーファー用の入力端子へと繋ぎ、リアスピーカー用の出力を「パッシブ」のツイーター用の入力端子へと接続する。

なおこのように接続された場合には、「パッシブ」内では信号の分割は行われない。そもそも入力する段階で信号が2つに分かれているからだ。そのかわり、不要な部分を削り落とす作業が行われる。ミッドウーファー用の信号は高域成分が削り落とされ、ツイーター用の信号は中低域成分が削り落とされる。

ちなみに、フロントスピーカー用の出力をミッドウーファー用の入力端子に接続するのにはワケがある。ナビの案内音声はそのほとんどが中音なので、フロント出力をツイーター用として使ってしまうと、ナビ音声がカットされてしまうのだ。それを防ぐために、「バイアンプ接続」を行う際にはフロント出力は必ずミッドウーファー用として使用されることとなる。

とはいえ、そうすべきなのはメインユニットがナビのときだけだ。メインユニットがナビ以外の場合には、フロント出力とリア出力のどちらをミッドウーファー用として使っても構わない。左右で同条件にしておけばOKだ。

バイアンプ接続の配線図。バイアンプ接続の配線図。

「バイアンプ接続」を行うと、スピーカーの駆動力が上がりサウンドクオリティが良化!

さて、このような接続方法をすることでどのようなメリットが得られるのかと言うと…。

最大の利点はズバリ、「スピーカーの駆動力が上がること」だ。なにせ通常の接続方法では、パワーアンプの1ch分の出力でツイーターとミッドウーファーの両方を鳴らすこととなる。しかし「バイアンプ接続」では、スピーカーユニットの1つずつにパワーアンプの1chずつをあてがえる。結果リアスピーカーは鳴らせなくなるが、その分フロントスピーカーは贅沢に鳴らせる。よりトルクフルに動かせて、振動板をしっかり止められるようにもなる。

また、「パッシブ」内での信号の流れ方がシンプル化することもメリットだ。ツイーター用の回路とミッドウーファー用の回路がそれぞれ独立するので、「パッシブ」内での信号の干渉が起きにくくなる。このことも音に効く。

さらには、サウンドチューニング的にも利点が得られることもある。もしも使用中のメインユニットに簡易的な「タイムアライメント機能」が搭載されている場合、同機能をより緻密に運用できるようになるのだ。

簡易的な「タイムアライメント機能」では、フロントスピーカーとリアスピーカーのそれぞれに「タイムアライメント機能」をかけられるが、フロントスピーカーがセパレート2ウェイであった場合でも、ツイーターとミッドウーファーを「1つのスピーカー」として扱うしかない。

しかし「バイアンプ接続」を実行すれば、ツイーターとミッドウーファーに対して個別に「タイムアライメント機能」を効かせられる。フロントスピーカー用の「タイムアライメント」をミッドウーファー用として、リアスピーカー用の「タイムアライメント」をツイーター用として運用できる。

かくして「バイアンプ接続」を行うと、スピーカーはそのままなのに、まるでスピーカーを1ランク上のモデルに換えたかのように出音のクオリティが良化する。

今回は以上だ。次回も有効な“次の一手”を紹介する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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