音を良くしたいと思うなら、必須!?「外部パワーアンプ」、貴方ならどう使う? Part1「導入する意味」について考える | Push on! Mycar-life

音を良くしたいと思うなら、必須!?「外部パワーアンプ」、貴方ならどう使う? Part1「導入する意味」について考える

「外部パワーアンプ」は、絶対的に必要なものではない。なぜなら「メインユニット」に「パワーアンプ」が内蔵されているからだ。しかし音にこだわろうとするなら話が変わる。今回からスタートする当特集では、その理由から使いこなし術までを完全ガイドする。

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カロッツェリア・RS-A09Xの内部基板。
  • カロッツェリア・RS-A09Xの内部基板。
  • 市販「外部パワーアンプ」の一例(カロッツェリア・RS-A09X)。
  • カロッツェリア・RS-A09Xの内部基板。
  • 市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX4.800)。
  • フォーカル・FPX4.800のサイドパネル。
  • フォーカル・FPX4.800のサイドパネル。
  • 「外部パワーアンプ」の装着例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。

「外部パワーアンプ」は、絶対的に必要なものではない。なぜなら「メインユニット」に「パワーアンプ」が内蔵されているからだ。しかし音にこだわろうとするなら話が変わる。今回からスタートする当特集では、その理由から使いこなし術までを完全ガイドする。

音にこだわる愛好家の間では、「外部パワーアンプ」の使用はマスト!?

クルマの中で音楽を聴くためには、「メインユニット」と「スピーカー」、この2つがあればいい。なぜならば、「メインユニット」の内部に必要なものがほぼすべて内蔵されているからだ。音楽信号を読み取るための「ソースユニット」としてのメカ、信号を制御する「プロセッサー」、音楽信号をスピーカーを駆動できるレベルにまで増幅する「パワーアンプ」、これらがオールインワンで揃っている。ゆえに、あとはスピーカーさえあれば音を出せる。

しかしカーオーディオ愛好家の多くは、「外部パワーアンプ」を導入している。なくても良いものであるはずなのだが、音にこだわろうとすると一転、なくてはならないものへと変わるのだ。

その理由はひと言で言える。答はズバリ、「メインユニットの内蔵パワーアンプには多くを望めないから」だ。そうである理由もまた、大きくは2点に集約できる。1つは「コスト的な制約があるから」で、もう1つは「スペース的な制約があるから」だ。この2つは、より良いパワーアンプに仕上げようとするときに、重い“足かせ”となってしまうのだ。

それぞれがどのようなことなのかを説明していこう。まずは前者について。実は「パワーアンプ」は、「スピーカー」と同様に超ハイエンドモデルも存在している。市販品の中には数万円のリーズナブルなモデルもある一方で、100万円を超える高級品もいくつかある。なぜにそこまで価格差が開くのかというと、この答もシンプルだ。「コストをかければかけるほど、性能を上げられるから」だ。

市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX4.800)。市販「外部パワーアンプ」の一例(フォーカル・FPX4.800)。

「メインユニット」では、「内蔵パワーアンプ」に注げるコストはごくわずか…。

つまり、コストは性能に直結する。というのも、「パワーアンプ」は基本的な仕組みがシンプルだ。各社ともさまざまな新技術を注入して製品を進化させてきたが、基本的な仕組みは長きに渡って大きく変化していない。「パワーアンプ」は案外“ローテク”な工業製品なのだ。

で、このような“ローテク”な工業製品は得てして、性能を上げようとするときに“コスト”がダイレクトに効いてくる。一部、D級パワーアンプではこの傾向がそれほど強くはないのだが、一般的には、より良いパーツを使えば使うほどどこまでも性能を向上させていけるのだ。各パーツはピンからキリまで種類が豊富だ。それら1つ1つに贅を尽くすと、最終的な価格も相当に膨れ上がる。しかし、得られる結果もそれに見合って増大する。

対して「メインユニット」では、「内蔵パワーアンプ」にかけられるコストは限定的だ。例えばAV一体型ナビで考えたとき、仮に価格が15万円のモデルがあったとしよう。この価格であればハイグレードモデルの範疇に入ってくるが、この15万円というコストで、ナビ、ディスプレイ、ソースユニット系のメカ、地デジチューナー、プロセッサー、そして「パワーアンプ」までをまかなわなければならない。結果、「パワーアンプ」に注げる費用は限定的にならざるを得ない。ハイグレードなモデルであっても、「内蔵パワーアンプ」に割けるコストは限られる。

対して10万円の「外部パワーアンプ」があったとして、そのモデルではその10万円すべてを「パワーアンプ」としての性能向上に注ぎ込める。

「外部パワーアンプ」の装着例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。「外部パワーアンプ」の装着例(製作ショップ:イングラフ<青森県>)。

「パワーアンプ」は、高性能を得ようとすると筐体は大型化する!?

続いては、「内蔵パワーアンプ」に多くを期待できないもう1つの理由である「スペース的な制約」について説明していく。これも“コスト”の問題と似た状況がある。というのも「パワーアンプ」は基本的に、より高性能を得ようとすると筐体はある程度大型化する(一部、小型化が可能なタイプもある)。仕組みがシンプルであるがゆえに、大型のパーツを配置した方が性能を上げやすいのだ。

例えば「パワーアンプ」では、良い仕事をするためにはより大きな電力が必要となるのでハイグレードモデルになるほど電源部は大型化する。そうすると発熱量も増えるので、冷却用のパーツであるヒートシンクも大きくなる。

対して、「メインユニット」にはスペース的な制約がシビアにのしかかる。AV一体型ナビの場合、タテ100mm×ヨコ178mmという2DINスペースの中にすべてを入れ込まなくてはならないのだ。

なおスペース的な制約は、得られる出力にも大きく影響する。実際「内蔵パワーアンプ」の定格出力は大体20W程度だ。一方「外部パワーアンプ」は、定格出力が50W程度は確保されている場合がほとんどで、高性能なモデルになれば100Wとかそれ以上の出力を発揮できることもある。パワーの大きさは性能と正比例するわけではないが、20Wと50Wとでは倍以上の開きがあり100Wともなると5倍も違うわけで、その差は音にも相応に効いてくる。このように、「内蔵パワーアンプ」と「外部パワーアンプ」とでは、別ジャンルのユニットと言って良いほどの違いがあるのだ。

言ってしまえば「外部パワーアンプ」は“贅沢品”だ。しかし、その贅沢の味を1度体験してしまうと、もう「内蔵パワーアンプ」の音には戻れなくなる…。

さて次回からは、状況に応じた「外部パワーアンプ」の使い方を具体的に紹介していく。音を良くすることに興味があれば、次回以降の記事にも要注目。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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