カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 1・スピーカー編 第4回「スペック関連」 | Push on! Mycar-life

カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 1・スピーカー編 第4回「スペック関連」

カーオーディオでは専門用語が使われることが多く、初心者にとってはそれが“とっつきにくさ”を覚える要因ともなっている。当連載は、その“とっつきにくさ”の解消を目指して展開している。今回は、スピーカーのスペックに関する用語の意味を説明していく。

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市販スピーカーの一例(アークオーディオ・RSシリーズ)。
  • 市販スピーカーの一例(アークオーディオ・RSシリーズ)。
  • 市販スピーカーの一例(DLS・RC6.2)。
  • 市販スピーカーの一例(フォーカル・ES 165 KX2)。

カーオーディオでは専門用語が使われることが多く、初心者にとってはそれが“とっつきにくさ”を覚える要因ともなっている。当連載は、その“とっつきにくさ”の解消を目指して展開している。今回は、スピーカーのスペックに関する用語の意味を説明していく。

「最大入力」と「定格入力」は、何を表す数値?

最初に、「最大入力」と「定格入力」について解説していく。結論から入ろう。これらはスピーカーの“壊れにくさ”を表す数値だ。単位は「W(ワット)」で表される。で、「最大入力」とは瞬間的に入力しても壊れない上限の入力値のことを指し、「定格入力」とは連続して入力しても壊れない上限の入力値のことを指している。つまり、これらの数値が大きいスピーカーほど“タフ”なスピーカーだと判断できる。

なお、「定格入力」の“連続して”がどのくらいの時間なのかは、各メーカーから公開されてはいない。

ところで、実際のところスピーカー選びがされる際に、これらの数字が気にされることは多くはない。市販されている一般的なカースピーカーにおいて、特にこの値が低すぎる製品はほとんど見当たらないからだ。

ただし、組み合わせるパワーアンプとのパワーバランスは、チェックした方が良い場合もある。特に大音量で音楽を聴きたいのなら、スピーカーの「最大/定格入力」とバランスするパワーアンプを選んだ方がベターだ。せっかくタフなスピーカーを選ぶのならそれを鳴らしきれるパワーアンプを使った方が良く、逆に大出力のパワーアンプを使っているのならその能力を発揮しきれるスピーカーを選んだ方が良い。

なお「パワーアンプとのバランス」は、「最大入力」や「定格入力」以外の要素も加味する必要もあるので、細かくはスピーカーやパワーアンプをセレクトする際に、カーオーディオ・プロショップにアドバイスを求めよう。プロならば、総合的にバランスを見極めてくれるはずだ。

市販スピーカーの一例(DLS・RC6.2)。市販スピーカーの一例(DLS・RC6.2)。

内蔵パワーアンプシステムに向いたモデルが欲しいなら、「出力音圧レベル」をチェック!

次いでは、パワーに関連したもう1つのスペックである「出力音圧レベル」について解説していく。これは、一定の電気信号を入力したときにどのくらいの強さの音を出せるかを示すスペックだ。

なお当スペックは、以下のようにして導き出される。スピーカーに1W(ワット)の電気信号を入力し、そのときの音圧を1m離れたところで測定する。単位はdB(デシベル)で表される。

具体的に説明しよう。例えばスピーカーAの「出力音圧レベル」が88dBでスピーカーBのそれが90dBだったとき、この2機種を比べると同条件であればスピーカーBの方が大きい音を鳴らせるスピーカーだと判断できる。例えばそれぞれを試聴用のボックスに装着し同じメインユニットを繋ぎ換えて同じボリュームで音楽を流すと、スピーカーBの方が大きい音がする。

とはいえ、スピーカーAとスピーカーBのどちらが音が良いのかは分からない。「出力音圧レベル」の大小で音質性能は推し量れない。

ただし、内蔵パワーアンプでスピーカーを鳴らそうとする場合には、当スペックは参考になる。というのも、「出力音圧レベル」が高いスピーカーはすなわち、非力なパワーアンプでも鳴らしやすいスピーカーだと判断できる。外部パワーアンプを使う場合は当スペックはさほど気にする必要はないのだが(数値が大きくても小さくても普通に鳴らせる)、内蔵パワーアンプで鳴らすことが前提であるならば、「出力音圧レベル」が高いモデルの方が扱いやすい。

ちなみに「出力音圧レベル」は、「能率」、または「感度」という言葉に置き換えられることもある。

さて続いては、「周波数特性」について説明していく。「周波数特性」とはつまり、そのスピーカーが低音から高音までどのくらいの範囲の音を再生できるのかを表すスペックだ。単位は「Hz(ヘルツ)」だ。ちなみにこれは、「再生周波数帯域」または、「周波数レンジ」と呼ばれることもある。

市販スピーカーの一例(フォーカル・ES 165 KX2)。市販スピーカーの一例(フォーカル・ES 165 KX2)。

「周波数特性」と「インピーダンス」の意味を解説!

で、この数値の幅が広ければすなわちそのスピーカーは高性能(高音質)かというと、必ずしもそうとは限らない。

というのも、例えば「周波数特性」の下限が30Hzだった場合でも、その30Hz付近の音をどのようなクオリティで再生できるのかは分からない。また、50Hzまでしか鳴らせないというスピーカーがあったとして、それと比べた場合に50Hz付近の音についてはむしろ、後者の方が音質が良い場合も有り得る。さらにいえば範囲内の全体的な音質の良し悪しも、「周波数特性」が広いか狭いかとはあまり関係がない。というわけなので、「周波数特性」はあくまでも目安として考えるべきスペックだ。

あともう1つ、「インピーダンス」についても説明しておこう。「インピーダンス」とはつまり「抵抗値」だ。スピーカーはパワーアンプに取っては“負荷”であり、その負荷の大きさが「インピーダンス」として表される。単位は「Ω(オーム)」だ。

ちなみにカー用のスピーカーの多くは、「インピーダンス」は「4Ω」だ。対してホーム用のスピーカーは「8Ω」や「6Ω」である場合が多い。

またカー用のスピーカーの中には「インピーダンス」が「2Ω」のモデルもある。またサブウーファーの中には「1Ω」のモデルもある。

なお、「インピーダンス」が低いと、その分たくさんの電流が流れることとなるので、大きな音で鳴らしやすくなる。しかし、パワーアンプにはより大きな“負荷”がかかる。なので、「4Ω」よりも「インピーダンス」が低いスピーカーを使おうとするときには、組み合わせるパワーアンプがその“負荷”に耐えられるモデルかどうかを確認すべきだ。低「インピーダンス」のスピーカーの駆動には対応していないモデルもあるからだ。

今回は以上だ。次回も、スピーカーに関連した用語の解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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