連載「カーオーディオユニットの選び方」詳細解説! Part1「スピーカー編」 その4「スペック」について | Push on! Mycar-life

連載「カーオーディオユニットの選び方」詳細解説! Part1「スピーカー編」 その4「スペック」について

モノ選びの段階から楽しむと、カーオーディオライフの充実度は一層深まる。そのガイドとなる情報を多角的に紹介しようと試みている当シリーズ連載。まずはスピーカー選びにおいてのポイントを解説している。当回は、スペックの読み解き方を説明していく。

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市販2ウェイスピーカーの一例(フォーカル・PS 165 FE)。
  • 市販2ウェイスピーカーの一例(フォーカル・PS 165 FE)。
  • 市販2ウェイスピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G300)。
  • 市販2ウェイスピーカーの一例(DLS・RC6.2)。

モノ選びの段階から楽しむと、カーオーディオライフの充実度は一層深まる。そのガイドとなる情報を多角的に紹介しようと試みている当シリーズ連載。まずはスピーカー選びにおいてのポイントを解説している。当回は、スペックの読み解き方を説明していく。

スペックで、スピーカーの性能は推し量れない!?

スピーカーのカタログを見ると、さまざまなスペックが掲載されている。それらの意味を1つ1つ解説していこうと思うのだが、1つ前提となることがあるので、まずはそれについて触れておきたい。それは「スペックで性能のすべては推し量れない」、だ。

興味がある製品についてスペックを引っ張り出し、それを表にまとめて性能比較をすれば製品選びがスムーズにいくかというと、そうではないのだ。スペックを単純比較しても、参考にはなるけれど結論は導き出せない。

そうである理由はいくつかある。1つは、「スペックの測定コンディションが必ずしもイコールではないから」だ。メーカーごとで測定方法が大きく異なることはないはずだが、多少の違いは少なからずある。そして2つ目は「音色は数値では推し量れないから」だ。スピーカーは音楽を奏でるユニットだが、その音楽をより音楽性高く再現できるかどうかを表すスペックは存在していない。そして、どのような音色傾向なのかを表すスペックも有り得ていない。音楽性や音色傾向については、試聴して判断するしかないのだ。なので、スペックは参考程度に見るにとどめるのが正解だ。

それを踏まえつつ、各スペックの意味を1つ1つ説明していこう。まずは「定格入力」と「最大入力」について。カタログを見ると真っ先にこれに目がいくはずだ。で、これは前者が「音楽等を連続して鳴らしてもスピーカーが壊れない入力パワー」のことを指し、後者は「スピーカーが壊れない瞬間的な最大入力パワー」のことを指す。

この数値が大きい方が、そのスピーカーがタフであると推察できる。しかし、これが音質性能と比例するわけではないこともまた確かだ。当スペックは、組み合わせるパワーアンプとの性能バランスを取ろうとするときの参考にはなるが、パワフルなサウンドが奏でられるかどうかを表す数値でないのだ。

市販2ウェイスピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G300)。市販2ウェイスピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G300)。

「周波数特性」は再生レンジを表す。しかし、レンジが広いモデルが良いとも限らない!?

続いては、「周波数特性」について説明していく。これはつまり、どのくらいの範囲の音程を再生できるかを表す数値だ。なので、その下限と上限が広いスピーカーほど高性能であるかのように感じ取れる。しかし、一概にはそうとも言い切れない。例えば高域側の再生レンジが他と比べて広い製品があったとしても、その上限までを高音質に再現できるかどうかはまた別問題だ。レンジが広いに越したことはないが、狭いからといってもそのスピーカーの性能がそれなりだと決めつけるのは性急だ。

続いては、「出力音圧レベル」について説明しよう。これは「能率」や「感度」と言い替えられることもある。で、これが何を示すのかというと…。

「出力音圧レベル」が高いスピーカーは、例えば1Wの音楽信号を入力したとき、このスペックの数値が小さいスピーカーよりもより大きな音が出せる。つまり、非力なパワーアンプで鳴らしたときでも、ある程度の音量で音楽を再生できるスピーカーだと判断できる。

なおこのスペックも、性能と比例するものではなく音色傾向を推察できるものでもない。だがしかし、組み合わせるパワーアンプとの相性を推測するときの参考にはなる。この数機が高いスピーカーは非力なパワーアンプでも鳴らしやすいというわけなので、メインユニットの内蔵パワーアンプでスピーカーを駆動するシステムを構築している場合には、このスペックが高いモデルの方が安心感が高まる。逆に外部パワーアンプで鳴らすことが前提であるならば、この数値は低くても問題はない。

市販2ウェイスピーカーの一例(DLS・RC6.2)。市販2ウェイスピーカーの一例(DLS・RC6.2)。

「クロスオーバー周波数」は、サウンドチューニング時に参考にすべし!

続いては、「クロスオーバー周波数」について説明していく。これはその製品が2ウェイであった場合に、ツイーターとミッドウーファーの帯域分割の境目をどのあたりに設定しているか、ということを表すスペックだ。

つまり、セパレート2ウェイスピーカーには多くの場合、音楽信号の帯域分割を行うパーツであるパッシブクロスオーバーネットワークが付属されているのだが、そのパッシブがどのような設定になっているのかをこのスペックによって知ることができる。

そしてその数値は、スピーカーを「マルチアンプ接続」する際に参考となる。「マルチアンプ接続」では、音楽信号の帯域分割をプロセッサーで行うこととなるわけだが、それを設定する際にはまず、そのスピーカーの「クロスオーバー周波数」を入力しそこから微調整していくとやりやすい。というのもその値はいわば、スピーカーの性能を引き出すための設計上の最良な値であるわけなので、「マルチアンプ接続」においてもそれを踏襲することをスタートラインとすれば安心だ。

ただしカースピーカーは、取り付け場所が都度さまざま変化する。そして車種によって車室内の形状も異なってくる。結果、スピーカーの鳴り方は車種によって、そして取り付け条件によって変化する。なので、クロスオーバーのベストな数値も状況に応じて変わってくる。設計者が設定した数値がベストとならないことも往々にして起きてくるのだ。というわけでこの数値も、チューニングを行うときの参考にはなるものの、絶対的な数値とはならない。

最後にもう1つ、「インピーダンス」についても説明しておきたい。これは「抵抗値」を表すスペックだ。ちなみにカー用のスピーカーの多くは、この値は「4Ω」だ。しかし中には「2Ω」の製品もある。この場合、抵抗値が少なくなるので、入力される音楽信号のパワーが小さくても大きな音量で音楽を再生しやすくなる。ただし、「2Ω」のスピーカーを鳴らすことが想定されていないパワーアンプを組み合わせるのはあまりよろしくない。パワーアンプにより大きな負荷が掛かってしまうからだ。なので、「インピーダンス」が「4Ω」ではないスピーカーを選ぶ場合は、それを鳴らせるパワーアンプを使用すべきだ。お忘れなく。

今回は以上だ。次回もスピーカー選びにおいてのポイント解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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