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益々広がるクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」。ソニー「aibo」との連携開始

フォルシアクラリオンは11月27日、独自のクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」の音声機能「Intelligent VOICE」を活用した新サービスとして、ソニーが提供する自律型エンタテイメントロボット「aibo」との連携サービスを開始した。

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益々広がるクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」。ソニー「aibo」との連携開始
  • 益々広がるクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」。ソニー「aibo」との連携開始
  • 益々広がるクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」。ソニー「aibo」との連携開始
  • ビジネスグループ戦略ビジネスアライアンス ダイレクター 宮澤浩久氏
  • R&D, Global Cockpit Electronics Development, Software Development Dept., Connection Design Group 仲川裕一朗氏
  • 自動車ジャーナリスト 会田肇氏
  • モデルチェンジしてより可愛らしくなったaibo
  • 「Intelligent VOICE」によって車内から指示が出せる
  • 認識率は非常に高く、音声認識のレベルは飛躍的に上がっている

フォルシアクラリオンは11月27日、独自のクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」の音声機能「Intelligent VOICE」を活用した新サービスとして、ソニーが提供する自律型エンタテイメントロボット「aibo」との連携サービスを開始した。

お出迎えを実現するaiboとの連携サービス

この連携サービスは、ユーザーがカーナビゲーションに話しかけるだけで、aiboにコマンドが伝えられて出迎えを受けられるようになるというもの。たとえば「aibo、今から帰るよ」とカーナビに向かって告げると、あらかじめ憶えさせておいた玄関などまで移動して座って待機。そして、ユーザーが帰宅して玄関のトビラを開くとaiboが出迎える形となり、aiboを撫でてあげることでaiboが喜んで応えるというものだ。この一連の動作は特に“aibo愛”あふれる人にとってはたまらない仕草として映るだろう。

認識率は非常に高く、音声認識のレベルは飛躍的に上がっている認識率は非常に高く、音声認識のレベルは飛躍的に上がっている

ただ、機能としてだけを見れば今回発表されたaiboとの連携はこの一つの機能だけ。これ以上の機能は特にない。となればaiboに関心がない人にとっては「なぁ~んだ」となるはず。さらにコマンドを入力してそれが認識されたとき「aiboへの要求に成功しました」といったロボット音声が応えるのはペット愛に欠ける気もする。できれば、aiboの声で応えるような工夫もあって欲しかったと思うのは私だけではないだろう。が、この開発の過程を知っていくと、それだけにはとどまらない奥深さがあることが分かって来た。

懐深い連携プラットフォーム
「Smart Access」の拡張性から実現

この機能を実現にあたっては、ソニーが2019年11月のaiboソフトウェアAPI公開が背景にある。これを元にaiboと様々な機器やサービスがインターネットを介して接続できるようになったのだ。さらにベースとしてaiboには「お出迎え機能」が搭載されていた。これは家の中で「迎えに行って」とのコマンドによってaiboが玄関まで移動して出迎えるというもの。今回のクラリオンの例はこの環境を活かして、aiboのAPIに「Smart Access」を接続することで実現したことになる。

「Intelligent VOICE」によって車内から指示が出せる「Intelligent VOICE」によって車内から指示が出せる

具体的には、「Smart Access」のコンテンツである「Intelligent VOICE」を活用して音声コマンドを入力し、そのコマンドがサーバーを介してaiboに送られ機能する仕組みだ。元々、「Intelligent VOICE」は、行きたい場所を思いついた言葉で話しかけるだけで目的地検索できるカーナビ向けアプリとして提供されて来たもの。自然言語理解を活用した高精度な音声認識はGoogleのクラウドサービスとの連携によって実現しており、そのコマンドが今回の連携に活かされたというわけである。

ビジネスグループ戦略ビジネスアライアンス ダイレクター 宮澤浩久氏ビジネスグループ戦略ビジネスアライアンス ダイレクター 宮澤浩久氏

では、このaiboとの連携はどんな想いで実現に至ったのだろうか。クラリオンのビジネスグループ戦略ビジネスアライアンスでダイレクターを務める宮澤浩久氏は、「これまで手掛けてきたモビリティという観点に立ったとき、果たしてクルマの中だけを快適にすればいいのか。帰宅した家が暗くて寒いままでは淋しい。これはモビリティとして役割を果たしていないのではないか」との考えが根底にあったと話す。

そうした中、Intelligent VOICE には以前より家電の遠隔操作ができるNature株式会社のサービス「Nature Remo」と連携する機能が用意されており、外出中にカーナビへの音声認識で自宅のエアコンのスイッチを入れたり、照明を点けたりすることを実現していた。今回のaiboとの連携は「aiboユーザーをターゲットにした狭い範囲ではあるけれども、お出掛けした後に気持ち良く帰宅できるものを提供できる」(宮澤氏)ものとして、その延長線上で“出迎えるaibo”が実現できたものと言えるだろう。

今後、aiboに対するコマンドは増えていかないのだろうか。その疑問について宮澤氏は、「aiboには独自のアイデンティティがいっぱい入っており、それをソニーはとても大事にしていることが分かった。そのため、新しいコマンドを与えるにしてもそのコマンドがaiboらしい動きにつながるのか、マーケティング的な視点が必要になってくる」と説明する。

そんな中で想定される一例として挙げられるのは「車内からaiboに部屋の中を確認してもらおうとしたとき、部屋が暗ければNature Remoで照明を点けて見えるようにして、aiboが発見してここにあったねと安心する」(宮澤氏)こと。これこそ今回の改良で今後可能となるSmart Accessの拡張機能なのだ。

R&D, Global Cockpit Electronics Development, Software Development Dept., Connection Design Group 仲川裕一朗氏R&D, Global Cockpit Electronics Development, Software Development Dept., Connection Design Group 仲川裕一朗氏

開発を担当したR&D, Global Cockpit Electronics Development, Software Development Dept., Connection Design Groupの仲川裕一朗氏は、「これまでのNature Remoとの連携機能では単純にON/OFFのコマンドだけを送っていたが、aiboとの連携ではどう動かすかシナリオを元に様々なコマンドを任意のタイミングや条件で送れるように改良を加えた。これはaiboを動かす際、細かなコマンドに分かれていて、それに対応しないと動作しない仕組みとなっていたため。この改良によって今後は1回の操作で、照明を点けてロボット掃除機を動かし、掃除が完了したらエアコンのスイッチを入れられるといった、様々なクラウドサービスをまとめて制御する“学習型システムリモコン”的なことが可能になった」という。

鍵となる音声認識システム「Intelligent VOICE」
より高度に誰にでも使いやすく進化していく

見逃せないのは、フォルシアクラリオンとしては「Intelligent VOICE」の音声認識を単なるaiboとの連携にとどまらせず、その機能をより高度に使うその先も想定していることだ。

その一つが車両の取扱説明書を「Intelligent VOICE」で培った音声認識機能で対応すること。宮澤氏は「ADASや電動化によってクルマが高度化する中にあって、発生した様々な事象を音声コマンドで発話するだけで適切な回答が得られる、そんなシステムを目指している」と説明。また、COVID-19の感染拡大が進む中では「いかに触れることなくコマンド入力するかを考えた時、高精度な音声認識の重要度はますます増していく」(宮澤氏)とも話す。

モデルチェンジしてより可愛らしくなったaiboモデルチェンジしてより可愛らしくなったaibo

今でこそクラウドを使った音声認識は当たり前になってきているが、8年前のクラリオン時代に「Intelligent VOICE」が登場した時、その機能のメリットはあまり理解されなかった。しかし、フォルシア傘下に入った今でもGoogleとの連携は続いており、自然言語理解による「Intelligent VOICE」の高精度な認識力は今もなお健在だ。クルマとHomeをつなぐインターフェースとして、Smart Accessの今後のさらなる発展を期待したい。
■今回事例のリリースはこちら■

《会田肇》

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