今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part3「パワーアンプ編」その1「パワーアンプって何?」 | Push on! Mycar-life

今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part3「パワーアンプ編」その1「パワーアンプって何?」

カーオーディオに興味を持ちつつも、分かりにくさが壁になり馴染めない…、そう感じたことがあるドライバーは少なくないようだ。そんなさまざまな「?」を解消していただこうと当特集を展開している。今回からは、「パワーアンプ」に関する解説をスタートする。

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外部パワーアンプの搭載例(“モレル”デモカー。パワーアンプは“アークオーディオ”)。
  • 外部パワーアンプの搭載例(“モレル”デモカー。パワーアンプは“アークオーディオ”)。
  • パワーアンプが内蔵されたAV一体型ナビの一例(クラリオン・NXV997D)。

カーオーディオに興味を持ちつつも、分かりにくさが壁になり馴染めない…、そう感じたことがあるドライバーは少なくないようだ。そんなさまざまな「?」を解消していただこうと当特集を展開している。今回からは、「パワーアンプ」に関する解説をスタートする。

スピーカーを動かすためには、それなりのエネルギーが必要!

今回は、「パワーアンプとは何なのか」をテーマに話を進めていく。結論から入りたい。「パワーアンプ」とは「音楽信号を増幅するための装置」だ。

どのような形態であれオーディオ装置(システム)には、「パワーアンプ」が必ず組み込まれる。ホームオーディオはもちろんのこと、携帯音楽プレーヤーの中にも「パワーアンプ」は内蔵されている。スピーカーで音楽を聴くにせよイヤホンで聴くにせよ、それらを動かすためにはそれなりのエネルギーが必要なので、音楽信号を適切なレベルにまで増幅しなくてはならないからだ。

なお、イヤホンから音を出すだけの場合には「パワーアンプ」は小型のもので良いのだが、クルマのドアに装着するスピーカーを動かすためのものともなると、ある程度大きな装置が必要となる。

ところでスピーカーはどのような原理で動くのか、この機会にそこのところを簡単に説明しておこう。先述したようにスピーカーには磁気回路が設けられている。裏側に付いている丸い部分がそれだ。そしてその中には磁石とコイル(ボイスコイル)が組み込まれていて、コイルに電気が流れるとフレミングの左手の法則に従ってそれが動き、その動きが振動板に伝わり空気を震わせて音を伝える。

で、クルマのドアに取り付けられるスピーカーはボイスコイルがそこそこ大きく振動板もそこそこ大きい。ゆえにそれらを動かすには相応のエネルギーが必要となる。

しかしながら、ソースユニットの中でメディアから読み取られるときの音楽信号は至って微力だ。なぜならこの段階では音楽信号が大きい必要はなく、むしろ大きすぎると逆に機器の中での扱いが難しくなる。でもそのままではスピーカーを到底動かせない。ゆえに「パワーアンプ」が必要となるのだ。

ほぼすべての市販「メインユニット」には、「パワーアンプ」が内蔵されている!

というわけでカーオーディオシステムにおいては、音楽信号を読み取るためのユニット(ソースユニット)、そしてその信号を制御するためのユニット(プロセッサー)、信号を増幅するためのユニット(パワーアンプ)、音楽信号を音に変える装置(スピーカー)、これらが絶対的に必要となる(プロセッサーは簡易的なものである場合も多い)。

で、上で挙げた4つの機器のうちの、「ソースユニット」「プロセッサー」「パワーアンプ」までは、一体化されている場合が多い。そしてそれは一般的に「メインユニット」と呼ばれている。さらにその中でもカーナビまでもが一体化されたものが「AV一体型ナビ」と呼ばれていて、ナビを内蔵しないものが「メインユニット」と呼ばれている。

ちなみにいうと、かつては「パワーアンプ」を内蔵しない「メインユニット」も存在していた。「パワーアンプ」を含まないことで、信号の読み取りだけを、または読み取りと制御だけをより高音質に行おうとしていたわけだ。しかしそうであると導入のハードルが上がってしまう。必ず「外部パワーアンプ」を別途用意しなくてはならないからだ。なので現在はハイエンドタイプの「メインユニット」でも、必ず「パワーアンプ」が内蔵されている。つまり、システム構築のハードルはかつてと比べて下がっている。あとはスピーカーさえあれば音を出せる。なんなら、純正スピーカーのままでもOKだ。

ただし、「メインユニット」に内蔵できるパワーアンプは、性能的な限界点はあまり高くはない。なぜならば「制約の中で作られているから」だ。制約とは主に2つある。1つが「スペース的な制約」でもう1つが「コスト的な制約」だ。この2つの制約により、「メインユニット」の「内蔵パワーアンプ」には多くを望めない場合が多くなっている。

「外部パワーアンプ」を使えば、より高音質を得られる!

ところで「パワーアンプ」は、高性能を得ようとするとどうしても筐体が大きくなりがちだ。なぜなら、良い音を得るためには音楽信号をより強力に増幅する必要があり、そのためにはたくさんの電力が必要となる。結果、電源部が大型化し他のパーツもより充実させなければならなくなるからだ。

しかし「メインユニット」は、クルマのセンタークラスターパネルに組み込まれる場合がほとんどだ。そしてその取り付けスペースは1DIN、もしくは2DINサイズと相場が決まっている。しかもそのスペースの中に「パワーアンプ」以外のメカもいろいろと詰め込む必要がある。「AV一体型ナビ」においてはナビゲーションのメカも内蔵させなければならない。したがって「パワーアンプ」にはごくごく限られたスペースしか割けない。ゆえに、性能的に多くを望めない状況となってしまうのだ。

なのでより良い音を追求したいと考えるユーザーは、「外部パワーアンプ」を導入する。「外部パワーアンプ」ならスペース的な制約は取り払われるし、場合によってはコストの制約も緩和される。結果、音質性能だけが追求された豪華仕様のモデルも多々作られている。

というわけなので、もしもシステムの音をより良くしたいと思ったときには「外部パワーアンプ」が頼りになる。種類もさまざまあり、グレード違いも多彩にある。取り付け性が考慮された小型モデルもあれば、音のことだけが考えられた高級な大型モデルも用意されている。状況や予算、そしてコンセプトに応じていろいろな選択肢の中から自分にぴったりなモデルを選べる。そしてその「選ぶ過程」も、楽しみ所の1つとなってくる。

今回は以上だ。次回も「パワーアンプ」に関する解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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