フロントスピーカー、貴方ならどう鳴らす? 第4回「パッシブ」で楽しむ! | Push on! Mycar-life

フロントスピーカー、貴方ならどう鳴らす? 第4回「パッシブ」で楽しむ!

カーオーディオシステムのサウンドの方向性は、フロントスピーカーに何を使うかで大きく変化する。ただし、そのスピーカーを「どう鳴らすか」によっても得られる結果が変わってくる。当特集は、そこのところにフォーカスしている。

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“バイアンプ接続”が可能なパッシブがセットされたスピーカーの一例(モレル・イレイトチタニウム)。
  • “バイアンプ接続”が可能なパッシブがセットされたスピーカーの一例(モレル・イレイトチタニウム)。
  • “バイアンプ接続”の接続図。

カーオーディオシステムのサウンドの方向性は、フロントスピーカーに何を使うかで大きく変化する。ただし、そのスピーカーを「どう鳴らすか」によっても得られる結果が変わってくる。当特集は、そこのところにフォーカスしている。

「パッシブ」とは、音楽信号の帯域分割をパワーアンプの“後段”で行う装置!

これまでは、取り付けに関することをテーマにお贈りしてきたが、今回から数回にわたっては、システム構築術を題材に話を進めていこうと思う。その初回としてまずは、「パッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)」を活用するフロントスピーカーのドライブ術を考察していく。

最初に、「パッシブ」とは何なのかを説明していこう。これは要は、セパレートスピーカーにおいての「信号の帯域分割」を行うための装置だ。2ウェイスピーカーであれば、高音再生をツイーターに担当させ中低音再生をミッドウーファーに担当させるわけだが、そうするにあたっては必ず、音楽信号を高音と中低音とに分割しなければならない。ゆえに、通常のセパレート2ウェイスピーカーのセットには、それを行うためのパーツである「パッシブ」が付属されている。

ちなみにこの“パッシブ”という言葉には、「受動的」とか「消極的」という意味があり、対義語は“アクティブ”でそちらの意味は「能動的」とか「積極的」だ。で、スピーカーに関連したときに使われるこれらの言葉は、それらとは少々意味が異なる。信号の帯域分割を「パワーアンプの前段で行うか後段で行うか」を区別するために用いられている。かくして、パワーアンプの前段で信号の帯域分割を行う装置のことが「アクティブクロスオーバー」と呼ばれ、後段で帯域分割を行うものが「パッシブクロスオーバーネットワーク」と呼ばれている、というわけなのだ。

「パッシブ」を活用すると、システム構築を合理的に行える!

なので、2ウェイスピーカーを鳴らそうとするときに「アクティブクロスオーバー」を用いると、パワーアンプのch数は計4chが必要になる。パワーアンプの前で左右のchの音楽信号がそれぞれ2つずつに分割されるからだ。しかし「パッシブ」を使って構築するシステムにおいては、パワーアンプのch数は2つあればOKだ。

したがって「パッシブ」を活用する場合には、メインユニットの内蔵パワーアンプでシステム構築するときにリアスピーカーを殺さずに済むし、外部パワーアンプを導入するときには、とりあえずは2chアンプを用意すれば良いわけなので、比較的に低予算でシステムを完成させられる。または予算を2ch分に集中できるので、より良いパワーアンプを手にできる。

しかし、「アクティブクロスオーバー」を使う場合には、スピーカーをより効率的にそしてトルクフルに駆動できる。結果、サウンドクオリティが向上する。情報量や解像度が上がり、サウンドがより生き生きとしてくる。パワーアンプのch数をより多く使うことはダテではないのだ。

ただし…。「パッシブ」を使ったシステムでも、スピーカーユニットの1つ1つにパワーアンプの1chずつをあてがうという鳴らし方を行える場合がある。「バイアンプ接続」と呼ばれる配線方式が存在し、これを実行するとそれが可能となるのだ。

なお、これを行うためには、「パッシブ」が「バイアンプ接続」に対応している必要がある。

「パイアンプ接続」を実行すると、スピーカーの性能が“もうひと伸び”する!

さて、「バイアンプ接続」とはどのような物なのかを説明していこう。まず、対応している「パッシブ」は以下のような仕様となっている。入力端子が2系統備えられていて、つまりツイーター用の入力端子とミッドウーファー用の入力端子とが別々に用意されている。そして例えばメインユニットの内蔵パワーアンプで鳴らす場合には、リア出力をツイーター用の入力端子に接続しフロント出力をミッドウーファー用の入力端子に接続する。こうすることでリアスピーカーは鳴らせなくなるが、内蔵パワーアンプの1chずつをスピーカーユニットの1つ1つに割り当てるシステムレイアウトを完成できる。

なお、「バイアンプ接続」を行う場合でも、信号の帯域分割は「パッシブ」の内部で行われる。ツイーター用の入力端子から入れられた信号は中低音がカットされ、ミッドウーファー用の入力端子から入れられた音楽信号は高音がカットされる。

ところでこのように「パッシブ」内での音楽信号の流れが2つに分けられるので、高音信号と中低音信号との干渉が減る。このことも音に効いてくる。

そして「バイアンプ接続」ではもう1つ別のメリットももたらされる。それは、「タイムアライメントを詳細に運用できる」というものだ。もしも使用しているメインユニットに簡易的な「タイムアライメント」が搭載されていれば、リアスピーカー用の「タイムアライメント」をツイーター用として使え、フロントスピーカー用のタイムアライメントをミッドウーファー用として使えるようになる。スピーカーユニット1つ1つに対して個別に「タイムアライメント」を効かせられるというわけだ。

このように「バイアンプ接続」を実践すると、スピーカーの性能が“もうひと伸び”する。ご自分のスピーカーの「パッシブ」を確認し、もしもこれに対応しているようなら、「バイアンプ接続」を試さない手はない。配線の変更だけで(ユニットの追加をせずに)、スピーカーの鳴リ方を変えられる。ぜひともお試しを。

《太田祥三》

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