ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part2 スピーカー関連編 ll | Push on! Mycar-life

ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part2 スピーカー関連編 ll

クルマの中で“良い音”を聴きたいと思いながらも、「カーオーディオはなんとなく分かりづらい」、そう感じてこれを遠ざけているというドライバーも少なくないようだ。そんな方々に、カーオーディオをより身近に感じていただくための『用語解説』をお届けしている。

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「インナーバッフル」を用いたスピーカー取り付けの一例(製作ショップ:フォーカル プラグ&プレイ本店<千葉県>)。
  • 「インナーバッフル」を用いたスピーカー取り付けの一例(製作ショップ:フォーカル プラグ&プレイ本店<千葉県>)。
  • 「インナーバッフル」を用いたスピーカー取り付けの一例(製作ショップ:サウンドクオリティー<千葉県>)。
  • 市販インナーバッフルの一例(カロッツェリア)。

クルマの中で“良い音”を聴きたいと思いながらも、「カーオーディオはなんとなく分かりづらい」、そう感じてこれを遠ざけているというドライバーも少なくないようだ。そんな方々に、カーオーディオをより身近に感じていただくための『用語解説』をお届けしている。

第2回目となる今回は、前回に引き続き「スピーカー交換」をしようと考えたときに頻出する“専門用語”をピックアップし、その意味をできる限り平易に、そして詳しく解説していく。

“インナーバッフル”とは?

今回は、「スピーカー交換」をしようとしたときに度々聞くこととなる、“インナーバッフル”という用語をフィーチャーする。

結論から入りたい。“インナーバッフル”とは、「スピーカーを取り付ける際の“土台”となるパーツ」のことを指す。

なお、市販スピーカーの中でも“車種専用モデル”においては、この“インナーバッフル”が同梱されている場合も少なくない。そのときにはそれを使えばOKだ。また、“カスタムフィット”とか“トレードイン”とうたわれている簡単装着が可能なスピーカーにおいても、簡易的な“インナーバッフル”とも言うべき“取り付け用ブラケット”が同梱されている場合もある。しかしこれについては、能力的に少々もの足りないケースも少なくない。そのような場合には、別に“インナーバッフル”が用意されることが多くなっている。

さて、“インナーバッフル”の役割についてさらに詳しく解説しようと思うのだが、その前に、言葉の意味から説明しておきたい。“インナー”はいいとして、馴染みがないのは“バッフル”の方だろう。この“バッフル”とは何を意味しているのかというと…。

“バッフル”とは、音響に関するシーンで使われる際には、“隔壁”というような意味合いで使われることが多い。つまり、“仕切り板”的な意味を持つ。スピーカーユニットは振動板を前後させて音を発するのだが、その営みはスピーカーの裏側でも行われていて、その裏側の音が表側に回り込まないようにするものがなんらか必要となる。裏側の音が表側の音と混ざり合うと“キャンセリング”というやっかいな現象が引き起こされるからだ。お互いの音を打ち消し合ってしまうのだ。

“バッフル”はそのような現象を起こさせないようにするためのものだ。スピーカーの表側の空間と裏側の空間とを遮って、その役割を果たすのだ。

本来の“バッフル”とは少々趣きが異なるが、必須パーツであることは変わらない!

このように“バッフル”とは本来、表側と裏側の空間を“遮断するための仕切り”のことを指すのだが、広義では、スピーカーの“取り付け面”という意味でも使われている。例えば、サブウーファーをボックスに組み込むとき、そのボックスのユニット取り付け面が、“バッフル面”と呼ばれたりもするのだ。

そうであるのだが、「スピーカー交換」をする際に用いられる“インナーバッフル”は、裏側と表側の空間を“隔てる”役目は果たせない。さらに言えば、“取り付け面”というほど表面積が広いわけでもない。基本的に“インナーバッフル”はリング形状をしていて、本来の“バッフル”とは趣きが異なっている。

しかし“面”というほどには大きくないものの、“取り付け面”に相当するパーツであることは確かだ。ゆえに“バッフル”という言葉が使われている、というわけなのだ。

続いては、役割について説明していこう。“インナーバッフル”はまず、ここまでで説明したとおりスピーカーを取り付ける際の“受け”としての役割を負うわけだが、それ以外にもいくつかの重要な使命を負っている。

その他の役割は主には3つある。1つは「スピーカーを強固に固定すること」。単に“取り付ける”だけにとどまらず、スピーカーをしっかり支えるという役割も負うのだ。もしも足場が緩いと、スピーカーは力をロスしてしまう。そうならないように、つまり、スピーカーが十分に性能を発揮できるようにするのである。

2つ目の役割は、「スピーカーの振動を鉄板に伝わりにくくすること」だ。スピーカーは振動板を動かすことで音を発するわけだが、その動きによって発生する振動がドアの鉄板に伝わるのは避けたい。不要な音が発せられることになるからだ。しかし確実な“インナーバッフル”を用意すれば、そのような弊害の発生も抑えられる。

そしてもう1つの役割は、「スピーカーを立ち上げること」である。スピーカーは高級品になるほど大型化する傾向がある。口径はほとんど変わらないが、厚みが増えてくる。そうなると取り付け面をある程度立ち上げないと、スピーカーの奥側が窓ガラスにぶつかってしまう。しかし厚みがある“インナーバッフル”を用いれば、そのようなトラブルを回避できる。

“インナーバッフル”はワンオフした方が音には有利!?

ところで“インナーバッフル”は、いくつかのメーカーから汎用品が発売されている。しかし、使用するスピーカーのタイプによっては、市販品では役目を果たせない場合も出てくる。厚みのあるスピーカーを装着しようとするときには、市販品では“立ち上げ量”を確保できない場合も出てくるからだ。そのようなケースにおいては、“インナーバッフル”はワンオフされることとなる。

なお厚みが足りたとしても、音のことを最優先に考えるのであればやはり、ワンオフした方が有利だ。ワンオフすれば、可能な限り“インナーバッフル”を大きめに作れる。“インナーバッフル”は大きい方が役目を果たしやすくなる。

例えば、スピーカーの取り付け面のフレームの幅が1cmあったとして、市販品の“インナーバッフル”で取り付けるとフレームが1mmだけはみ出すこともある。それでも9mm分は“インナーバッフル”に乗るので、とりあえずは問題なく固定できる。しかし、より強固に取り付けようとするならば、フレーム全体が“インナーバッフル”に乗っていた方が有利だ。その点、ワンオフされた“インナーバッフル”ならば、スピーカーのフレーム幅より大きなものを用意できる。よりがっちりとスピーカーを固定できる、というわけだ。

このわずかな違いが音にも効いてくる。また、ワンオフする場合には素材にもこだわれる。より強固で、より耐水性にも優れた素材を使えるようにもなる。

いかがだったろうか。このように、「スピーカー交換」をしようとするときには何らかの“インナーバッフル”が必要となり、そして音にこだわろうとするときには“インナーバッフル”は取り付けるクルマに合わせて、そして使用するスピーカーに合わせて都度ワンオフした方が有利だ。“インナーバッフル”は、とにもかくにも重要パーツなのである。

今回はここまでとさせていただく。次回も、カーオーディオをより身近に感じていただくための用語解説を継続する。お楽しみに。

《太田祥三》

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