カーオーディオをもっと身近に感じるための、『ザ・用語解説!』 Part8 サウンドチューニング編 l | Push on! Mycar-life

カーオーディオをもっと身近に感じるための、『ザ・用語解説!』 Part8 サウンドチューニング編 l

「カーオーディオシステムのグレードアップに興味はあるが、なんとなく小難しくて…」そう思っている方々に向けてカーオーディオをより身近に感じていただくための『ザ・用語解説』をお贈りしている。今回からは「サウンドチューニング」をテーマに据えてお届けしていく。

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JLオーディオのプロセッサーの設定画面。
  • JLオーディオのプロセッサーの設定画面。
  • ダイヤトーンサウンドナビの“クロスオーバー”の設定画面。

「カーオーディオシステムのグレードアップに興味はあるが、なんとなく小難しくて…」そう思っている方々に向けてカーオーディオをより身近に感じていただくための『ザ・用語解説』をお贈りしている。今回からは「サウンドチューニング」をテーマに据えてお届けしていく。

01・「プロセッサー」とは何?

最初に、「プロセッサー」という言葉について解説していく。これがまさに、「サウンドチューニング」を行うための装置だからだ。

さて「プロセッサー」とは、コンピューター関連で使われる際には「本体の中のデータ処理装置」のことを指すのだが、オーディオ関連で使われる場合には、「音源とパワーアンプの間に接続して音質などを調節する装置」のことを指す。

ちなみに言うと、ライブ会場で使われる「ミキサー」も「プロセッサー」の仲間だ。ライブにおいては楽器の音やシンガーの声そのものが“音源”であり、それらはマイクで取り込まれた後に「ミキサー」内部で調節されてからパワーアンプへと送り込まれ、スピーカーが鳴らされる。

なお、ホームオーディオでは「プロセッサー」が使われる頻度はカーオーディオほどは高くない。しかしカーオーディオでは、音楽再生メディアがカセットテープの時代から「プロセッサー」は活躍していた。そして現在でもそれは変わっていない。機材は年々進化し、存在感はむしろますます高まっている。

で、ホームオーディオではそれほど使われることが多くない「プロセッサー」が、カーオーディオではなぜにここまで普及しているのだろうか。答えはズバリ、「サウンドを補正する必要があるから」だ。

クルマの中はプライベートな空間であり、大きな音量で好きな音楽を存分に楽しめる。しかし音響的なコンディションは、実はあまりよろしくない。それを改善させ、車内を音楽を聴く環境としてベストな場所へと変化させるために、「プロセッサー」が活躍しているというわけなのだ。

02・「プロセッサー」でできることとは?

続いては、「プロセッサー」で何ができるのかを解説していこう。まず取り上げるべき機能は、「クロスオーバー」だ。これについては前回、「サブウーファー」に関する重要ワードとして解説した。復習すると「クロスオーバー」とは、「音楽信号を“帯域分割”させるための機能」である。

ちなみに、ホームオーディオのスピーカーの場合、「クロスオーバー」は基本的にスピーカーユニット内部に取り付けられている“パッシブクロスオーバーネットワーク”で行われる。パワーアンプからはフルレンジの信号が送られてきて、スピーカーを鳴らす直前で初めて“帯域分割”が行われる、というわけなのだ。

しかしながらハイエンドカーオーディオでは、パワーアンプに送り込まれる前段で“クロスオーバー”が掛けられる。そのようにされる理由は主に2つある。

1つは「マルチアンプ接続を実行するため」だ。以前に解説したとおり「マルチアンプ接続」とは、「スピーカーユニット1つ1つに対して、パワーアンプの1chずつをあてがう」接続方法であり、それをすることにより、1つ1つのスピーカーユニットをより効率的に鳴らすことが可能となる。つまりは高音質化が成し遂げられるのだが、この接続方法を行おうとするときには、音楽信号をあらかじめ(パワーアンプに送り込むよりも前に)“帯域分割”する必要があるのだ。

2つ目の理由は「セパレートスピーカーの“音の繋がり”を良くするため」だ。カーオーディオでは、ツィーターとミッドウーファーの取り付け位置が車種によって、さらには各オーナーの思惑によって変化する。結果、都度コンディションが異なるので、「クロスオーバー」のベストな設定値も都度変化する。各車の取り付けコンディションに応じてベストな“音の繋がり感”を得るために、自在に“クロスオーバー”調整が行えた方が良いのだ。

03・「プロセッサー」でできることとは? その2

カーオーディオ用の「プロセッサー」では、「イコライザー」も大活躍する。

ところで「イコライザー」とは「音色に味付けを加える機能」だと思っている方もいるかもしれないが、ハイエンドカーオーディオではむしろ、「音響特性を改善させるための機能」として活躍している。“イコライズ”という言葉にはそもそも、「等しくする」とか「均一化する」という意味がある。つまり「イコライザー」とは本来、「音響特性を本来の形に戻し均一化させるための機能」であるのだ。車内は狭いがゆえに音の反射の影響が大きく周波数特性が乱れがちだ。それを補正するために「イコライザー」は力を発揮する。

ちなみに「クロスオーバー」も「イコライザー」も、「プロセッサー」がアナログタイプであったころから搭載されていた。しかし「プロセッサー」がデジタルタイプとなることで、新たな機能が加えられることと相成った。その機能の名は、「タイムアライメント(タイムディレイ)」だ。

カーオーディオにおいて「プロセッサー」が必要となる理由は「サウンドを補正する必要があるから」だと説明したが実は、補正すべき要素がもう1つある。それは、「リスニングポジションが左右のどちらかに片寄ること」だ。

音楽を左右の2chに分けて録音し、それを左右のスピーカーで鳴らすことで音像・音場を立体的に感じ取ろうとするのが「ステレオ」なのだが、リスニングポジションが左右のどちらかに片寄ると、「ステレオ」感を感じ取ることが困難になる。

しかし、「タイムアライメント」を活用すると話が変わってくる。近くのスピーカーに対して音を発するタイミングを遅らせることが可能となり、結果、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。

この機能は、「プロセッサー」がデジタル化することで初めて可能となった。かつ、当機能はカーオーディオの“聴こえ方”においての影響力が実に大きい。なので現在は、「デジタル・シグナル・プロセッサー(DSP)」が、「プロセッサー」の主流となっている、というわけなのだ。

今回はここまでとさせていただく。次回も「サウンドチューニング」に関連した用語解説を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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