プロが伝授する、本格サウンドチューニング術!「基本と応用」第1回「ポイントソースとは?」 | Push on! Mycar-life

プロが伝授する、本格サウンドチューニング術!「基本と応用」第1回「ポイントソースとは?」

「サウンドチューニング」はプロにお任せするのが一番だ。せっかく組んだシステムの性能を十二分に引き出せなければもったいない。そのためには、プロの技術と経験に頼り、ばっちりと調整してもらうべきである。

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“タイムアライメント”の調整画面(設定前。クラリオン・フルデジタルサウンド)。
  • “タイムアライメント”の調整画面(設定前。クラリオン・フルデジタルサウンド)。
  • “クロスオーバー”の設定例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。
  • トヨタ・アクア(by エモーション)
  • トヨタ・アクア(by エモーション)
  • トヨタ・アクア(by エモーション)
「サウンドチューニング」はプロにお任せするのが一番だ。せっかく組んだシステムの性能を十二分に引き出せなければもったいない。そのためには、プロの技術と経験に頼り、ばっちりと調整してもらうべきである。

しかし、自分でもやってみたいと思っている人は多いはずだ。プロによるハイレベルな調整データとは別のメモリーを使ってあれこれと試すと、案外楽しめる。さらにはそれを思い通りに操作できるようになれば、カーオーディオ・ライフを今より一層充実させることができるはずだ。

ただし…。いざやってみるとこれがなかなかに難しい。各調整項目の意味や成り立ちはある程度分かっていても、より良いサウンドを得るためのコツがなかなか習得できない…。そう悩んでいる人も少なくないだろう。

そんな悩みを解決していただくべく、当短期集中連載をお届けする。中級者以上に向けて、本格的なサウンドチューニング術を紹介していこうと思うのだ。当サイトの登録店に協力を要請し名乗りをあげてくれたショップに取材して、毎回テーマを絞りながら、各店ならではの“調整術”(サウンドチューニングのやり方は各ショップごとで異なっている)を公開していく。

第1回目となる今回は、福岡県の実力店“エモーション”の橋本さんに話を聞き、“タイムアライメント”と“クロスオーバー”を複合的に用いて行うベーシック・サウンドチューニングの手順を教えてもらった(想定システムはフロント2ウェイ+サブウーファー)。じっくりとお読みいただきたい。


■“タイムアライメント”と“クロスオーバー”の初期設定からスタート!

「まずは“タイムアライメント”の仮設定を行います。各スピーカーまでの距離を実測し、その値を入力することから始めましょう。

測定には金属製の巻尺を使うと良いですね。これならば1人で測定することも可能です。ただし、スピーカーにぶつけてスピーカーをキズ付けてしまわないように十分注意してください。

シートポジションを決め、運転姿勢を取ってから測定を開始します。ヘッドレストに頭をつけた状態で、巻尺を伸ばし、各スピーカーの中心から鼻の頭までの距離を測ります。こうすることで、通常の頭の位置ならば、両耳の中心までを計ったことになります。ツィーターに関しては“フチ”からの距離でも構いません。スピーカーをキズ付けないことを最優先して測りましょう。そうして得た測定値を入力し、これにて“タイムアライメント”の初期設定は終了です。

続いては、“クロスオーバー”の初期設定を行います。とりあえずスロープには-12dB/octを選択し、隣り合ったユニットの“正相・逆相切り替え”を逆相にします。フロント2ウェイならツィーターを、フロント3ウェイの場合にはミッドレンジだけを逆相にすればOKです。スロープが-12dB/octのときは位相が反転しますので、逆相を選べば、理論的には、ばっちり位相が合うはずです。最初は-12dBタイプに設定しておき、後で-18dBや-24dBに微調整します。

カットオフ周波数は、ツィ-ターが下まで伸びる(下側の再生帯域が広い)タイプであれば3.15kHz、そうでなければ4kHz、このどちらかで良いと思います。ツィーターが下まで伸びるかどうかは聴いて判断します。3.15kHzに設定してうるさく感じられるときは、そのツィーターは下まで伸びないタイプだと判断できます。音が歪んでくると“カーカー”とうるさく感じられるようになるんです。その場合には4kHzを選んでおきましょう。

一方ミッドウーファーのカットオフ周波数は2.5kHzに設定します。スロープが-12dBの場合、ツィーターとミッドウーファーのカットオフ周波数は少し離したほうがバランスが良くなることが多いからです。

続いてミッドウーファーのハイパスを63Hzに、サブウーファーのローパスは50Hzに設定します。スロープはやはり-12dB/octを選びます。なおここでは“正相・逆相切り替え”は触らないでおきます」

以上が、橋本さんに教えてもらった“初期設定”方法だ。その上でいよいよ、全体を整えて行く作業に突入していく。


■続いては左右それぞれで、“ツィーターとミッドウーファー間”の調整を!

続いては、左右それぞれにおいてのツィーターとミッドウーファー間のチューニングへと進んでいく。まずは運転席から遠い方を調整する。なので、運転席側のスピーカーとサブウーファーはミュートして、音が出るのは助手席側だけにしておこう。

「ここからは、“ポイントソース”を作っていく作業に入ります。“ポイントソース”とは“点音源”という意味です。2ウェイスピーカーの場合は、ツィーターとミッドウーファーに帯域分割して音楽を再生しますが、それぞれから音が聴こえてくるのではなく、あたかも音楽が1か所から聴こえてくるかのような状態を作り出したいのです。

この時には、ピアノと女性ボーカルとのデュオ演奏の音源(ステレオ)を使うとやりやすいと思います。曲をかけてエアコンの吹き出し口の上か下あたりに、10cmとか12cmくらいのフルレンジスピーカーがあるかのような聴こえ方がしたら、“ポイントソース”が完成していると考えていいでしょう。

そうではなく、女性ボーカルがツィーターから、ピアノの低音部がミッドウーファーから聴こえてきたら、位相が逆、と判断できます。ツィーターの“正相・逆相切り替え”を正相に戻してみてください。

また、ピアノの低い音だけがドアのスピーカーとは違う箇所から聴こえきたら、ドア内部の鉄板が共振している状態だと判断できます。このときは鉄板に制振材を貼りたいですね」


■“ポイントソース”の精度を上げていくことで、ベーシックチューニングが整っていく…。

続いては、“ポイントソース”の精度を上げていくための方法を教えてもらった。

「“音量”のバランスを取ることも相当に重要です。例えば女性ボーカルの“サ行”の音だけがツィーター側から聴こえてくるような場合には、ツィーターの音量が大きめになっていると判断できます。“サ行”の音には高音成分が多めに含まれていますので、それが目立つということはつまり、ツィーターの音量が大きい可能性が高いです。

そして“音量”バランスが整ってくると、“ポイントソース”の精度も高まってきます。ピタッとキマると“ポイントソース”が小さくなり、かつ、情報量がぐっと出てきます。

そのように聴こえてくるのを目指して、さらには“タイムアライメント”、“クロスポイント”、“スロープ”、それぞれの微調整をいろいろと試していきましょう。微調整して“ポイントソース”がボケてきたり音色がキレイでなくなってくるときは、悪い方向に向かっていると判断できますので、逆方向に戻しましょう。

運転席から遠いほうのツィーターとミッドウーファー間の調整が終わったら、今度は運転席側の調整に進みます。なお、“クロスオーバー”については遠い方で決定した値に合わせればOKです。“クロスオーバー”は、左右で同設定にするのが基本です。

そして、遠い方のスピーカーをミュートして運転席側のスピーカーだけを鳴らし、こちらでも理想的な“ポイントソース”が現れるように、“音量”と“タイムアライメント”を微調整していきましょう」


■モノラル音源を用いて、左右のスピーカー間にも“ポイントソース”を作り出す!

ここまでが完成したら、次にはいよいよ左右のスピーカー間の調整に進んで行く。

「左右のスピーカー間の調整を行う際には、モノラル音源を使うとわかりやすいと思います。私がこれまでいろいろと試した中でもっとも調整に向いていたモノラル音源は、ヘレン・メリルの“You'd be so nice to come home to”ですね。クリフォード・ブラウンと一緒に演っているジャズの名曲です。この曲だと、低い音から高い音までそれぞれのチェックがしやすく、かつ定位もとても合わせやすいんですよ。ソリストが代わるごとで異なる音域のチェックができますし。おすすめです。

そしてここでも“ポイントソース”がキレイに出来上がることを目指します。“ポイントソース”がピタリとキマると、やはり情報量がぐっと出てきます。カギとなるのはここでも“音量”のバランスです。ここに重きを置くといいのではないでしょうか。

そして最後にいよいよ、サブウーファーの調整を行います。このときはウッドベースのソロ音源を使うとやりやすいと思います。サブウーファーのミュートを解除し、まずは“正相・逆相切り替え”で正・逆を試します。そして、音が大きく聴こえるほうを選択します。

続いては“音量”を合わせます。サブウーファーの“音量”が大きいと低音が後ろから聴こえてきますので、段々と“音量”を絞っていき、後ろから聴こえてこなくなるギリギリのところに合わせましょう。低音がちょうど自分の頭あたりのところから聴こえてくる感じがベストだと思います。

その状態から“タイムアライメント”を微調整させて、頭のところで鳴っていた低音を前に移動さていきます。完全に“前方定位”させられれば完成です。

私はこのあと、“イコライザー”調整に進んでいきます。“イコライザー”調整については特にいろいろな考え方がありますが、私は積極的に使うべきだと考えています。クルマの中では周波数特性の乱れが必ず起こります。それは正すべきだと思うんです。イコライザーはそのための機能ですから。

“イコライザー”調整はとにかく、練習が必要です。いろいろと試して経験則を積むしか、上手くなる方法はありません。ぜひ、いろいろと試して腕を磨いていただきたいですね」


連載の第1回目からいきなり濃い内容をお伝えできたと思うのだが、いかがだったろうか。ざっくりと全体を整えたいと思ったときにはまず、橋本さん流の調整方法を実践してみよう。実際にやってみると話の内容がさらにリアルに感じ取れるはずだ。ぜひともお試しを。
《太田祥三》

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