“パッシブ”か“アクティブ”か、“2ウェイ”か“3ウェイ”か。フロントスピーカーの『鳴らし方』大研究! Part.4 “3ウェイ” | Push on! Mycar-life

“パッシブ”か“アクティブ”か、“2ウェイ”か“3ウェイ”か。フロントスピーカーの『鳴らし方』大研究! Part.4 “3ウェイ”

フロントスピーカーの鳴らし方のいろいろについて考察している。その最終回となる今週は、より高度なシステムであり、かつ、利点も多いと言われている“3ウェイ”について考えていく。そのメリットとは、そして難しさとは何なのか…。詳細に解説する。

カーオーディオ 特集記事
フォーカル・ES 165 KX3

フロントスピーカーの鳴らし方のいろいろについて考察している。その最終回となる今週は、より高度なシステムであり、かつ、利点も多いと言われている“3ウェイ”について考えていく。そのメリットとは、そして難しさとは何なのか…。詳細に解説する。

■ミッドウーファーの負担を減らして、よりクリーンなサウンドをゲット

先週の記事でお伝えしたように、“2ウェイ”にもさまざなメリットがある。であるので、“2ウェイ”と“3ウェイ”のどちらが良いかは、一概に言える話ではない。

しかしながら、「高音質を追求するならば“3ウェイ”のほうがやりやすい」という側面は、確かにある。サウンドコンペに出場するクルマを見てみると、“3ウェイ”が選ばれている比率が高い。“3ウェイ”にはメリットがいくつかあり、それぞれが“音に効く”のである。

どのようなメリットがあるのかを、1つ1つ検証していこう。まず1つ目のメリットとして挙げられるのは、「ミッドウーファーの負担を減らせること」だ。“2ウェイ”のミッドウーファーは相当に広い帯域を担当している。仮に、サブウーファーを使っていなくて、トゥイーターとのクロスポイントが2.5kHzだったとしたら、その間の音域は約7オクターブにも及ぶ。可聴帯域である20Hzから20kHzまでが約10オクターブであるので、その7割を担当しなくてはならない、ということになるのだ。

サブウーファーを導入して仮に80Hz以下をそれに任せたとしても、まだあと、5オクターブもの範囲が残っている。“2ウェイ”におけるミッドウーファーにかかる負担は、結構大きい、というのが実情なのだ。

負担が大きいことによりミッドウーファーは、特に高い音の再生において問題を抱えがちとなる。振動板がキレイなピストンモーションを行えず、高い音の再生時に歪みが発生する可能性が高まるのである。

しかし、“3ウェイ”にしてミッドレンジを追加すると、ミッドウーファーの負担がぐっと小さくなる。結果、得意な仕事だけに専念できるので、よりクリーンなサウンドを奏でられるようになるのである。

次に、2つ目のメリットを解説しよう。それは「美味しい帯域をロスなく感じられること」だ。

オーディオの理屈から言えば本来は、スピーカーと正対して音楽を聴きたいところだ。ホームオーディオのスピーカーを、わざわざ横に向ける人はいないだろう。正対して聴いたほうが、ロスなく情報を感じ取れるのだ。

しかしカーオーディオではそうはいかない。ドアのミッドウーファーと正対することは不可能だ。しかし、ミッドレンジを追加すれば、正対して聴ける帯域がぐっと広がる。しかもミッドレンジが担当する帯域は、“美味しい”帯域だ。ボーカルをはじめ、主旋律の多くは中域にある。それを目の前のスピーカーからロスなく感じ取れるのである。これは相当に大きなメリットと言っていい。

■中域と低域の定位のズレが起こりにくい、というメリットもある

メリットはさらにもう1つある。それは、「定位をよりシャープに再現できる」というものだ。

実をいうと“2ウェイ”では、低域の定位をシャープに再現することが少々苦手だ。これも、担当音域が広いことによる弊害である。

具体的には、以下のようなメカニズムからそれは起こる。低い音は指向性が弱く、高い音は指向性が強い。なので、低域に関しては近いほうのスピーカーから多くを感じ取り、指向性の強い中域の音は、より正対している反対側のスピーカーから多くを感じ取ることとなる。このようなアンバランスが起こることで、低域と中域の定位がズレてしまうのである。

しかし、ミッドレンジを設けることで、この弊害を払拭することが可能となる。低域と中域をそれぞれ個別にコントロールすることができるので、両者を揃えることが可能となるのだ。

“3ウェイ”が高音質を獲得する上で有利である主な理由は以上だ。しかし、“3ウェイ”にもデメリットはある…。

デメリットは主に2つある。1つは「コストが多くかかる」こと、もう1つは「コントロールが難しい」こと。

どこにコストがかかるのかというと、まずはスピーカーユニットが1つ増える分のコスト、さらには、マルチアンプシステムを組む場合は、パワーアンプのch数も多くが必要で、それに付随してケーブルの必要本数も増える。その上、インストールにも手が掛かる。雪だるま式に費用がかさんでいく、と言ってしまっては少々大げさかもしれないが、それなりの出費は覚悟しなくてはならないだろう。

そして、コントロールの難しさもいかんともし難い。ユニットが増える分、ケアしなくてはならない部分が増え、結果、“失敗”のリスクも高まってしまう。“プロショップ”に任せれば問題とならない話ではあるが、せっかくコストをかけたのに詰めを誤って100%のパフォーマンスが発揮できない…、なんていうことも、あり得ない話ではないのだ。

ただし、デメリットはこれくらいだろう。上手にコントロールできたなら、メリットばかりが引き立ってくる。コストも多めにかかり、システムも比較的に大がかりにはなるものの、高音質を得ようとするならば、“3ウェイ”に挑戦する価値は、十分ある。

最近は、リーズナブルなモデルにも“3ウェイ”が設定されるケースも目立ってきた。興味があれば、まずは手頃な製品で“3ウェイ”の旨味を体験してみるのも1つの手だ。新たな発見があることは、間違いない。

さて、4回にわたってお贈りしてきた当特集は、いかがだっただろうか。“パッシブ”にも“アクティブ”にも、そして“2ウェイ”にも“3ウェイ”にも、それぞれメリットがあり、同時に難しさもある。1つのやり方を深く極めていくのも良し、新しいスタイルに挑戦してみるも良し。あれこれと試行錯誤しながら、楽しみながら、自分にとっての“ベストシステム”の構築を目指していこう。

《太田祥三》

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