新作超ド級ハイエンド・パワーアンプを聴く!! Part.4 「D’AMORE ENGINEERING・A1500.2」編 | Push on! Mycar-life

新作超ド級ハイエンド・パワーアンプを聴く!! Part.4 「D’AMORE ENGINEERING・A1500.2」編

イース・コーポレーションから発表された、超大物・パワーアンプ計5機種の緊急試聴リポートをお届けしている。

カーオーディオ カーオーディオ特集記事
D’AMORE ENGINEERING・A1500.2
  • D’AMORE ENGINEERING・A1500.2
  • D’AMORE ENGINEERING・A1500.2
  • D’AMORE ENGINEERING・A1500.2
  • D’AMORE ENGINEERING・A1500.2
  • D’AMORE ENGINEERING・A1500.2
  • D’AMORE ENGINEERING・A1500.2
  • D’AMORE ENGINEERING・A1500.2

イース・コーポレーションから発表された、超大物・パワーアンプ計5機種の緊急試聴リポートをお届けしている。

今週は最後の1台、新進気鋭のアメリカンブランド、「D’AMORE ENGINEERING(ダモーレエンジニアリング)」の『A1500.2』について、その詳細をお伝えする。

D’AMORE ENGINEERING・A1500.2

伝説の怪物パワーアンプ、『T15kW』のDNAを受け継ぐ新星…。


まず最初に、彗星の如く現れたこの「D’AMORE ENGINEERING(ダモーレエンジニアリング)」というブランドについて解説していこう。

創設者は、アンソニー・ダモーレ氏(通称トニー氏)。何を隠そうトニー氏は、2006年に「ロックフォード・フォズゲート」が発表して世界中のカーオーディオフリークたちをアッと驚かせたモンスターパワーアンプ『T15kW』の開発責任者を務めた人物である。出力1万5000W、価格は400万円オーバーというこのモンスターパワーアンプは、圧倒的なパワーハンドリングはもちろんのこと、世界最高レベルの音質性能をも特長とする伝説の名機。まさしく規格外のパワーアンプだった。当機で16.5cmの2ウェイセパレートスピーカーを試聴する音質評価の取材を行った経験があるが、極限的なS/N感の高さとリアリティに衝撃を受けた。その記憶は、10年経った今もなお、鮮烈に脳裏に焼き付いている。

『T15kW』の凄さのキモは、トニー氏によって導き出された“HT(ハイブリッド・テクノロジー)”および、“大容量ナノテクノロジー・コンデンサー”という2つの先進技術にあった。大量の電力を蓄電可能としたこれらの電子テクノロジーが、『T15kW』の性能を支えるキーとなっていたのだ。

さて、今回ご紹介するこの「D’AMORE ENGINEERING・A1500.2」(税抜価格:90万円)は、文字どおり、『T15kW』のDNAを直に受け継いだモデルと言っていい。まず、ルックスからして『T15kW』の雰囲気が随所に漂う。アルミを削りだして作り出されたヒートシンクの佇まいも『T15kW』のデザインを彷彿とさせるし、LEDの光がアナログメーターのように動くパワーインジケーターに至っては、『T15kW』とほぼ同様の仕様である。

ルックスのみならず、回路設計においても『T15kW』の思想が随所に投影されている。それは特に、電源系の設計おいて顕著だ。当機でも大容量の蓄電機構が採用され、さらには、電圧増幅段と電流増幅段のPCBを分離。電源部を磨き込むことでも高いS/Nを確保しようとしているあたりは、まさに『T15kW』でも行われていたことである。

その上で、当機ならではのこだわりも随所に見られる。基板設計においては、チャンネル左右を完全にミラーリングさせた“デュアルモノ”構造を採用し、チャンネルセパレーションを徹底追求。さらにはコスト度外視で、オーディオ用キャパシター、トランジスター、非誘導性抵抗等々、各パーツに逐一、一級品が投入されている。

つまりこの『A1500.2』は、トニー氏が持ち得ている技術、知識、思想がフル注入され、かつ、贅も尽くされて、最高の音質性能を発揮するパワーアンプに仕上げられている、というわけだ。

D’AMORE ENGINEERING・A1500.2
D’AMORE ENGINEERING・A1500.2

“ダイナミック”な表現力にただただ脱帽するのみ…。


ところで、かくもスーパーハイエンドなこのパワーアンプは、どのような理由で作られることとなったのだろうか。実を言うときっかけは、イース・コーポレーション 尾前社長からのラブ・コールだ。

昨今、ハイエンドカーオーディオ市場は、欧州ブランドの攻勢が強い。イース・コーポレーションの取り扱い製品だけをみてもその流れが顕著だ。しかしながら同社はアメリカンブランドに対してひとかたならぬ思い入れを持っている。同社のルーツが、アメリカン・ブランドにあるからだ。だからこそ、メイドインUSAの最高傑作、世界最高のアメリカン・パワーアンプの登場を、尾前社長は待望していた。そんな中、トニー氏が新たなブランドを立ち上げたことを知り、トニー氏ならばそれを作り上げられると確信し、氏にその製作を要請した、という次第なのである。開発にあたっては資金面でもサポート。試作段階では日本でも試聴が繰り返され、音質性能に対する要望も適宜出されたとのことだ。

かくして、このスーパーハイエンド・パワーアンプは誕生している。愚直に“世界最高”が目指され、すべてにおいて一切の妥協が排され、ただただ高性能が追求され作り上げられたのだ。

さて…。そのサウンドは、コンセプトに相応しいものとなっているのだろうか…。

メイドイン・ジャーマンの新作スーパーハイエンドアンプを聴いたその直後に、この試聴は実行された。4機種のインパクトが鮮烈に残る中、『A1500.2』の音はどのように耳に入ってきたのか…。

テストは、システムもコンディションも、「GROUND ZERO」のモデル群を聴いたのと同じ状態で行われた。

おごそかに試聴トラックをスタートさせて、聴こえたきたその音とは…。

曲が始まり音像が目の前に広がった瞬間、真っ先に感じたのは“ダイナミックさ”だった。サウンドステージが左右、上下に大きく、奥行きも深い。左右は2本のスピーカーの外側にまで、部屋一杯に広がっている。センターボーカルはすぐそばにありながら、遠くにある楽器は深いところから聴こえてくる。音楽のスケール感がこの上なく大きく、迫力がもの凄いのだ。

表現もダイナミックだ。小さい音と大きな音との差も大きければ、固い音と柔らかな音の差も大きい。そして、冷静な音はあくまでも冷静で、情熱的な音はとことん情熱的だ。聴き手の感情を大きく揺さぶられる。演奏者の気迫が波動となって押し寄せてくる。

ここまでのダイナミックな表現を可能としているのは、このパワーアンプの基本スペックの高さがあってこそだ。S/N感の高さは紛れもなく最高レベル。情報量、解像度も、極限的に多く、極限的に高い。

D’AMORE ENGINEERING・A1500.2D’AMORE ENGINEERING・A1500.2D’AMORE ENGINEERING・A1500.2

なお、当パワーアンプは、クラスABと、完全なるクラスAのいずれかの増幅モードを選択することが可能だ。クラスAでの試聴も行ったが、こちらはこちらで、また新たな良さを感じることができた。音に温もりが加わり、サウンドがさらに濃密になった。

いやはや、どちらも凄い。クラスABとクラスAで、優劣をつける気持ちはまったく湧いてこない。消費電力の兼ね合いも考慮すべきだが、ふた通りの良さが味わえるのはユーザーにとって大きなメリットだ。積極的に切り替えて使ってみれば、『A1500.2』の能力をより深く味わうことができるだろう。

理想の音を手にするためなら予算に限度を設けない、という方ならば、これを聴かずして製品選びを完了させるべきではないだろう。

「D’AMORE ENGINEERING」の『A1500.2』。スーパーハイエンド・パワーアンプ市場に大きな一石を投じる見逃せないモデルが、また1つ誕生した。

《編集部 藤澤の一言コメント》
しっかりとした低域の土台に支えられ、力強く階調を積み上げていく。豪勢な厚みを持ちながらも分解能が高く、混濁を感じることは無い。パワフルに、そして質高く上品に音楽を再生しながら輪郭はシャープに煌めきを持って伸びていく。ハイパワーと高音質を見事に両立しているパワーアンプ。A級動作に換えてみると、優しさコーティングがされたように曲の温度が上がる感覚。力強さと煌めきはそのままに、輪郭の鋭さが変わってくる。AB級では目の覚めるハイパワーな高音質、A級ではハイパワーな高音質に落ち着きが加わった印象だ。

《太田祥三》

特集

関連ニュース

page top