音楽の新たな楽しみ方を創造するカロッツェリア「ミュージッククルーズチャンネル」はカーナビのエンタメ革命をもたらすか | Push on! Mycar-life

音楽の新たな楽しみ方を創造するカロッツェリア「ミュージッククルーズチャンネル」はカーナビのエンタメ革命をもたらすか

パイオニア・カロッツェリアが『サイバーナビ』シリーズで提供している「ミュージッククルーズチャンネル」をご存じだろうか。2015年に発売されたサイバーナビ「0999」シリーズと呼ばれる上位モデルに搭載されている音楽配信サービスだ。

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パイオニア MLE企画室 菅原啓太郎氏
  • パイオニア MLE企画室 菅原啓太郎氏
  • パイオニア マルチメディア企画部 企画1課 橋本岳樹氏
  • パイオニア MLE企画室 菅原啓太郎氏(左)とマルチメディア企画部 企画1課 橋本岳樹氏
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パイオニア・カロッツェリアが『サイバーナビ』シリーズで提供している「ミュージッククルーズチャンネル」をご存じだろうか。2015年に発売されたサイバーナビ「0999」シリーズと呼ばれる上位モデルに搭載されている音楽配信サービスを利用した機能だ。大手音楽配信サービス「レコチョク」と提携し、130万曲以上の楽曲が車の中で自由に楽しむことができるというものだ。

◆ドライブ中のエンタテインメント空間を変革する楽曲ストリーミング機能

しかし、これを従来からの楽曲ストリーミングサービスと同じようなものという印象を抱いているなら、それは間違いだ。このサービスは、単にネット上の大量の楽曲を定額で聞けるだけでなく、ドライブ中の音楽エンタテインメントを広げ、車の中での音楽の楽しみ方も変えてくれる可能性を秘めている。

ではそもそも、パイオニアがミュージッククルーズチャンネルを開発した背景にはどのような事情があるのだろうか。パイオニアのMLE企画室 菅原啓太郎氏は次のように語る。

「弊社では、パソコンに保存されている楽曲をカーナビ本体のHDDなどに転送できるミュージックサーバーなどの機能を提供していました。その利用者にアンケートをすると、CDやリッピング、メモリオーディオなどによる曲の車内への持ち込みが面倒という意見がありました。使っているとだんだん古い曲ばかりになったり、聞く曲の幅がなくなり偏りがでるという問題も発生します。このような悩みを解決するため、レコチョク様と2年あまり考えて、車専用の新しい音楽サービスとしてミュージッククルーズチャンネルの提供を決めたのです」。

◆独自の楽曲分析ノウハウ活かし、その人の好みと気分に合った楽曲をお任せでMIX

パイオニアでは各楽曲を「年代」「ジャンル」「テンポ」などを解析し、「イベント」「気持ち」「季節」といったタイトルや歌詞に含まれる要素を情報として付与しています。同じテーマを持つ楽曲をつないで再生する「MIXTRAX」機能を活用することで、そのときのシチュエーションや気分にマッチする楽曲を違和感なく楽しむことが可能になっている。

ミュージッククルーズチャンネルでは、「ヒッツ」「アーティスト」「お気に入り」という3つの大きなメニューを用意。「ヒッツ」では、文字通り様々なジャンルや年代の有名曲を集めたもの。また「アーティスト」はいま勢いに乗っている旬のアーティストの楽曲を独自のチョイスで集めたものだ。「お気に入り」は、自身でオリジナルの特集チャンネルが作れる「マイチャンネル」機能を利用したものだ。

マイチャンネルでは、「シチュエーション」「気持」「イベント」などの大項目から、それぞれ例えば「高速道路」「明るい」「誕生日」といった項目を組み合わせると、その条件に合った曲が自動的に選ばれる。デートドライブ前、家族旅行前などは、マイチャンネル機能で目的やシチェーションにあった特集を作っておくとよさそうだ。

◆カラオケ&サビ抽出など、ワイワイ音楽を楽しめるエッセンスも

他にも、BGMモードを使うと、再生中の曲からボーカル音を消して伴奏だけ流すこともできる。

「クルマは大勢で乗るシーンも多いですよね。これはいわゆるカラオケの再生モードですが、なんとこのとき接続しているスマホ側に歌詞を表示することもできます。歌詞は曲に合わせて色が変わるので、まさにカラオケですね。HDMI入力付きの後席モニターがあれば、そのモニターに歌詞を映しだして車内のみんなでカラオケを楽しむこともできます。」(菅原氏)

これまで、カーナビの進化といえば、ナビ機能の高度化だったりあるいは映像の美しさだったり、ハードウェア性能の向上の訴求が中心を占めていた。しかし、2015年に登場したサイバーナビは、高機能化への取り組みだけでなく“ナビが実現する新しいエンタテインメントの追求”へと新たな一歩を踏み出した。

「恋人であったり、あるいは友だちだったり家族だったりと、クルマの閉じた空間はコミュニケーションをするには絶好の環境なのです。家族でお出かけしたとして、先のBGMモードをアニメソングのチャンネルで使えば子どもたちは放っておいても歌いだすでしょう(笑)。ミュージッククルーズチャンネルを通じて、世代を超えたコミュニケーションとエンタテインメントが実現できれば、と考えたのです」(菅原氏)

◆ハードウェアにも妥協なきこだわり、ノイズ対策も徹底

ミュージッククルーズチャンネルに対応しているのは、サイバーナビでも最上位機種に属する0999シリーズとなる。当然、カーAVとしての機能もハイクラスのものとなる。0999シリーズでは、フラッグシップモデルとしてAV機器としての基本性能にもこだわったという。

「サイバーナビ 0999シリーズでは、ラジオやCD、スマートフォン等に加えミュージッククルーズチャネルもマルチソースの音源のひとつとしてとらえ、どのようなソースであっても最高の音質を提供できるように考えています。ミュージッククルーズチャンネルという新しい視聴スタイルの楽しみを最大化するためにさまざまな機能にこだわりました」(マルチメディア企画部 企画1課 橋本岳樹氏)

橋本氏によれば、旧モデルと比較して、使用している部品の性能や特性を上げ、オーディオ機器としての基本性能が底上げされているという。例えば、アナログ回路に利用しているオペアンプは高性能な部品を採用している。部品コストは跳ね上がるが、0999シリーズではコストより品質を重視した設計となっている。また、ノイズ対策もパイオニア独自のノウハウにより、カーナビだからという妥協はないという。カーナビは通信モジュールやGPSアンテナなどノイズの元となる機能も多く、オーディオ機器としては非常に厳しい条件にあるため、ノイズ対策は音質向上の要といってよい。

0999シリーズでさらにこだわった部分と新しい機能は、「アドバンスド・サウンドレトリバー」と「バイアンプモード」の2つだ。アドバンスド・サウンドレトリバーは、デジタル化するときに圧縮された音源データでカットされた高周波成分を独自の信号処理によって補正してくれる機能だ。一般的なデジタル音源データは、デジタル化・圧縮(データサイズを小さくする処理)するとき、高周波部分の情報が切り落とされてしまう。そのためCDなどより、臨場感が足りない、音の深みがない、などと言われている。しかし、アドバンスド・サウンドレトリバー機能により、全帯域にわたってCD並みのダイナミックレンジを確保している。

15年モデルのサイバーナビで新しく追加されたオーディオの目玉機能はバイアンプモードだ。通常の4chシステムの場合、前後左右のスピーカーごとにアンプを1つずつ割り当てている。各スピーカーがウーファーとトゥイーターで構成されていても割り当てられるチャンネルは1つだ。これに対しバイアンプモードでは、ウーファーとトゥイーターに別々のチャンネルを割り当てる。つまり左右のフロントスピーカーだけでも4つのアンプを別々に割り当てることになる。

「アンプが別々になることで、スピーカーの位置、種類ごとに個別のチューニングが可能になり、高域をよりクリアにしたり、低域を力強くしたりという細かい制御が可能になります。これと、タイムアライメント機能、リスニングポジションの設定、13バンドのグラフィックイコライザーなどと組み合わせれば、さらに高度な音のチューニングが楽しめます」(橋本氏)

◆クルマの音楽空間を長年創造してきたカロッツェリアだからこその提案力

なお、ミュージッククルーズチャンネルは、再生する音楽データはストリーミングによる配信方式となるが、スマホの専用アプリにはキャッシュ機能も備わっており、再生した曲をスマホ側のストレージにしばらくの間キャッシュとして保存しておくことができる。保存期間中にその曲を再生するタイミングがきたら、あらためて配信を受けるのではなく、キャッシュに保存されたデータを使って再生してくれる。家庭のWiFiでアプリで楽曲を保存しておけば、外出時も無駄なパケット通信を抑えることができる。これもうれしい機能のひとつだろう。

このミュージッククルーズチャンネルは、搭載ナビ購入時は1年間の利用権がついているので無料、その後の課金額も月250円程度(年額3000円一括払い)と、スマートフォン向けの定額制音楽ストリーミングサービスと比べても割安に設定されている。

聞きたい音楽を、個別の曲ではなくジャンルやシチュエーションなどで自由に選ぶことができるミュージッククルーズチャンネル。保存音源であるCDやダウンロード再生、予定され視聴者が個別に内容を指定できないラジオ番組視聴、個別に選ぶことができるが選択が偏りがちなオンデマンドのストリーミング配信とも違う、まったく新しい音楽体験を提供してくれる。パイオニアがこれまで長年築いてきた音楽エンタテインメントのノウハウを、車内空間でどのように生かし切ることができるかという発想の元で出された提案といえるだろう。

《中尾真二》

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