ドイツのスーパーハイエンド・ブランド “RS Audio”。その新グレード『RS Revelation(レベレーション)』シリーズが大きな話題を呼んでいる。マイカーライフでも、5月の週刊特集でインプレッション・リポートをお贈りしたのだが、反響の大きさは通常の新機種特集以上だった。
実はその時、上位スピーカー“HAC”のミッドウーファーのみ、試聴が叶っていなかった。当時、同機だけが日本上陸を果たしていなかったのだ。それが遂に、ディストリビューターのイース・コーポレーションの元に届き、さらには“HAC”を搭載するデモカーの製作もスタートしたとの一報が編集部に飛び込んできた。7月下旬のことである。
これは聞き捨てならない。そのデモカーの完成のタイミングに合わせての“HAC”の試聴取材を申し込んだ。これでようやく『RS Revelation』シリーズの全貌を知ることができる…。
これから4週にわたり、“HAC” ならびに『RS Revelation』シリーズを搭載した最新デモカーのサウンドを、じっくりとリポートしていく。
ところでこの機会に、“RS Audio” についておさらいしておきたい。
“RS Audio” とは、1999年にRoberto Scalabrino(ロベルト・スカラブリーノ)氏によって創設された高級カーオーディオブランドである。「精度の高い材料だけが精度の高い製品を生み出せる」という理念のもと、スーパーハイエンドスピーカーである『RS Master』シリーズを創出。その上質で品格のあるサウンドは世界中のカーオーディオ・ファンに認められているところだ。なお、同シリーズには2ウェイと3ウェイがラインナップされている。概要は以下の通りだ。
RS Audio Master2(税抜価格:65万円)
●仕様:2Wayコンポーネントスピーカー ●定格入力:100W ●公称インピーダンス:4Ω ●周波数特性:30Hz〜22kHz ●能率:92dB
RS Audio Master3(税抜価格:94万円)
●仕様:3Wayコンポーネントスピーカー ●定格入力:100W ●公称インピーダンス:4Ω ●周波数特性:30Hz〜22kHz ●能率:92dB
一見しただけで、このスピーカーが特別であることを理解できる。特にミッドウーファーのバスケットは印象的だ。なんとこれは、アルミの無垢材から削り出されたワンピース構造。しかも、各パーツの切削加工から最終的な組み上げまで、すべての行程が熟練のクラフトマン達の手作業により行われているという。優れたリニアリティを生み出すために厳選素材を贅沢に採用し、かつ膨大な手間と時間をかけて作られているのだ。
ツイーターでは “Artificial Stone(人工石)” が用いられたケースが最大の特長だ。この特殊な素材からなる “レゾナンス・チャンバースタイル” のケースが、ダイヤフラムの共振を完璧に制御・抑制。このようなこだわりが各所に注入されて『RS Master』シリーズは作り上げられている。
その音は、とにかく正確。解像度が極限レベルに高く、繊細でスムーズ。まさしくスーパーハイエンドなサウンドを具現化するスピーカー、それがこの『RS Master』シリーズである。
このようなプレミアムブランド “RS Audio” が、満を持して登場させた新グレード『RS Revelation』シリーズ。ラインナップは以下のとおりだ。2chと4chのパワーアンプが各1モデル、レギュレーター(安定化電源ユニット)が1モデル、そして16.5cmのミッドレンジとシルクドームツイーターを組み合わせた2ウェイコンポーネントスピーカー、さらに “HAC” シリーズのツイーターとミッドウーファー、加えて10インチおよび12インチのサブウーファーまでを擁している。
さて、インプレッション・リポートに入っていこう。まずは、“HAC” を聴く前に、スタンダードグレードとなる『RS Revelation 165』の再試聴から行った。同スピーカーの概要は以下の通りだ(試聴環境の詳しい説明は次週に譲る)。
RS Revelation 165(税抜価格:21万円)
●仕様:16.5cm 2wayコンポーネントスピーカー ●定格入力:120W ●公称インピーダンス:4Ω ●周波数特性:39Hz〜20kHz ●能率:91dB
一聴して、このスピーカーの素性の良さを実感できた。とにかく自然で、音の出方が正確だ。
低域はどっしりと厚みがあり、ドライブ感も高い。しかも適度にタイトで、弾力感も十二分。また、高域は音の響きと余韻が美しく、そして繊細でスムーズ。全体的には、音に芯があり厚みもある。
音色傾向は、“温かみのあるサウンド”と言っていいだろう。長時間聴いていても聴き疲れることはなく、ボリュームを上げても高域が耳に刺さらない。それでいて音の輪郭はクッキリと鮮明で、音量が小さな楽器の音もしっかりと描き出す。ぼやけた感じは一切ない。
『RS Master』シリーズのDNAを忠実に受け継ぎながら、ここまで価格が抑えられているのはうれしい限り。リリースが開始されて早々にヒットしているのも頷ける、満足度の高いサウンドが堪能できた。
それに対して、“HAC”の実力はどうなのか…。
その結果は次週にたっぷりとお届けするが、結論だけ先にお伝えしておこう。 “HAC” は『RS Revelation 165』に対して価格がぐっとアップするのだが、そのアップ分以上の手応えがあった。実に素晴らしいスピーカーだった。
次週もどうぞ、お読み逃しなく。