デモカーを各種擁して全国各地で試聴会イベントを展開している三菱電機。それぞれのデモカーは、何をアピールしようとしているのか、そしてどのような音を聴かせてくれるのか…。そこのところをこれから4回にわたりじっくりとリポートしていく。第1回目となる当回に取り上げるのは、アルファ ロメオ・ジュリエッタ。そのサウンドから見えてきたものとは…。
最初に、搭載システムからご紹介していこう。
ヘッドユニットは、『DIATONE SOUND.NAVI』の最新モデル、NR-MZ90PREMI。そしてフロントスピーカーも同ナビと同時にリリースされた上級モデル、DS-G500。そしてサブウーファー・SW-G50も1発搭載されている。パワーアンプにはモスコニを採用し、4chモデルであるZERO4でフロント2ウェイをマルチドライブし、サブウーファーは同・ONE120.2で鳴らしている。
ちなみに、フロント2ウェイは、いわゆる“仮想3ウェイ”でコントロールされている。「マルチ & パッシブ設定の3Way/L」を使い、ミッドウーファー帯域を上下に分割しそれぞれ個別にレベル調整とタイムアライメント調整を施す、というコントロール方法だ。
ところで、『DIATONE SOUND.NAVI』の「マルチウェイ・タイムアライメント」機能を使えば、フロント2ウェイスピーカーをパッシブクロスオーバーネットワークを用いて鳴らしても、ツイーター帯域とミッドウーファー帯域それぞれに、個別にタイムアライメントがかけられる。この機能を活用することでパワーアンプのch数を抑えることが可能となり、その分高級なパワーアンプを導入することもできる。また、リアスピーカーを殺さなくてもすむ、という利点も生まれる。
しかし、このジュリエッタでは、それらの利点をアピールすることはせずに、敢えてマルチアンプシステムを組んでいる。なぜそれが選択されているかと言うと…。
このクルマでは、『DIATONE SOUND.NAVI』で実現し得る最良のHi-Fiサウンドをデモすることが目指されているからなのだ。パッシブを用いてもHi-Fiサウンドを実現できるが、パワーアンプのch数を多くおごることにはさらなる利得がある。それだけ余裕を持って鳴らせるからだ。ベストを叩き出して、「ナビヘッドではハイエンドの音は実現できない」という疑念に対し、1つの回答を提示しようしているのである。
さて、その音はそのコンセプトにふさわしいものなのか、否か…。
ここからはインプレッションをお伝えしていこう。このクルマでは、サブウーファーの有る・無しの音を聴き比べることができるので、まずはサブウーファー無しの音を聴いてみた。
一瞬の出音でサブウーファーが無いことのビハインドを感じることはなかった。パンチの効いた低音が聴けた。固くタイトで、しかもドライブ感のある、躍動する低音が楽しめた。
また、各楽器の位置関係や奥行き感もリアルに感じ取ることができた。これに関しては、“仮想3ウェイ”が効いてもいるからだと思われる。2ウェイではミッドウーファーの下側の帯域でフォーカスが甘くなりがちな傾向があるが、それをまったく感じさせないのだ。
バランスや音色もいたってナチュラルだ。余韻や響きが誇張されることはなく、逆にドライ過ぎることもない。音源がそのまま再生されているという印象だ。このあたりは“何も足さない、何も引かない”というポリシーを持つダイヤトーンの面目躍如、と言っていいだろう。
その上で、中域高域の粒立ちが良く、各楽器の音のエッジもシャープで、サウンドが実に明瞭。さらに質感がどこまでも上質。繊細できめ細かくスムーズだ。そのまま何時間でも浸っていたい、そう思わせるサウンドだった。
さて、今度はサブウーファー有りの音を聴いてみた。
まず感じたのは、全体的な厚み。低域の増強を感じるよりも先に、各楽器の音がそれぞれひと回り太くなったように思えた。そして深みが増し、伸びやかだ。より濃密になっている。
サブウーファーが無しの音に不満を感じることはなかったが、“有り”のふくよかなサウンドを1度味わってしまったら、もうこれを手放すことはできない。サブウーファーの存在の大きさを、今さらながらに改めて実感した。
フロントスピーカーとの相性もあるだろう。振動板素材が同一であることの影響も大きいと思われる。ツイーターからサブウーファーまでが自然につながっている。だからこそサウンド全体の底上げが図れているのだろう。
ダイヤトーンの『アルファ ロメオ・ジュリエッタ』。NR-MZ90PREMIを核にDS-G500とSW-G50を組み合わせ、そして上級なパワーアンプを用いたそのシステムから、正真正銘のハイエンド・サウンドを聴くことができた。『DIATONE SOUND.NAVI』が“ナビ機能も搭載したハイエンド・ユニットである”ことも改めて確信できた。NR-MZ90PREMIを手にしたら、この音に到達できる“権利”を手にすることができるのだ…。
さて来週は、『アルファ ロメオ・ジュリエッタ』で改めて、『DIATONE SOUND.NAVI』に搭載されているさまざまな機能を試してきたので、そのインプレッションをお伝えしたいと思う。“使えるハイエンド・ユニット”であることも実体験できたのだ。
また、ダイヤトーンのデモカーの音を聴くことのできる試聴会情報は、以下のダイヤトーンHPで確認することができる。お近くでイベントがあれば、ぜひとも足を運んでほしい。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/carele/club-diatone/shop/listening/index.html