日本が誇るサスペンション専業メーカー・テイン(TEIN)。2026年の新たな取り組みはAE86用スピンドルとST205セリカ用スーパーストラットの開発だ。
純正欠品の“壁”を突破!AE86/ST205セリカを救う一手

AE86は当時のクルマに多いスピンドル式サスペンションを採用しており、サスペンション交換時には純正スピンドルが必要で、そこにケースを溶接する必要があった。しかし、すでに純正部品としてスピンドルは購入できず、サスペンション交換では中古スピンドルを使わざるを得ない状況で、発売から42年が経過したAE86では状態の良いスピンドルが少なくなっていた。

「弊社のワンオフサスペンション製作サービスであるスペシャライズドダンパーでもAE86は数多くの注文を受けております。しかし近年はスピンドルの状態が悪く再使用できないため、スペシャライズドダンパーが製作できないということも増えてきました。そこで弊社でAE86のスピンドルを製作することにいたしました。」(広報・渡邊宏尚さん)

スピンドルはまず熱間鍛造製法でベースを製作し、そのベース材をテインの自社工場で加工、焼入れを施して仕上げるという逸品である。新たなスピンドルを製作したことで、心置きなくサスペンションの製作ができる。GRヘリテージパーツとしてAE86用パーツも多数ラインナップされているが、スピンドルは発売されていなかっただけに、これは大きなニュースだ。

またST205セリカのスーパーストラットも製作中。こちらもサスペンション交換の際に必須となるパーツだが、すでに純正供給は終了しており、状態の良い中古品もほとんどない。そこで新たに製作することにした。日本人で唯一サファリラリーを制した藤本吉郎専務がサファリを制したのは先代セリカのST185で、その後継車種だけに並々ならぬ情熱を感じる。

どちらも今春発売予定。価格は未定だが、あまり高くなるとサスペンションが作れなくなってしまうため、できるだけ頑張りますと広報・渡邊さんは言う。なお、このパーツシリーズは車種拡大も予定している。
回しやすさを“工具”で解決!テインが出す専用レンチの本気

次に注目はサスペンション専用特殊工具。テインの車高調レンチは扱いやすくタフだというのは知られたことかもしれないが、両サイドからケースを挟むことでより確実に回しやすいブラケットロッククワガタレンチが登場。正確には昨年限定販売されたが、あまりの売れ行きに通常カタログモデルとしてラインアップされることになった。

TOP NUT INNER取り付け治具は、サスペンションのトップナットを回すための特殊工具だ。アッパーマウントの位置が深い場合、特にリアサスのアッパーマウントで多いが、内装や構造物などでアッパーマウントにアクセスしにくく、トップナットを抑えて回せないケースがある。
そんな時に一気に緩めようと電動インパクトレンチやエアインパクトレンチを使うと緩むこともあるが、緩まずに回ってしまうと内部シャフトが回り、ときにはピストンバルブを固定しているネジまで緩んでしまうことがある。こうなるとサスペンションが壊れてしまうため極めて重大なトラブルにつながる。

そこでインパクトレンチの使用は勧められないが、工具も入らない状況に備えて開発されたのがこの特殊工具である。このTOP NUT INNER取り付け治具は、フレアナットレンチのように逃げのあるソケット形状とすることで、その中に工具を入れられる。回しにくいトップナットも固定しながら回して緩めることができ、こちらは春頃発売予定だ。こうしたサスペンションにまつわるこだわりのパーツまで自社で製作し販売しているのがテインである。
底付きの衝撃を“油圧で消す”テイン新機構「C.H.B.S.」とは

技術的に注目なのが4x4 DAMPER GRAVEL 2に採用されている「C.H.B.S.」。これはコンパクト・ハイドロ・バンプ・ストッパーの略で、テインではこれまでも「H.B.S.」(ハイドロ・バンプ・ストッパー)や「H.R.B.S.」(ハイドロ・リバウンド・ストッパー)など独自の技術を開発してきた。

「H.B.S.」ではサスペンションが大きく沈んだとき、バンプラバーにぶつけて止めるのではなく、ストローク終盤で油圧により運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、底付き感なくジワッとストロークが止まるようにしていた。

「H.R.B.S.」でも同様に、サスペンションが伸び切る最後でジワッと伸びることで姿勢を安定させ、乗り心地を良くするメリットがあったが、いずれも複筒式ダンパーに採用された構造だった。

「C.H.B.S.」は「H.B.S.」の構造をさらにコンパクト化し、単筒式ダンパーにも収めることに成功。特殊なC.H.B.S.バルブを設け、そこにピストンバルブが当たることで油圧によって運動エネルギーを熱エネルギーに変え、ジワッとストロークするようにした。これによって底付きの衝撃を緩和する。4x4 DAMPER GRAVEL 2はオフロードの最高峰モデルとも言えるサスペンションだが、サーキット走行やストリートなどさまざまなカテゴリーへの転用も期待される。別タンク式を前提とした単筒式ダンパーにも組み込める機構である点がポイントだ。

ジムニー用にはこの4x4 DAMPER GRAVEL 2を開発中。ジムニー用のハイエンドとも言えるラインアップで、現在は発売に向け試作中だ。別タンク式単筒構造で減衰力調整付き。

またジムニー用にはステアリングダンパーもラインアップ。高速域などでのハンドリングを補正するパーツで、テインの減衰力調整式ダンパーとすることで乗り味のセッティングも変えられる。ほかにフロントスタビリンクとリアのラテラルロッドも開発し、車高アップに合わせたスタビリンク長の調整やラテラルロッドによる調整が欠かせない領域に、精度と耐久性に優れるオリジナル品を投入した。
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