吸気系チューニングで得られる効果や注意点を知りたい人は、まず吸気温度の管理が重要だ。理由は、吸気効率だけでなく実際のパワーやレスポンスに直結するからである。たとえばフィルター交換からボックス交換まで、方法ごとに効果と注意点は大きく異なる。
かつてパワーやレスポンスを高めるチューニングの定番といえばマフラー交換だった。しかし現在は度重なる騒音規制の強化により、以前ほどマフラー交換だけで大きな恩恵を得にくくなっている。そこで近年、注目を集めているのが吸気系チューニングである。
◆吸気系チューニングの基本と手軽な方法
吸気系チューニングとは、エアクリーナーフィルターやエアクリーナーボックスを交換し、吸気効率の向上を狙うメニューである。もっとも手軽なのは、純正エアクリーナーフィルターを高効率タイプに交換する方法だ。吸気抵抗の少ないフィルターに替えることで、わずかながらパワーアップやレスポンス向上が期待できる。
さらに、数千円程度から導入できる製品も多く、コストを抑えて試しやすい点もメリットである。純正形状を維持しやすいため、日常使いを重視するユーザーにも向いている。
◆より高い効果を狙うならエアクリーナーボックス交換
もう一歩踏み込んだ効果を求めるなら、エアクリーナーボックスごと交換するチューニングが有力だ。これは純正のエアクリーナーボックスを取り外し、アフターパーツの吸気システムに置き換える方法である。
従来は、いわゆるむき出しタイプのエアクリーナーと呼ばれる丸型フィルターを装着する仕様が主流だった。一方で近年は、むき出しタイプだけでなく、エアクリーナーボックス全体を交換する製品も増えている。
このタイプはフィルター面積を広く確保しやすく、吸気経路も効率化しやすい。車種によっては、純正よりも大容量のボックスを採用することで、吸気抵抗の低減と安定した吸入効率を両立しやすくなる。
◆むき出しエアクリーナーのメリットと弱点
むき出しエアクリーナーは、円形や円筒形などのフィルターを使うことで、ろ過面積を増やし、吸気抵抗を抑えやすいのが特徴である。加えて、吸気パイプの曲がりを減らし、できるだけストレートなレイアウトにすることで、吸気効率の向上を狙える。
ただし、ここで注意したいのが吸気温度だ。近年のクルマは吸気温度の影響を受けやすく、エンジン制御もそれを前提に作られている。空気は温度によって密度が変わるため、吸気温度が高くなると取り込める酸素量が減る。その結果、噴射される燃料も減り、燃焼エネルギーが低下し、パワーやトルクの低下につながる。
逆にいえば、吸気温度を低く保てれば、より多くの酸素を取り込みやすくなり、燃料も適切に使えるため、パワーとトルクを引き出しやすくなる。つまり、吸気系チューニングでは吸入量だけでなく吸気温度の管理が重要になる。
◆吸気温度対策をしないと逆効果になることもある
エンジンルーム内はエンジンの熱で高温になりやすい。そのため、むき出しエアクリーナーを単体で装着するだけでは、エンジンルーム内の熱気を吸い込み、かえって吸気温度が上がってしまう場合がある。結果として、期待した性能向上どころか、実走行ではパワーダウンすることもある。
この対策として、各社からはむき出しエアクリーナーに対応した導風板や隔壁がセットで販売されている。こうしたパーツを使えば、外気を取り込みやすくなり、熱気の影響を抑えやすい。
また、専用品がない車種や汎用品を装着する場合は、隔壁を製作して外気を導入し、エンジンルーム内の熱気を吸いにくい環境を作りたい。ただしDIY施工には注意が必要である。エンジンルーム内は高温になるため、素材の耐熱性や固定方法が不十分だと、脱落や損傷だけでなく火災のリスクにもつながりかねない。安全性を優先するなら、できるだけプロショップに施工を依頼するのが安心だ。
◆エアクリーナーボックス交換が注目される理由
こうした吸気温度上昇の悩みを抑えつつ、吸気効率を高める方法として登場したのがアフターパーツのエアクリーナーボックスである。アフターパーツのエアクリーナーボックスは、純正より大容量に設計されていることが多く、フィルター面積も広く取られている。そのため、吸気抵抗を減らしながら、吸気温度の悪化も抑えやすい。
車種によっては、エアクリーナーボックスの交換だけで数十馬力単位の性能向上が見込めるケースもあり、場合によってはマフラー交換以上の効果が期待できることもある。もちろん、効果は車種やエンジン特性、セッティング次第だが、現代のチューニング事情に合った選択肢といえる。
◆排気系チューニングとの違いと吸気系の魅力
以前に比べると、排気系チューニングは法規制が厳しくなっている。一方で吸気系は、ブローバイガスの再燃焼システムなどを適切に維持していれば、排気系ほど厳しい制約を受けにくい。そのため、比較的自由度の高いシステムを構築しやすいのが特徴だ。
また、吸気系チューニングは加速時に吸気音の変化を楽しめる一方で、アイドリング時の騒音増加は比較的少ない。市街地での騒音が気になる人でも手を出しやすく、性能向上と快適性のバランスを取りやすい点も魅力である。
◆吸気系チューニングを選ぶ際の比較ポイント
吸気系チューニングを選ぶ際は、次の比較軸を意識すると失敗しにくい。
・手軽さを重視するならフィルター交換
・効果の大きさを求めるならボックス交換や専用吸気キット
・吸気音を楽しみたいならむき出しタイプ
・安定した性能を重視するなら遮熱性の高いボックスタイプ
・安全性と確実性を優先するならプロショップ施工
メリットだけで選ぶのではなく、吸気温度対策や安全性、車種との相性まで含めて判断することが重要である。吸気系チューニングは、正しく選んで正しく取り付ければ、現代のクルマでも効果を体感しやすい有効なチューニングメニューといえるだろう。



