使っているスピーカーの音を“さらに良くする方法”がある!? 詳説「システム・メイク術」Part8「パッシブか、アクティブか」その2 | Push on! Mycar-life

使っているスピーカーの音を“さらに良くする方法”がある!? 詳説「システム・メイク術」Part8「パッシブか、アクティブか」その2

カーオーディオを楽しもうとする際には、「どんなシステムを組むか」も思案のしどころとなる。当特集では、その1つ1つについて利点や楽しみ方のコツ等々を解説している。今回は、「パッシブシステム」の応用テクニックについて説明していく。

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「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。
  • 「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。
  • 「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。
  • 「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。
  • 「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。
  • 「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。
  • 「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ダイヤトーン・DS-G400)。
  • 「バイアンプ接続」の接続図。
  • 「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(カロッツェリア・TS-V173S)。

カーオーディオを楽しもうとする際には、「どんなシステムを組むか」も思案のしどころとなる。当特集では、その1つ1つについて利点や楽しみ方のコツ等々を解説している。今回は、「パッシブシステム」の応用テクニックについて説明していく。

コストがかかりにくいのは「パッシブシステム」。しかし音的に有利なのは…。

まずは、前回の内容を簡単におさらいしておこう。カーオーディオのシステムタイプの分類の仕方はさまざまあるのだが、音楽信号の「帯域分割」をどう行うかでもシステムタイプを分類できる。で、その場合にはシステムタイプは2つに分けられる。1つが「帯域分割」をパワーアンプの後段にて行う「パッシブシステム」で、もう1つがパワーアンプの前段にてそれを行う「アクティブシステム」だ。

なお、コストが掛かりにくいのは前者だ。なぜならば必要となるパワーアンプのch数が「2ch」で済むからだ。フロント2ウェイスピーカーを鳴らすのに、パワーアンプのch数は左右で1chずつあれば良い。対して「アクティブシステム」では、フロント2ウェイスピーカーを鳴らすのに「パワーアンプ」の出力は計「4ch」が必要になる。「帯域分割」を先に行うので、信号が左右のツイーター用と左右のミッドウーファー用の計4系統に増えるからだ。

しかし、音的にアドバンテージを発揮するのは「アクティブシステム」の方だ。なぜなら、1つのスピーカーに対してパワーアンプの「1ch」ずつをあてがえるからだ。つまり、よりトルクフルにスピーカーを駆動できる。

そして、より詳細にサウンドチューニングを行える。あらかじめ音楽信号を「帯域分割」するので、各信号に個別にサウンドチューニング機能を適応できる。

ところが、「パッシブシステム」でも「アクティブシステム」で得られるような利点を享受する方法がある。その方法の名は、「バイアンプ接続」だ。

「バイアンプ接続」の接続図。「バイアンプ接続」の接続図。

「バイアンプ接続」では、2ウェイを鳴らすのにパワーアンプの「4ch」を使用する!?

では、「バイアンプ接続」がどのようなものなのかを詳しく説明していこう。まずこれを実行するには、パワーアンプの後段で信号の「帯域分割」を行うパーツである「パッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)」が「バイアンプ接続」に対応している必要がある。で、対応していると以下のような部分が普通の「パッシブ」と異なってくる。

まず、普通の「パッシブ」は音楽信号の入力端子を1系統しか持っていない。そしてそこからフルレンジの信号を入力し、それを「パッシブ」内で高音と中低音とに分割する。対して「バイアンプ接続」に対応している「パッシブ」は、入力端子を2系統備えている。1つがツイーター用の入力端子でもう1つがミッドウーファー用の入力端子だ。

なので「バイアンプ接続」を行う際には、「アクティブシステム」を構築するときと同様にパワーアンプのch数は計「4ch」が必要となる。で、例えばメインユニットの内蔵パワーアンプにて2ウェイスピーカーを鳴らす場合には、以下のような接続方法が実行される。リア出力を「パッシブ」のツイーター用の入力端子に接続し、フロント出力を「パッシブ」のミッドウーファー用の入力端子へと接続する。

そして「パッシブ」内では、信号の「帯域分割」は行われない。最初からツイーター用とミッドウーファー用、それぞれ個別に信号が入力されることになるからだ。しかし、ツイーター用の信号には「ハイパスフィルター」がかけられ中低音が取り除かれる。ミッドウーファー用の信号には「ローパスフィルター」がかけられ高音が取り除かれる。つまり「パッシブ」は信号を分割するためのパーツではなくなり、余分な信号をそぎ落とすためのパーツとして機能することとなる。

「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ロックフォード フォズゲート・T3652-S)。「バイアンプ接続」に対応した「パッシブクロスオーバーネットワーク」を付属した市販スピーカーの一例(ロックフォード フォズゲート・T3652-S)。

「バイアンプ接続」ではスピーカーの駆動力が上がり、サウンドクオリティが向上!

さて、「バイアンプ接続」を行うと以下のような利点が得られる。利点は主には3つある。まず1つ目は、「パッシブ内での信号の干渉が起こりにくくなること」だ。ツイーター用の信号の回路とミッドウーファー用の信号の回路とが個別化するからだ。

利点の2つ目は、「スピーカーの駆動力が上がること」だ。「アクティブシステム」では、パワーアンプの1chずつで1つずつのスピーカーを鳴らせるのでそのことが音に効くと説明したが、「バイアンプ接続」でもその利点をほぼ同様に得られる。ただ、バイアンプ接続」ではパワーアンプとスピーカーとの間に「パッシブ」が介在するので状況がまったく同じではないのだが、1つのスピーカーにパワーアンプの1ch分の力を丸々注げることは変わらない。なのでスピーカーの駆動力は確実に向上する。

そして3つ目の利点とは、「より詳細なサウンドチューニングを行えること」だ。とはいえこの利点が発動するのは、使用するメインユニットにフロントスピーカーとリアスピーカーのそれぞれに適応できる「タイムアライメント機能」が搭載されている場合に限られる。で、そうであれば同機能を各スピーカーユニットに適用できるようになる。

つまり、「バイアンプ接続」をした場合には、リアスピーカーに効かせるための「タイムアライメント」機能をツイーターに、フロントスピーカーに効かせるための「タイムアライメント」機能をミッドウーファーに適応させられるのだ。

かくしてバイアンプ接続」を行うと、スピーカーは同じままなのにスピーカーのグレードを上げたかのようにサウンドクオリティが向上するのだ。

今回は以上だ。次回も「システム・メイク術」の解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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