ツイーターだけを付け換えるのは、アリかナシか? ゼロから始める「低予算カーオーディオ」第5回「チューンナップツイーター」編 | Push on! Mycar-life

ツイーターだけを付け換えるのは、アリかナシか? ゼロから始める「低予算カーオーディオ」第5回「チューンナップツイーター」編

「クルマの中でもっと良い音を楽しみたい!」、そう思いながらも、「システムアップには費用がかかる…」と諦めてはいないだろうか。そんな方々に、予算ゼロ円で、またはそれに準じる低予算でできることをあれこれ紹介している当特集。今回は…。

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「チューンナップツイーター」の一例(カロッツェリア・TS-T930)。
  • 「チューンナップツイーター」の一例(カロッツェリア・TS-T930)。
  • 純正ツイーターの装着位置の一例。
  • 純正ドアスピーカーの装着位置の一例。
  • 「チューンナップツイーター」の一例(カロッツェリア・TS-T736ll)。
  • 「チューンナップツイーター」の一例(カロッツェリア・TS-T730ll)。
  • 「チューンナップツイーター」の一例(カロッツェリア・TS-T440ll)。

「クルマの中でもっと良い音を楽しみたい!」、そう思いながらも、「システムアップには費用がかかる…」と諦めてはいないだろうか。そんな方々に、予算ゼロ円で、またはそれに準じる低予算でできることをあれこれ紹介している当特集。今回は…。

純正スピーカーが“フルレンジタイプ”の場合には、特に効果大!

今回は、「チューンナップツイーター」の導入という作戦を紹介する。

最初に、「チューンナップツイーター」とは何なのかを説明しよう。まず「ツイーター」とは高音再生用のスピーカーだ。そして「チューンナップツイーター」とは、その「ツイーター」のみで売られている製品だ。つまりこれを使おうとする際には、中低音を再生するスピーカーであるミッドウーファーは純正品をそのまま使うことが前提となる。

なので、「チューンナップツイーター」はスピーカー交換と比べて導入のハードルが低い。ミッドウーファーは交換しなくて良いので、その分製品代が安く済み取り付け費用もかかりにくい。さらには、ある程度クルマいじりを趣味としているドライバーなら、自分自身で取り付けるのもアリだ。作業は簡単ではないが、スピーカー交換に比べたら楽だ。配線作業を行うのに車内のパネル類を取り外す必要性が生じるが、そのスキルがあれば挑戦する価値はある。

なお当作戦は手軽でありながらも、車種によってはかなりの音質アップが見込める。どのようなケースがそれにあてはまるのかというと…。

それは、「純正スピーカーがフルレンジタイプの車種」だ。つまり、ドアに取り付けられているスピーカーだけで高音から低音までを再生している場合には、「チューンナップツイーター」を加えるだけで、聴こえ方がガラリと変わる。

ところで「チューンナップツイーター」にも種類がいくつかあるのだが、純正スピーカーがフルレンジタイプであるときは、エントリーモデルを選んでもかなりの音質アップが果たされる。

純正ツイーターの装着位置の一例。純正ツイーターの装着位置の一例。

“フルレンジタイプ”の純正スピーカーでは、高音を鳴らしきれていない!?

ちなみにいうと、市販スピーカーにもフルレンジタイプのスピーカーがある。しかしそれらは実際のところは2ウェイだ。ミッドウーファーの同軸上に「ツイーター」が取り付けられている。なおこのようなスピーカーのことは、「コアキシャルスピーカー」と呼ばれている。

対して純正スピーカーのフルレンジスピーカーには普通、ミッドウーファーの同軸上に「ツイーター」は取り付けられてはいない。つまり純粋に1つのスピーカーユニットだけで高音から低音までを鳴らそうとしている場合がほとんどだ。

しかしドアに取り付けるスピーカーは口径がある程度大きく、その大きさでは物理的に高音をクリアに再生するのが難しい。クリアに高音を鳴らせないばかりか、本来聴こえるべき高音が聴こえてこない場合も多い。可聴帯域の上限である20kHz付近まで再生できないケースがほとんどだ。

そのような車種に「チューンナップツイーター」をアドオンすれば、再生できていなかった高音が聴こえてくる。聴こえ方が大きく変わるのも当然だ。

さらには、低音や中音の鳴り方も変わってくる。そうなるメカニズムは以下のとおりだ。

楽器の音は音程を決める成分である「基音」と、音色を決める成分である「倍音」とで成り立っている。で、「倍音」は「基音」の整数倍の周波数となっている。例えばギターでチューニングに使う「ラ」の音をつま弾いたとき、その「基音」は周波数でいうと440Hzなのだがそれに対して2倍の880Hzの「2倍音」、3倍の1.32kHzの「3倍音」というように、整数倍の周波数である「倍音」が幾重にも重なりそのギターならではの音色を響かせる。

「チューンナップツイーター」の一例(カロッツェリア・TS-T440ll)。「チューンナップツイーター」の一例(カロッツェリア・TS-T440ll)。

高音の質が上がると、中低音の鳴り方も変わる!?

で、「チューンナップツイーター」を取り付けると、さまざまな楽器の「倍音」が豊かに響くようになる。結果、純正のドアスピーカーが奏でる低音や中音もより良い音色で響くようになる。このように低音から高音まで全帯域にわたって好影響が出る。

また、「チューンナップツイーター」を取り付けることで、サウンドステージの位置が上がる。高音は真っ直ぐに進もうとする性質が強く、ゆえに音の出どころも分かりやすい。対して低音は真っ直ぐに進もうとする性質が弱く音の出どころが分かりにくい。

なので「チューンナップツイーター」をダッシュボードの上に取り付けると、音の出どころが分かりにくい低音までもが「ツイーター」から放たれているかのように錯覚する。かくして低い位置に展開されていたサウンドステージが上がり、音楽が目の前から聴こえてくるのだ。

さらには最近は、ドアスピーカーの交換が推奨されていない車種も増えてきた。実際のところ「カーオーディオ・プロショップ」ならそのような車種でも問題なくスピーカー交換を行えるが、それを実行に移すのをためらうドライバーも少なくない。

そのようなケースでも、「チューンナップツイーター」は存在感を発揮する。ツイーターだけを市販品に交換することで再生レンジが広がり、「倍音」の再生クオリティが上がるので全帯域にわたり音質が向上する。

なおこのケースにおいては、できれば少し高級な「チューンナップツイーター」を選ぶと得られる満足度も高まる。なかったものを付け足す場合には廉価なモデルでも十分に効果を発揮するが、もともとあったものを交換する場合には、より良いものを選んだ方が音の変化幅を大きくできる。

ちなみに、「チューンナップツイーター」のエントリー機は6000円(税抜)くらいからある。高いものでは3万円(税抜)くらいする製品もある。純正ツイーターから交換する場合には、このくらいのモデルも検討してみよう。参考にしてほしい。

今回は以上だ。次回以降もお手軽なシステムアップ法を解説していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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