手軽な軽カーを使って憧れのあのクルマのイメージにカスタムしたい、そんなニーズを受けて各社がこれまでもさまざまなモディファイ系（化け系）のボディパーツを登場させてきた。フェイスキットを使って別のクルマにイメージチェンジするのが主な手法だ。
そのモディファイ系のベースとしてもてはやされているのがエブリイだ。アゲ系、ロワード系などのカスタムベースはもちろん、キャンピング仕様としても多くのビルダーがカスタマイズを手がける人気の軽バンだ。パーツ点数も多くカスタムユーザーには注目のベースなのは言うまでもないだろう。箱形の1BOXボディを内外装を使って各種カスタムをするのは軽バンカスタムの定番になっている。
そんなエブリイに対してモディファイ系のボディパーツが各社から登場しているのでまとめて紹介してみる。今回は現行モデルのDA17にフィットするパーツをセレクト。アメ車イメージから欧州車イメージ、さらにはジムニー化けやクラシカルな4WDまで、多種多様なモディファイが可能なので注目だ。エブリイがベースとは思えないほど精巧なフェイスチェンジを果たした各車に注目だ。
スクールバスイメージの無骨でカワイイデザインが自慢
クールライダー 製作メーカー：ブローエブリイ（DA17）をベースにアメリカのスクールバスをモチーフにしてモディファイを施したのがブローの「クールライダー」だ。フォルムの完成度も高くベース車の面影はまったくなく、どこから見ても別車種を思わせるボディーワークが素晴らしい一台。作り込みは細部に至るまで入念だ。モチーフとしたのはGMC社製のバストラックヘッド。アメリカの子供達を乗せて走る同車の無骨でカワイイフェイスをまんま再現してる。
ただしベースはエブリイ、そのショートなフェイスを感じさせないフロントパーツにはかなりのこだわりが施される。フロント回りのパーツとしてはフロントカウル・フェンダー・ライトベゼル・フロントバンパー・グリル枠・インサートグリル・ワイパーカウルがセットされたフェイスキットを用意。縦フィンを備えた大型グリルや角形ヘッドライト、四角く張り出すフェンダー形状などが印象的。さらにフロントウインドウ上部にはヘッドマークも用意する。
さらにリアまわりにも入念な作り込みが施されているのも見どころ。純正リアゲートに対して中央部にリアハッチ形状のデザインを施したパネルを設置。ウインドウも3分割され、まるでハッチが開閉できるようなリアルデザインになっているのも見どころだ。
軽バンにジムニー顔をビルトイン
使い勝手とデザイン性を両立させる
ジムリイ 製作メーカー：ティースタイルオートセールス大ヒット中の軽カーといえばジムニーだ。そんなジムニーのイメージをまんまエブリイにビルトインしたモディファイ系のカスタムがティースタイルオートセールスの「ジムリイ」だ。その名の通りジムニー＋エブリイをドッキングさせたカスタムなのだが、その融合っぷりがドンピシャ決まってるのが写真からも伝わるだろう。
ジムニーは欲しいけど「その居住性が……」と二の足を踏んでいるユーザーや「普通のジムニーじゃ嫌」と考える尖ったカスタムユーザー、さらにはエブリイを個性的にカスタムしたいと考えているユーザーなど、幅広い層に受けるモデルとなったので注目だ。
手法はエブリイのフェイスをバンパー、フェンダーまで含めてオリジナルで製作してジムニー風に完成させた。極めつけなのがグリル。ジムニー（JB64）の純正グリルをそのままビルトインするので本物感が強いのが特徴だ。おまけに社外グリル（JB64用）をそのまま取り付けることも出来るのもカスタム派には魅力的だろう。
またリアバンパーにはジムニー（JB64）の純正テールをビルトインしているのも見どころ。独特なレンズ形状のためリアビューもジムニーのリアルなイメージがしっかり反映されているのも見どころ。
写真のティースタイルのデモカーはリフトアップに加えてルーフトップテントも装備、さらに内装には床下収納を備えたベッドキットやアンティークシートカバーなどのオリジナルパーツを多数投入。エブリイを育てていけるカスタムパーツも豊富に揃っている。
往年のアメ車フェイスを軽バンに融合
アウトドアも似合う仕上がりにも注目
エブリイMAX 製作メーカー：ギブソン数あるエブリイのフェイスチェンジキットの中でも、かなり攻めたモチーフを取り入れたのがギブソンの「エブリイMAX」だ。フェイスデザインの元になっているのはなんと1969年型のシボレー・カマロ。ロングノーズのカマロをエブリイの短いフェイスに凝縮デザインするのは至難の技だった。しかし丸目2灯のヘッドライトやマーカー、さらには横フィンが刻まれたグリルなどを再現。しかもグリルは中央部が前に出っ張るプレスラインまでを設けているのがこだわり。さらにフェンダーからヘッドライトベースの面をしっかり落とし込んで立体感を出しているのもみどころ。ヘッドライトベゼルも限りなく薄く設計するなど、限られたサイズの中で徹底した本物感を感じさせるデザインが施されているのだ。
さらにもうひとつの見どころはボンネットフード。カマロのロングなボンネットには印象的なバルジが施されていたが、これを短いエブリイのボンネットで再現。ボンネット中央部に形状やサイズを徹底して吟味した凸型デザインを施してカマロイメージを演出した。
またリフトアップに似合うバンパー＆エプロン処理を施し、上げても下げても似合うデザインとしているのも特徴。写真のようにリフトアップを施してルーフテントを装備するアウトドア仕様にモディファイしてもぴったり似合うフェイスデザインとなった。
曲面多様のクラシカルなアメ車デザインを
エブリイに融合させたデザインセンスが秀逸
ルートライダー 製作メーカー：ブローモディファイ系のカスタムを大得意としているブローが放つDA17エブリイ用キットパーツの注目モデルが「ルートライダー」だ。古き良き時代のアメ車を思わせるデザインは、1950年代のフォードCOEをモチーフにしている。特徴的なのは丸く盛り上がるボンネット形状。クラシカルなデザインのCOEを思わせるラウンドデザインは今見ると可愛さとレトロ感を両立させる。しかもエブリイがベースとはとても思えないボリューム感を演出するのも独特。
さらには丸型ヘッドライトに大型グリル、COEらしいヘッドライトとグリル部をひとつのパネル面にするデザインも絶妙に取り入れてフォルムをまとめ上げている。ずんぐりしたフォルムが特徴のべース車を徹底して再現したのがこのキットパーツの魅力だろう。
欧州旧車イメージのデザインを
オリジナルで設計したフォルム
ピコット 製作メーカー：モデストカーズヨーロッパの旧車をイメージしたフェイスチェンジを施したのがモデストカーズの「ピコット」。フロントキットにはボンネットフード、フェイスバンパー、フェンダーL/R、バンパーガード、インナービレット、フロントウィンカーL/R、ヘッドライトASSYL/R、ヘッドライト メッキリムを含み、フェイスまわりを大きく変更することができる。丸目2灯のヘッドライトや中央部にビルトインされたグリル、その両サイドに設置されるウインカー／マーカーがいずれもレトロ風味満点。バンパー部には縦型2本のオーバーライドが施されるなど細部にまでこだわりのデザインを投入。オプションパーツで各部のメッキ化やリアゲートカバーなどをも用意され、丸ごとレトロな一台を作ることができる。
ジムニーでヒットした往年の4駆フェイスを
軽1BOXボディに融合させた力作が間もなく登場
リトルD 製作メーカー：ダムドジムニーに投入したボディキットである「リトルD」が大ヒットしたダムド。その後はタフトでも「リトルD」を展開し注目を集めている。そんな「リトルD」がついにエブリイ用のボディキットとして登場予定だ（2022年夏頃予定）。同キットはディフェンダーをオマージュしたフェイスデザインが最大の特徴。ボンネットカバー、フェンダー、グリル、前後バンパー、丸目ヘッドライトなどを組み込んで大幅なイメージチェンジを果たす予定。盛り上がったボンネットフードのデザインに加えてボンネットの天面にプレスラインを施す処理、さらにはボンネット前縁にエンブレムを配する処理など、で往年の名車を強くイメージさせている。
しかも、今回はヒット中のジムニーのようにボンネットのあるフォルムではなく、1BOX形状のボディでこれらの処理を込めるのでかなりデザインには工夫が必要になったようだ。1BOXボディに完成度の高いフェイスをビルトインする組み合わせが楽しめるこのボディキット。カワイくもカッコ良くも乗れるエブリイに仕上げるには絶好のモディファイになりそう。登場が待たれる。
