純正メインユニットが交換できなくてもシステムアップは可能?「カーオーディオにまつわる“なぜ?”を解明!」Part1「純正オーディオ」編 その4 | Push on! Mycar-life

純正メインユニットが交換できなくてもシステムアップは可能?「カーオーディオにまつわる“なぜ?”を解明!」Part1「純正オーディオ」編 その4

カーオーディオシステムのグレードアップに関心を持ちつつも、分かりづらさを感じて最初の一歩が踏み出せない…、そんなドライバーも少なくないようだ。当連載は、そのような方々が抱きがちなカーオーディオに関する“素朴な疑問”の解消を目指して展開している。

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  • 「単体DSP」の一例(フォーカル・FSP-8)。
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カーオーディオシステムのグレードアップに関心を持ちつつも、分かりづらさを感じて最初の一歩が踏み出せない…、そんなドライバーも少なくないようだ。当連載は、そのような方々が抱きがちなカーオーディオに関する“素朴な疑問”の解消を目指して展開している。

純正メインユニットが取り外せないと、システムの高度化は不可能?

まずは、「純正メインユニット」に関して抱かれがちな疑問について説明している。最初にトヨタ車オーナーに向けて、「トヨタ車純正ディスプレイオーディオ」をもっと便利に使えないものか…、そういった疑問の解決法を紹介してきた。それに引き続いて今回は、トヨタ車だけにとどまらず広く「純正メインユニットが交換しにくいクルマ」に乗っているドライバーが抱きがちな「?」を解明していく。

「純正メインユニットから市販品への交換ができないと、カーオーディオシステムのグレードアップを図れない?」、こんな疑問が頭をよぎる…。

結論から入ろう。答は「ノー」だ。

ところで、市販メインユニットに交換できるとどのようにシステムアップが果たされるのかを説明しておこう。ポイントは3点ある。1つ目は「高いチューニング能力を備えられること」、2つ目は「システムを発展させやすくなること」、そして3つ目が「音楽信号の読み取り精度が上がること」だ。

で、純正メインユニットが換えられない場合にはどうすれば良いのかと言うと、解決方法はズバリ、「DSPを導入する」というものだ。

なお「DSP」とは「デジタル・シグナル・プロセッサー」の略称で、これを用いると音楽信号のデジタル制御が可能となる。ゆえに市販メインユニットに交換せずとも、システムに高いチューニング能力を付与できる。しかもシステムの発展性も一気に拡大する。ちなみにいうと昨今の「DSP」のチューニング能力はおしなべて高い。市販メインユニットに交換するよりもむしろ、この点ではアドバンテージを発揮する。

「単体DSP」の一例(フォーカル・FSP-8)。「単体DSP」の一例(フォーカル・FSP-8)。

「DSP」を用いると、パワーアンプの質も上がる!

なお「DSP」には2タイプがある。1つは「パワーアンプ内蔵DSP」でもう1つは「単体DSPだ。これらの違いは単純明快だ。前者はパワーアンプを内蔵していて、後者はそれを内蔵していない。なので「単体DSP」の方が導入のハードルは高くなる。しかし好きな外部パワーアンプを選べるので、自分好みのシステムを構築しやすい。

ところで内蔵と外部の違いこそあれ、どちらを使うにしても併せてパワーアンプがシステムに加えられることとなるので、その点でもシステムのポテンシャルが向上する。

ここでまた、別の疑問が頭をよぎるかもしれない。純正メインユニットにもパワーアンプが内蔵されているので、「それを使えば良いのでは?」、そう思う方もいるかもしれない。しかしそれは不可能だ。

というのも、信号の制御は音楽信号をパワーアンプにて増幅する前の微弱な状態で行いたい。増幅した後の信号では扱いが難しくなるからだ。なので信号を制御する「DSP」を用いる場合には、その後段にパワーアンプを置かなければならなくなる。しかしメインユニットには信号を戻せない。その理由は2つある。

1つ目の理由は、「純正メインユニットには多chの外部音声入力端子が備えられていないから」だ。「DSP」にて信号を制御する際には、ツイーター用の信号とミッドウーファー用の信号が別々にコントロールされることとなる。つまり使用するスピーカーが2ウェイならば信号は4系統に分割される。しかしメインユニットは4系統の入力を備えていない。

2つ目の理由は、「内蔵パワーアンプは非力で質もさほど良くないから」だ。ゆえにそれをわざわざ使用する必要はない。これらの理由で「DSP」を加える場合にはパワーアンプも改めて用意することとなる。

『フォーカル・FSP-8』のチューニング設定画面。『フォーカル・FSP-8』のチューニング設定画面。

「DSP」なら、純正メインユニットの「スピーカー出力」を入力可能!

ところで純正メインユニットの多くは、外部音声出力も備えていない。その点でも発展性が乏しいわけだが、では「DSP」をどのようにして接続するのかと言うと…。

「DSP」には、「ハイレベルインプット」なる入力端子が備わっている。これはつまり、メインユニットの内蔵パワーアンプで増幅された後の信号を入力するためのものだ。なのでメインユニットのスピーカー出力の配線を「ハイレベルインプット」に接続すれば、「DSP」との接続を完了できる。そして「DSP」の中でその信号を一旦微弱な状態に戻し、その上で信号の制御が行われる。

なお実を言うと、純正メインユニット+「DSP」というシステム構築を実行した場合、1点、音質性能的にボトルネックとなる部分が出てくる。それは「音の入り口のクオリティが低いこと」だ。ソースユニットはあくまでも純正メインユニットのままなので、信号の読み取り精度はチープなままだ。

しかし、その部分の底上げも図れる。「パワーアンプ内蔵DSP」と「単体DSP」には外部入力端子も備わっているので、スマホやポータブルDAPを接続できる。それらを純正メインユニットを介して再生するよりも、ダイレクトに繋げた方が音質的に有利だ。ナビ音声を聞いたりラジオを聴きたいときもあるので純正メインユニットも繋がっていた方が良いが、こと音楽を聴くときには純正メインユニットは使用しない方が良い。しかも多くの「DSP」がデジタル入力端子も備えているので、デジタル接続を行えばさらに状況が良化する。

このように「DSP」を活用すれば、カーオーディオシステムのコンディションを総合的に高められる。参考にしてほしい。

今回は以上だ。次回以降も、カーオーディオに関する“素朴な疑問”の解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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