【マツダ CX-5 最終試乗】これほど「次」が楽しみなクルマも珍しい…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【マツダ CX-5 最終試乗】これほど「次」が楽しみなクルマも珍しい…中村孝仁

2025年、マツダ『CX-5』が生産、販売の双方で累計500万台を突破した。この快挙はマツダにとって『ファミリア』『アクセラ』に続き3車種目だそうである。

自動車 試乗記
マツダ CX-5 XD ドライブエディション
  • マツダ CX-5 XD ドライブエディション
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2025年、マツダ『CX-5』が生産、販売の双方で累計500万台を突破した。この快挙はマツダにとって『ファミリア』『アクセラ』に続き3車種目だそうである。

考えてみれば、2012年に初代が発売され、その年のカーオブザイヤーを獲得。僅か3年で世界累計生産100万台を達成するなど、今日に至るまでマツダの屋台骨を支えてきたクルマであることは間違いない。過去2世代にわたって売れ続け、昨年、即ち2025年もマツダ車の中では販売トップである。つまりモデル末期にもかかわらず、相変わらず売れ続けているのである。

◆3代目もキープコンセプトだが…

そんなヒット作のフルモデルチェンジが如何に大変なことかは、3代目の主査となった山口浩一郎氏はその重圧をひしひしと感じていたようである。ただ幸いなことに、初代から2代目に至る変革も、今回同様スタイリングに関しては、完全なキープコンセプトであった。

そして、3代目もまさに2代目のキープコンセプト。つまり、ジープなどと同様に、実際のユーザー層は「変えてくれるな」という願望を持っていそうだから、そうした点では一安心。スタイルを変えない頑固さを持ちつつ、中身を深化させるという、ヨーロッパ車が良くやる手をマツダも使っているといえよう。

それでも心配なのは、これまで販売を大きく牽引し、一時は全販売台数の8割近くを占めていた、ディーゼルエンジン搭載車がなくなることだ。この影響がどの程度出るのか、正直言うと未知数。出すメーカーとしては、当然そうした懸念は織り込み済みなのだと思うが、これまでディーゼル搭載のCX-5を購入していたユーザーが、果たしてすんなりとガソリン車に移行してくれるのか? あるいは後々投入されるHEVに乗り換えるのか? 余計な心配だが不安は尽きない。

2025年6月にも、これが最後になると予想して、当時は2リットルのガソリンエンジンを搭載したモデルに試乗したが、やはり売れているクルマだからか、マツダは今もCX-5の試乗車を用意している。そんなわけだから、2026年になって本当にこれが最後という思いで、2代目のディーゼルエンジン搭載車を試乗することにした。

◆世界的にも最良の4気筒ディーゼル

現行モデルでこのエンジンは終焉を迎える。恐らくは来る、より厳しくなる排ガスレギュレーションなどに対処するコストの問題で継続開発をやめたのだと思うが、現在でもこの4気筒ターボディーゼルは、世界的にも最良の4気筒ディーゼルと思える。

とにかくスムーズで静粛性が高く、音振という側面では、新しい6気筒ディーゼルよりも確実に優れている。尿素を使わずに現行レギュレーションをクリアしているのだから、尿素を使えばまだ生き延びられると考えるのは素人考えなのだろう。

デビュー当時は圧倒的な中速のトルク感だと感じていたこのエンジンも、さすがに圧倒的とは言えないレベルになったが、それでも十分に軽快で、必要十分なパワーとトルクを確保していることは間違いない。

現行モデルは、2017年登場からすでに丸8年の歳月が経過しているので、時流には合わなくなった部分もそれなりにある。一つはADASの性能。今回もハンドリングや乗り心地といった部分だけではなく、ACCも高速で使わせてもらったが、割り込みに対して反応しなかったケースがあって、カメラもしくはレーダーの視野が狭いという印象を受けた。

◆マツダ車ならではのネガ要素は

ハンドリングについてはSUVであるということを考慮すれば、大きなネガ要素は持っていない。取り立てて、素晴らしくファンなハンドリングかといわれたら、答えはノーである。

乗り心地はマツダのある意味欠点でもあって、ハンドリングをよくするためなのか、硬めの設定で、サスペンションの動きはリバウンド側で特にネガな印象を与えるものだ。結果フラット感の乏しさとなり、これが最大のネガ要素なのだが、これは何もCX-5に限ったことではなく、マツダ車全体の共通して感じられる点である。

ナビのディスプレイや、丸形3連のメータークラスターデザインなども、そろそろ変えてもよい時期じゃないだろうか。もっともそれについては、すでに3代目の詳細写真が出ていて、大型のナビディスプレイや、アナログ針が消えて全面ディスプレイとなったメータークラスターが紹介されているから、このあたりの改善は達成されている。

ただ少し気になるのは、アメリカの場合、巨大な15.6インチのインフォテイメントディスプレイは、最上級の(アメリカで)プレミアムプラスというグレードに装備されると書かれている点(他グレードは小さいのか?)。果たして国内はどうか…である。

◆「次」が楽しみなクルマ

ニューモデルのサイズは少し大型化した。クルマのサイズがどんどん大型化する中では、ライバルとの関係上致し方なしなのかもしれないが、正直言うとインフラの方は追いついていない部分があって、特に駐車スペースで苦労した経験は1度や2度ではない。現行モデルでも車幅は1845mm。これがさらに大きくなるのだから、少々心配である。

最後のディーゼルモデルは「XD ドライブエディション」というグレード。価格は車両本体価格で395万6700円。依然としてリーズナブルだとは思うが(オプションはついていない)、この近辺で留めておいてくれると、ライバルと比較して相当にお買い得感が出ると思う。

それにしてもこれほど、「次」が楽しみなクルマも珍しい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

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