カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 1・スピーカー編 第6回「インストール関連の用語について」 | Push on! Mycar-life

カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 1・スピーカー編 第6回「インストール関連の用語について」

カーオーディオに興味を持って情報収集を始めてみると、専門用語が次々と登場する。結果、初心者にはそれが壁となる…。当連載ではその壁を取り払うことを目指し、用語解説をお贈りしている。現在はスピーカーに関する語句にフォーカスしている。

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スピーカーの取り付け例。「エンクロージャー」が製作されインストールされている(ビーウィズ デモカー)。
  • スピーカーの取り付け例。「エンクロージャー」が製作されインストールされている(ビーウィズ デモカー)。
  • スピーカーの取り付け例。内張りパネル内にスピーカーが収められている。
  • 「デッドニング」の施行例。アウターパネルに吸音材が貼られたところ。

カーオーディオに興味を持って情報収集を始めてみると、専門用語が次々と登場する。結果、初心者にはそれが壁となる…。当連載ではその壁を取り払うことを目指し、用語解説をお贈りしている。現在はスピーカーに関する語句にフォーカスしている。

今回は、インストール(取り付け)に関連した用語の意味を説明していく。

「エンクロージャー」も、れっきとした音響パーツ!?

今回はまず「エンクロージャー」という言葉について説明していく。「エンクロージャー」とは、スピーカーの「キャビネット」のことを指す。ホームオーディオのスピーカーを想像してほしい。ホーム用のスピーカーは、スピーカーユニットが「箱」に取り付けられた状態で完成形となっている。その「箱」が「エンクロージャー」だ。

なおこの「エンクロージャー」も、れっきとした音響パーツだ。単にスピーカーを固定するためのものというわけではないのだ。

さて、「エンクロージャー」は音響パーツとしてどのような役割を果たすのかというと…。まず「エンクロージャー」は、「スピーカーの裏側から放たれる音を閉じ込める」役目を果たす。なぜにそのような役目を負う必要があるのかというと、その答は以下のとおりだ。

スピーカーは振動板を前後させて空気を震わせ音を伝えるわけだが、その営みはスピーカーの裏側でも同様に行われている。しかし完全に同様かというと、1点、異なるポイントがある。それは「音波のタイミング」だ。波の立っていない池に石を投げ入れると水紋が広がるが、音も水紋と同じような運動を繰り返しながら空気中を伝っていく。その動きが「音波」だ。そしてその動きの起点が、前側の音と裏側の音とでは異なっている。

表側から放たれる音は0度のところをスタートしてから上がって下がってまた0度のところに戻ってくる。しかし裏側から放たれる音は、その真ん中のところ(180度のところ)を起点として下がって上がってまた180度のところに戻ってくる。このように表側の音と裏側の音は、耳で聴く分には同じ音なのだが「音波」としては真逆の関係にある。

スピーカーの取り付け例。内張りパネル内にスピーカーが収められている。スピーカーの取り付け例。内張りパネル内にスピーカーが収められている。

「エンクロージャー」は「キャンセリング」を防ぐ役目も担う!

そしてこの「音波」として真逆の関係にある音が同一空間で交わると、やっかいな問題が引き起こされる。それは「キャンセリング」だ。「キャンセリング」という言葉には「打ち消し合い」という意味がある。同じ音でありながらも「音波」としてのタイミングが逆の音同士は、交じり合うと互いに相手を打ち消してしまうのだ。しかし「エンクロージャー」を用いて裏側の音をボックスの中に閉じ込めれば、「キャンセリング」は起こらない。

また「エンクロージャー」内の空気は、スピーカーユニットにとっての「エアサスペンション」ともなる。密閉された箱の中では空気はバネとしての効果も発揮し、スピーカーの動きをサポートする。また、「ポート」と呼ばれる穴が設けられている「エンクロージャー」では、その「ポート」が鳴り方を変えるチューニングパーツの役目も果たす(この件については回を改めて詳しく説明する)。

というわけなので、各メーカーは「エンクロージャー」の設計にもさまざまな工夫を凝らす。「エンクロージャー」はただ直方体になっていれば良いというものではなく、形、大きさ、構造、さらには材質についても吟味に吟味を重ねて仕上げられている。つまり「エンクロージャー」も、スピーカーにおいての超重要パーツなのである。

しかし…。カーオーディオでは、スピーカーユニットが裸の状態で売られている場合が多い。ちなみに一部、「エンクロージャー」にスピーカーユニットが組み込まれた状態で完成品となっている物もあるが、そうではない製品の方が、現代カーオーディオではスタンダードだ。

「デッドニング」の施行例。アウターパネルに吸音材が貼られたところ。「デッドニング」の施行例。アウターパネルに吸音材が貼られたところ。

カーオーディオでも「エンクロージャー」が製作されることもある!?

ちなみにいうと、「エンクロージャー」がワンオフされることもままある。「エンクロージャー」を作りそれにスピーカーユニットを装着し、それごとドア内部に取り付けられることもあるのだ。例えば国産ハイエンドカーオーディオブランドの“ビーウィズ”の『コンフィデンスシリーズ』と『アキュレートシリーズ』のスピーカーは「エンクロージャー」を製作して取り付けられることの方が多い。

ただし同社のそれらスピーカーは口径が13cmなので、比較的に「エンクロージャー」を作りやすい。だが、通常の17cmクラスのスピーカーの場合は「エンクロージャー」が結構大きくなる。スピーカーの口径が大きくなればなるほど、「エンクロージャー」は大容量化してしまうのだ。なので17cmクラスのスピーカー用の「エンクロージャー」を作ったとしても、よほど車格の大きなクルマでないと取り付けるのは難しい。

なので通常は、「エンクロージャー」を作るかわりに、ドア内部の音響的なコンディションを上げようとする作業が行われることとなる。そしてその作業のことは、「デッドニング」と呼ばれている。

ところで「デッドニング」の「デッド」という単語には、「響きにくい」という意味がある(対義語は「ライブ」で「響きやすい」という意味を持つ)。そして「デッドニング」では主に、ドア内部の鉄板を響きにくくする作業(共振を止める作業)が行われるのだが、実際はそれ以外のこともさまざま実行される。ゆえに「デッドニング」のことは、「ドアチューニング」と呼ばれることもある。

今回は以上だ。次回もスピーカーの「インストール」に関する用語の解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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