今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part5「メインユニット編」その2「純正メインユニットを活かす方法とは?」 | Push on! Mycar-life

今さら訊けない“カーオーディオ”の素朴な疑問 Part5「メインユニット編」その2「純正メインユニットを活かす方法とは?」

カーオーディオのことを“分かりづらい”と感じているドライバー諸氏に向けて、その“分かりづらい”ポイントを1つ1つ解説している当特集。今回は、純正メインユニットを外せないクルマにおいての「システム発展術」について説明していく。

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パワーアンプ内蔵DSPの一例(アークオーディオ)。
  • パワーアンプ内蔵DSPの一例(アークオーディオ)。
  • パワードサブウーファーの一例(カロッツェリア)。
  • 単体DSPの一例(プラグアンドプレイ)。

カーオーディオのことを“分かりづらい”と感じているドライバー諸氏に向けて、その“分かりづらい”ポイントを1つ1つ解説している当特集。今回は、純正メインユニットを外せないクルマにおいての「システム発展術」について説明していく。

純正メインユニットの「スピーカー出力」を使えば、外部機器を接続可能に!

前回は、メインユニットを交換することで音質アップが果たせることや、それを効果的に実践できるメインユニットの選び方を解説した。

しかしながら世の中には、純正メインユニットを取り外せないクルマも多々ある。その場合には、“スピーカー交換”以外の音質アップ法はないのだろうか…。今回はそこのところを考察していく。

確かに、純正メインユニットが外せないとなると高性能な市販メインユニットを導入するという選択肢は消える。でも、高音質なカーオーディオシステムを構築する方法はいくつかある。

具体的に説明していこう。まずは、サブウーファーや外部パワーアンプを追加しようと考えたときのやり方から紹介していく。

結論から入りたい。純正メインユニットが外せないのであれば、それから出力される信号を使ってシステムを発展させていけば良い。ただし、多くの純正メインユニットはシステム発展を想定して設計されてはいないので、「外部音声出力」を備えていない。

しかし「スピーカー出力」が使える。「スピーカー出力」とはその名のとおり、スピーカーを鳴らすための音楽信号だ。つまり、純正メインユニットの内蔵パワーアンプで“増幅”された後の「レベルの高い状態の信号」である。それをどこかしらから取り出し(分岐させて)、パワードサブウーファーや外部パワーアンプの「ハイレベルインプット」に接続すればOKだ。

パワードサブウーファーの一例(カロッツェリア)。パワードサブウーファーの一例(カロッツェリア)。

「スピーカー出力」の信号のレベルを一旦落としてから活用! しかし…。

なお「ハイレベルインプット」とは、これもその名のとおりに「レベルが高い状態の音楽信号を受け入れるための入力端子」だ。そしてパワードサブウーファーや外部パワーアンプには、それが備わっている場合が実に多い。つまり多くの機器は、純正メインユニットが取り外せないケースを想定して設計されている、というわけなのだ。

で、「ハイレベルインプット」から入力される音楽信号は、その機器の内部で一旦、微弱な状態へと戻される。つまり「ハイレベルインプット」の入力端子のすぐ内側には、レベルの大きな信号を微弱な状態へと減圧する回路が備え付けられている。そして微弱な状態に戻した上で、パワードサブウーファーであれば低音を鳴らすために都合が良い状態へと再び増幅される。外部パワーアンプでは、そのモデルだからこそのクオリティでもう1度、信号が増幅し直される。

ただし、このやり方には限界があることもまた確かだ。というのも純正メインユニットは、高性能なメインユニットと比べてソースユニットとしてのポテンシャルが高くない。メディアから音楽信号を読み取る精度や読み取った信号の純度や解像度が“それなり”だ。ゆえにスピーカー出力からアウトプットされる信号のクオリティもそれなりなので、高性能なメインユニットを導入する場合と比べるとビハインドがある。

しかし、そのビハインドを克服する方法も有り得ている。それは「DSPと外部ソースユニットを同時に導入する」という作戦だ。

単体DSPの一例(プラグアンドプレイ)。単体DSPの一例(プラグアンドプレイ)。

「DSPと外部ソースユニットを同時に導入する」と、とことん高音質を追求できる!

DSPとはデジタル・シグナル・プロセッサーのことを指し、タイプは大きく2つに分けられる。1つが「単体DSP」でもう1つが「パワーアンプ内蔵DSP」だ。そしてこれらについてもほとんどの機種で「ハイレベルインプット」が備えられている。それを活用して純正メインユニットを接続しつつ、さらに同時により高音質な外部機器をソースユニットとして接続すれば、状況が一気に好転する。

なぜなら、ソースユニットの性能を上げられるだけでなく、高度なコントロール機能もシステムに付与できるからだ。前回に解説したとおりメインユニットを高性能なものに交換すると、高度なコントロール機能が使えるようにもなりその力によっても高音質化が果たされるわけだが、単体DSPもしくはパワーアンプ内蔵DSPを導入すると、それと同じようなメリットがもたらされる。結果、純正メインユニットのままでもシステムの高度化が実現できる。

なお、外部ソースユニットとDSPを同時に持ち込むのであれば、純正メインユニットを接続しなくても良いのでは? と感じる向きもあるかもしれない。確かに、音楽をより良い音で聴きたいと思うときには純正メインユニットは使われなくなるのだが、地デジを観たりラジオを聴きたいときもある。また、ナビの音声案内を聞きたいときもある。そんなときに純正メインユニットが使えなかったら不便だ。なので、純正メインユニットも使えるままにしておくべきなのだ。

ところで、外部ソースユニットとして想定されるものは、スマートフォンやDAP、または車載用のメディアプレーヤー等だ。

ちなみにDAPの中には相当にハイグレードなモデルも存在しているので、とことん音質にこだわろうとするときにはそのような高級DAPがアドバンテージを発揮する。一方、操作性の良さを重んじるなら、車載用のメディアプレーヤーが有利だ。

今回はここまでとさせていただく。次回も素朴な疑問を解消していただくための解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《太田祥三》

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