ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part7 サブウーファー関連編 lll | Push on! Mycar-life

ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part7 サブウーファー関連編 lll

カーオーディオに興味を抱いて調べてみると、専門用語が頻出してなんだかよく分からない…。結果、カーオーディオを遠ざけてしまったというドライバーも少なからずいるようだ。そうなることを減らせるように、用語解説を実行している。

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「シールドボックス」の製作例(製作ショップ:ログオン<千葉県>)。
  • 「シールドボックス」の製作例(製作ショップ:ログオン<千葉県>)。
  • 「バスレフボックス」の製作例(製作ショップ:プロショップ ヴォーグ<千葉県>)。
  • 「シールドボックス」の製作例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>)。

カーオーディオに興味を抱いて調べてみると、専門用語が頻出してなんだかよく分からない…。結果、カーオーディオを遠ざけてしまったというドライバーも少なからずいるようだ。そうなることを減らせるように、用語解説を実行している。

ビギナーにとって特に馴染みが薄そうなワードをピックアップし、それらの意味を解説しながら、カーオーディオの分かりにくさの解消を目指している。今回は前回に引き続き、「サブウーファー」に関連した語彙について説明していく。

「バスレフボックス」って、何?

前回、「ユニットサブウーファー」を鳴らすためには「ボックス」が必要であること、そしてその「ボックス」にはタイプ違いがあることを解説した。で、現代カーオーディオでよく用いられる「ボックス」は、「シールドボックス」と「バスレフボックス」であるとも解説した。それに引き続き今回はまず、「バスレフボックス」とは何なのかを考察していく。

ところで前回触れたとおり、「スピーカーボックス」はスピーカーユニットの裏側から放たれる音を閉じ込めるためのものである。「シールドボックス(密閉型)」は、その目的をシンプルに遂行する。それに対して「バスレフボックス」は、スピーカーユニットの裏側から放たれる音エネルギーを活用しようとするものである。

というわけで「バスレフボックス」では、「ユニットサブウーファー」の裏側から放たれる音を「ポート(ダクト)」と呼ばれる“穴”から前面に放出する仕組みを持っている。そうすることで低音の質を変化させようとするものなのだ。

なおこれを行うにおいては、「ポート」から放出する低音の「位相」を反転させる必要がある。「位相」(これも超難解な用語なのだが…)とはざっくり、「音波のタイミング」だとイメージしてほしい。音は、水面を伝う波紋のように上下動を繰り返しながら空気中を伝わっていく。その、上がり下がりの動きのタイミングのことが「位相」と呼ばれている。「位相が合っている状態」とは、例えばツイーターとミッドウーファーから放たれるそれぞれの音の上がり下がりの状態が、シンクロしていることを指す。

で、スピーカーの表側から放たれる音とスピーカーの裏側から放たれる音は、「位相」的には真逆の関係となっている。その状態の音が同一空間で交わると「キャンセリング(打ち消し合い)」が引き起こされるというわけなのだ。それを防ぐために「ボックス」が必要なのだが、「バスレフボックス」では、裏側から放たれる音の「位相」を反転させた後に「ポート」から放出する。結果、表側の音と「ポート」から放出される音との「キャンセリング」は起こらない。

「ボックスタイプ」によって鳴り方の特徴が異なるが、そのことに囚われ過ぎる必要はない!

さて、このような仕組みにより裏側の音を表側に放出できるようになると、サウンド的には以下のような好結果がもたらされる。それは主には3つある。1つは「再生レンジの幅を広げられること」、2つ目は「低音の量感を増大させられること」、3つ目は「豊かで伸びのある低音を手に入れられること」だ。

ちなみに「シールドボックス」は、「タイトでキレの良い低音を鳴らせること」が持ち味、とされている。

とはいえ、「シールドボックス」にするにせよ「バスレフボックス」にするにせよ、設計の仕方により低音の鳴り方をコントロールできる。つまり「シールドボックス」でも、設計次第では量感たっぷりに伸びやかな低音を鳴らすことも可能だ。なので「シールドボックス」ではこうだ、と決めつける必要はない。傾向としてはそれぞれに特長があることを頭に入れておきつつも、実際にボックスを製作する際には、それぞれで好みの低音が得られるように設計すれば良いのだ。

なお、設計の難易度が高いのは「バスレフボックス」の方だ。プロショップならばノウハウを有しているので難なく製作するが、自分で作ろうと思ったら、なかなかに難しい。「ポート」のサイズ等々を緻密に設計しないと、狙いどおりの低音が得られない。

ちなみに言うと、「ボックス」のタイプは他にもさまざまある。「バンドバス」と呼ばれる「バスレフボックス」をさらに複雑化させたようなものもあれば、「ホーン型」と呼ばれる前面にラッパ形状の構造を持たせたものや、さらには「バックロードホーン」と呼ばれる、後ろ側の音を前に放出するその経路を複雑化させたタイプ等々、細かくはいろいろな「ボックスタイプ」が存在している。

「シングル ボイスコイル」、「ダブル ボイスコイル」とは?

続いては「ボイスコイル」について解説していく。「ボイスコイル」とは、スピーカーユニットに搭載されている「磁気回路」のうちの1パーツだ。で、「ユニットサブウーファー」のスペックを見ると、「SVC」または「DVC」という表記がされているのだが、これらの“VC”は「ボイスコイル」のことを指している。で、「SVC」は「シングル ボイスコイル」、「DVC」は「ダブル ボイスコイル」であることをそれぞれ表している。

このように「ユニットサブウーファー」は、「ボイスコイル」が2つ付いている場合も結構多い。そしてそうである場合それは、パワフルに鳴らせることを特長の1つとする「ユニットサブウーファー」だと言える。しかしながらこの件についても、あまり囚われ過ぎなくてもいいだろう。

というのも、各「ユニットサブウーファー」がどのようなサウンドを奏でられるかは、他のさまざまな要因でも変化する。例えば「インピーダンス(抵抗値)の違いによっても特長が変わってくるし、それをどのような接続方法で鳴らすか、さらにはどんなパワーアンプを使うかでも変わってくる。なので、「シングル」か「ダブル」かは、システムに組み込む際のもろもろの事情によって選択されることも多い。

例えば、サブウーファーを鳴らすために用意した「パワーアンプ」が「ブリッジ接続」(当用語の意味は次回に解説する)に対応していない場合には「ダブル ボイスコイル」の「ユニットサブウーファー」をセレクトした方が使いやすいとか、都合によって選択すればOKなのだ。このあたりはカーオーディオ・プロショップと相談しながら決定しよう。自分にとって向いている(システムに組み込みやすい)タイプのモデルをセレクトしよう。

今回はここまでとさせていただく。次回以降も特に難解なワードの解説を続行する。お読み逃しのなきように。

《太田祥三》

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