フロントスピーカーの“セッティング術”、大研究!! 第8回「DSPでマルチ駆動!」 | Push on! Mycar-life

フロントスピーカーの“セッティング術”、大研究!! 第8回「DSPでマルチ駆動!」

フロントスピーカーの“鳴らし方”に焦点をあてている当特集。その第8回目となる今回は、「DSPを用いたマルチアンプシステム」という“セッティング術”について考察する。これを実践すると、交換したスピーカーの性能を一層引き出すことが可能となる。

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DSP搭載車両のチューニング風景(JLオーディオ)。
  • DSP搭載車両のチューニング風景(JLオーディオ)。
  • 高度なDSPを内蔵したメインユニットの一例(ダイヤトーンサウンドナビ)。
  • 単体DSPの一例(ロックフォード・フォズゲート)。

フロントスピーカーの“鳴らし方”に焦点をあてている当特集。その第8回目となる今回は、「DSPを用いたマルチアンプシステム」という“セッティング術”について考察する。これを実践すると、交換したスピーカーの性能を一層引き出すことが可能となる。

さて、その具体的なやり方とは…。

「DSPを用いたマルチアンプシステム」を実践すると、詳細なチューニングが可能になる!

現代カーオーディオにおいては、「DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)を用いたマルチアンプシステム」は、スピーカーの“鳴らし方”としてスタンダードな方式となっている。

ところで当特集で以前、“パッシブ”システムと“アクティブ”システムについて解説したが、「DSPを用いたマルチアンプシステム」も、“アクティブ”システムの1方式だ。“アクティブ”システムとは、パワーアンプの前段で音楽信号の“クロスオーバー(帯域分割)”を行う方式のことを指すのだが、その“クロスオーバー”を“DSP”で行うのがこの、「DSPを用いたマルチアンプシステム」なのである。

で、「DSPを用いたマルチアンプシステム」がなぜにスタンダードな方式となっているのかというと、理由は主には2つある。1つは「詳細なサウンドチューニングが行えるから」だ。“DSP”の中で音楽信号にまず“クロスオーバー”をかければ、各chの信号を個別に制御できるようになる。ざっくりとしたチューニングではなく、より緻密なコントロールが可能になる。

理由の2つ目は、「各スピーカーを効率良く鳴らせるから」だ。パワーアンプの1chずつを使って個々のスピーカーをドライブできるので、よりシンプルにかつ余裕を持ってスピーカーを鳴らせる。なおこれは、すべての“マルチアンプシステム”に共通したメリットだ。

では、実践方法を説明していこう。「DSPを用いたマルチアンプシステム」の実践方法は3とおりある。1つは、「高度なDSPが内蔵されたメインユニットを使う作戦」、2つ目が「パワーアンプ内蔵DSPを使う作戦」、3つ目が「単体DSPを使う作戦」、以上だ。

メインユニットが交換可能なら、それを換えると話が早い!

個別に解説していこう。まずは「高度なDSPが内蔵されたメインユニットを使う作戦」について。なお当作戦は以下のようなケースで有効策となる。「使用中のナビまたはオーディオメインユニットの使い勝手に不満を感じていて、かつ、それらを交換できるクルマに乗っている場合」だ。

例えば使っているのがナビだとして、そのナビが古くて使いにくかったり、Bluetoothが使いたいのに対応していない等々の不満があるのなら、どうせならばナビごと換えてしまえば話が早い。というのも、「DSPを用いたマルチアンプシステム」では、パワーアンプの前段で“クロスオーバー”を行い、“帯域分割”された各chの信号をパワーアンプの1chずつを使って増幅するシステム構成を形成することになるのだが、ハイエンドナビをはじめとする「高度なDSPが内蔵されたメインユニット」ならば、機器内部で「DSPを用いたマルチアンプシステム」を完成させられる。しかも、ソースユニットまで一体化されているし、ハイエンドナビを選べばナビごと新しくなる。もろもろが合理的だ。

続いては「パワーアンプ内蔵DSPを使う作戦」について解説していこう。なお“パワーアンプ内蔵DSP”とは、“DSP”と“パワーアンプ”が一体化したユニットだ。これを用いれば、“アクティブクロスオーバー”と“外部パワーアンプ”とを同時に手にできる。つまり、これにて「DSPを用いたマルチアンプシステム」を完成させられる。

で、当作戦は、「メインユニットが交換できないクルマ」もしくは「メインユニットを交換したくないケース」で有効策となる。ちなみに“パワーアンプ内蔵DSP”には通常、「スピーカーレベルインプット」なる機能が備えられている。これを活用すると、ライン出力の備わっていないメインユニット(純正メインユニット等)とも組み合わせることが可能となる。それらからアウトされるスピーカー出力を入力できるので、それらをシステムのソースユニットとして活用できる。

ところで“パワーアンプ内蔵DSP”には、さまざまなタイプがある。パワーアンプの出力を小さめにして“小型&低価格”に仕上げたモデルや、パワーアンプの出力はそこそこに大きくしつつもコントロールできるch数を限定してコストを抑えたタイプ、音質を優先させてスペックを高めたハイグレードタイプ等々、多彩だ。導入のハードルが低めなタイプから本格機まで幅広い。予算と効果を鑑みて、自分にあった1台を選ぼう。

本格的にカーオーディオを楽しみたいと思うなら、「単体DSPを使う作戦」の実行を!

そしてもう1つ、「単体DSPを使う作戦」について解説していこう。当作戦は、メインユニットを交換できるできないに関係なく、「本格的なシステム構築を楽しみたい」と思ったときに有効策として浮上する。

ただし当作戦は、他のやり方と比べるとハードルは高めだ。なぜなら、“単体DSP”と“外部パワーアンプ”の両方が必要になるからだ。結果、コストが多くかかりがちとなる。ユニット代もかさんでくるし、インストールの手間もかかる。さらにはインストールスペースも多く必要となる。

しかしその分、得られるメリットも大きい。利点は主には2つある。1つは「好みのパワーアンプを選べること」。外部パワーアンプを別途用意することが前提なので自然とそうなるわけだが、ああでもないこうでもないとアンプ選びを楽しみ尽くせる。そしてもう1つのメリットは「とことん高音質を追求できること」。最近は超ハイグレードな単体DSPも出現しているし、高級な外部パワーアンプも選び放題だからだ。

であるので、「単体DSPを使う作戦」はイコール、ハイエンドシステムを組もうとするときの選択肢、かというと、最近は必ずしもそうではなくなってきた。というのも、リースナブルな“単体DSP”が続々とリリースされているからだ。

そういったモデルをチョイスすれば、カジュアルに「単体DSPを使う作戦」を楽しめる。超小型なパワーアンプを組み合わせれば、インストールスペースも最少で済む。案外手軽に楽しめたりもするのだ。

理想の音を追求したいと思ったら、または、本格的なシステム構築を気軽に楽しみたいと思ったら。「単体DSPを使う作戦」をチョイスしよう。

今回はここまでとさせていただく。次回も“スピーカーセッティング”についての考察を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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