カーオーディオ・インストレーション百科 Part1「スピーカー」編 その11・キャンセリングを防ぐ! | Push on! Mycar-life

カーオーディオ・インストレーション百科 Part1「スピーカー」編 その11・キャンセリングを防ぐ!

もろもろのセオリーが存在しているカーオーディオユニットの取り付け作業。それらセオリーを1つ1つ紹介している当コーナー。まずはスピーカーの取り付け作業に関連した事項をピックアップして解説している。前回まではドアの「制振作業」についてお伝えしてきた。

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“制振材”を使ってサービスホールを塞ごうとしているところ。

もろもろのセオリーが存在しているカーオーディオユニットの取り付け作業。それらセオリーを1つ1つ紹介している当コーナー。まずはスピーカーの取り付け作業に関連した事項をピックアップして解説している。前回まではドアの「制振作業」についてお伝えしてきた。

それに引き続き今回からは、「キャンセリングを防ぐ作業」にスポットを当てる。これまで解説してきた「制振作業」と並びこの「キャンセリングを防ぐ作業」も、“デッドニング”においての中心的なメニューの1つとされることが多い。

まずはこれがどのような作業なのかを解説していこう。実作業としては「サービスホールを塞ぐ」ことが中心となる。ドアのインナーパネル(鉄板)にはところどころ、メンテナンス用の穴が開けられている。その穴を“制振材”等を貼って埋めていくのだ。そしてその作業を進めることで“キャンセリング”の防止を目指すのである。

さて、“キャンセリング”とは何なのかと言うと…。

これまでも説明してきたとおり、スピーカーは裏側からも音を出している。振動板が前後に動くことで空気が震え音が空気中を伝播するのだが、その営みはスピーカーの裏側でも展開されている。

で、この裏側から出ている音は、人に認識される音としては表側と同一なのだが、音波としては真逆の関係にある。表側と裏側では、瞬間瞬間の振動板の動きは逆だ。表側から見て振動板が前に出ているとき、それを裏側から見ると振動板は奥に引っ込んだ状態となっている。音は、水面を伝う波のように空気中を上下に動きながら進んでいくのだが、振動板の動きが逆であるので、その上がったり下がったりという動きも真逆の関係になるのだ。

その状態の音が同一空間上に解き放たれると…。なんと、“打ち消し合い”が起こってしまう。音波としての状態が真逆であるがゆえに、互いの存在を消し合おうとしてしまうのだ。これが“キャンセリング”だ。

ちなみに、ホームオーディオのスピーカーは箱(エンクロージャー)にスピーカーユニットが取り付けられているのだけれど、このエンクロージャーはまさしく主には、“キャンセリング”を防ぐために存在している。裏側から発生される音を閉じ込める役割を担っているのだ。

それと同じようにクルマのドアにおいても、裏側から発生する音をドア内部に閉じ込めるべきであり、ゆえに“制振材”を貼って穴を塞ぐという作業が行われる、というわけなのだ。

今回はここまでとさせていただく。次回も「キャンセリングを防ぐ作業」についての補足説明を加えていく。お楽しみに。

《太田祥三》

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