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超ハイエンド・プロセッサー『BRAX DSP』を徹底テスト! 凄さの真髄に迫る!! Part1

リリースが待望されていた超ハイエンド“デジタル・シグナル・プロセッサー(DSP)”、『BRAX DSP』。当機がいよいよ発売開始と相成った。すでに初期ロッドのいくつかの実機がユーザーの手元に届けられ、その高音質ぶりが各所で話題となっている。

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リリースが待望されていた超ハイエンド“デジタル・シグナル・プロセッサー(DSP)”、『BRAX DSP』。当機がいよいよ発売開始と相成った。すでに初期ロッドのいくつかの実機がユーザーの手元に届けられ、その高音質ぶりが各所で話題となっている。

さて、実際の性能はどうなのか…。

それを知るべく、徹底的なテストを敢行した。4月某日、“BRAX”の正規輸入代理店である“エムズライン”本社を訪ね、サウンドコンペティター御用達の人気ハイエンド“DSP”、『HELIX DSP PRO MKll』との比較試聴、パワーアンプを替えてのテスト、さらには出力回路基板を“デジタルモジュール”へと換装しての試聴まで、じっくりと行ってきた。その詳細なリポートを3回にわたり掲載する。

■定番“DSP”『HELIX DSP PRO MKll』との価格差は、なんと5倍!

今回は、『BRAX DSP』(税抜価格:82万円)と『HELIX DSP PRO MKll』(税抜価格:16万円)との比較試聴の結果をお伝えする。

最初に試聴環境をざっと説明しておこう。リファレンススピーカーとして使ったのは“BRAX”の最高峰スピーカー『BRAX・MATRIX MLシリーズ』の3ウェイ(スコーカーには54mmスコーカー『Matrix ML-2』を使用)。クロスオーバーは“DSP”では敢えて行わず、パッシブクロスオーバーネットワークで行った。なお“DSP”のサウンドチューニング機能はクロスオーバー以外もすべて“スルー”してテストを実行している。あくまでも“素の音”の違いのみを聴き分けようと試みた。

パワーアンプは2機種を試したのだが、今回は“BRAX”のスタンダードモデル『GX-2400 Graphic』(税抜価格:38万円)との組み合わせによるテスト結果からお伝えしていく。ちなみにテストしたもう1機種は、登場間もないハイエンド機『Matrix MX4 PRO』(税抜価格:82万円)。当機と組み合わせてのインプレッションリポートは、次回に詳しくお伝えする。

さて、テスト結果を述べる前に、『BRAX DSP』が高性能であるポイントを解説しておこう。なにせ、『HELIX DSP PRO MKll』と比較してその価格差は約5倍。ここまでのハイグレードモデルとなっている理由を、整理して紹介していく。

『BRAX DSP』が超高性能(超高額)モデルとなっているポイントは、主には2点に集約できる。1つは「パーツに贅が尽くされていること」、そしてもう1つが「信号処理能力が抜群に優秀であること」、この2つだ。

それぞれについて踏み込んでいこう。まずは「パーツに贅が尽くされていること」の具体的事例を列挙していく。筆頭に挙げるべきは、「高性能64bitオーディオシグナルプロセッサーが3基搭載されていること」である(『HELIX DSP PRO MKll』では1基)。“頭脳”が1つから3つに増えたという違いは相当に大きい。もっとも主要な、つまりはもっともコストがかかる部分の1つが、3倍に増量されたというわけなのだ。

■上級パワーアンプに搭載されるような、強力な電源部を搭載。

それ以外でも、DAコンバーター、ADコンバーターに旭化成製プレミアムディバイスの最高ランク品が採用されていることに始まり、端子類に至るまで、ありとあらゆる部分に高品位パーツが採用されている。

“電源部”も強力だ。まるで上級パワーアンプに使われるようなハイグレードな電源パーツが搭載されている。筐体を見ればそのことを実感できる。本体の左右にはなんと、“BRAX”のパワーアンプに備えられているのと同様なヒートシンクが設けられているのだ。“DSP”でヒートシンクが設定されているモデルは他では思い浮かばない。しかし当機には、それが必要なのである。

続いては、「信号処理能力が抜群に優秀であること」について解説していこう。これが実現されているポイントは主に2つある。1つは、先にも挙げたとおり頭脳となるオーディオシグナルプロセッサーが3基搭載されていること。高性能な“頭脳”3基が同時に動き、ハイスピードで大量の情報を処理していく。そしてポイントの2つ目は、内部処理の動作サンプルレートが高いこと。『HELIX DSP PRO MKll』の“96KHz/32bit”に対して『BRAX DSP』では“192KHz/32bit”。信号を約2倍のきめ細やかさで処理できるというわけなのだ。

なお、この動作サンプルレートは、すべての音源で適応される。つまり、“44.1KHz/16bit”のCDクオリティの音源も、“192KHz/32bit”にアップサンプリングされて処理される。そもそもが粗い信号は、細かく分割されても粗さは改善されないが、それがアナログ信号に変換される際には“エラー補正”が入り、滑らかになる。動作サンプルレートの高さは、すべての音源に効いてくる。

■テスト環境で聴く『HELIX DSP PRO MKll』の音も十二分にハイエンド。しかし…。

では、テスト結果をリポートしていこう。

まずは、『HELIX DSP PRO MKll』のサウンドから確認した。

『BRAX・MATRIX MLシリーズ』の3ウェイスピーカーから流れてくるその音は、ケチのつけようもないハイエンドサウンドだと素直に思えた。高解像度、高S/Nであることに加え、1音1音の実在感が高い。手を伸ばせば楽器に触れられそうな気もしてくるほどだ。さらにはリアリティも上々だ。例えば、スティックがシンバルを叩くときの音からは木や金属の材質感もビビッドに伝わってくるし、声の生々しさも格別だ。

サウンドステージの再現性も至って良好だ。奥行き感や広がり感もしっかりと確保されている。流石のHi-Fiサウンドを十二分に堪能できた。

続いてはいよいよ、『BRAX DSP』のサウンドを聴いてみた。パワーアンプとスピーカーはそのままで、“DSP”のみを替えて音を出してみると…。

試聴トラックのイントロが流れ始めた瞬間に、音の違いに驚かされた。驚かされた最大のポイントは、“音楽性の豊かさ”だ。演奏の抑揚感が格段に上がっていて、1つ1つのフレーズの説得力がすこぶる高められている。情熱的なフレーズはより熱く、哀愁に満ちたフレーズは一層切なく心に響く。楽曲の世界にぐいぐいと引き込まれていく…。

なるほど、音のきめ細やかさと滑らかさのレベルが違っていて、情報量は格段に多くなり、解像度も相当に上がっている。その結果、音の耳当たりが実に心地よく、そして音楽の感動力が絶大に高められている、というわけだ。

価格差に見合う性能差は確実にある。『BRAX DSP』の実力は確かだ。この“DSP”は凄い。

さて、テストはまだまだ序盤が終了したに過ぎない。続いては話題の新型パワーアンプ、『MATRIX-MX4 PRO』との組み合わせによる比較テスト、さらには出力カードをアナログからデジタルへと換装してのテストまでを実行した。それらのリポートは続編にて順次お伝えしていく。乞うご期待。

《太田祥三》

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