カーオーディオをもっと身近に感じるための、『ザ・用語解説!』 Part6 サブウーファー編 ll | Push on! Mycar-life

カーオーディオをもっと身近に感じるための、『ザ・用語解説!』 Part6 サブウーファー編 ll

「クルマの中で“良い音”を聴きたい」と思いつつも、システムアップすることをなんとなくためらっているという方々に向けて、その不安を取り除くための「用語解説」をお届けしている。第6回目となる当回は、サブウーファーに関連した「用語解説」の続編をお贈りする。

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シールドボックスの例(ロックフォード・フォズゲート P300-10)。
  • シールドボックスの例(ロックフォード・フォズゲート P300-10)。
  • バスレフボックスの例(ヴァイブオーディオ CVENV6-V4)。
  • 単体ユニットサブウーファーの例(JLオーディオ 10W3v3-4)。

「クルマの中で“良い音”を聴きたい」と思いつつも、システムアップすることをなんとなくためらっているという方々に向けて、その不安を取り除くための「用語解説」をお届けしている。第6回目となる当回は、サブウーファーに関連した「用語解説」の続編をお贈りする。

01・“シールドボックス”&“バスレフボックス”とは?

前回、サブウーファーを鳴らすためには“ボックス(エンクロージャー)”が必要となることを説明した。今回はまず、その“ボックス”にはタイプがあることを解説していく。

実のところはさまざまなタイプがあるのだが、カーオーディオにおいて主に用いられているのは以下の2つだ。1つが“シールドボックス”、そしてもう1つが“バスレフボックス”である。

それぞれがどのようなボックスなのかを解説していこう。まずは“シールドボックス”から。

この場合の“シールド”とは「遮蔽された状態」であることを意味していて、つまりは“シールドボックス”とは、“密閉”された状態で完成されている箱のことを指している。そもそもスピーカーボックスの主な役割は、スピーカーユニットの裏側から発せられる音を“閉じ込める”ことにあるのだが、“シールドボックス”はすき間のない構造とすることで、その目的を完ぺきにこなすことが可能となる、というわけなのだ。

それに対して“バスレフボックス”は、スピーカーユニットの裏側から発せられる音を活用しようとする構造が取られている。“ボート(ダクト)”と呼ばれる筒を設けてそこから裏側の音を表側に放出し、低音をより豊かに伸びやかに鳴らすことが目指される。

ところで、スピーカーの裏側から発せられる音を閉じ込めようとするのは、「空気中で、表側の音と裏側の音が交わらないようにするため」だ。表側の音と裏側の音が交わると“キャンセリング(打ち消し合い)”が発生してしまうので、それを防止したいのだ。

なのに“バスレフボックス”では裏側の音を表側に放出する。それでは“キャンセリング”が発生してしまうのでは…、と思う方もいるかもしれないが、心配はご無用だ。“バスレフボックス”では「“位相”を反転してから表側に放出する」ので“キャンセリング”は起こらない。なので“バスレフボックス”は、“位相反転型”とも呼ばれている。

ちなみに、“シールドボックス”でも設計を工夫することで低音の鳴り方をコントロールできる。しかもボックスサイズを比較的に小さく仕上げることも可能なので、“シールドボックス”の方が用いられる頻度が高くなっている。

02・“前方定位”って何?

続いては、低音の鳴らし方に関するワードをピックアップする。その用語とは、“前方定位”だ。

サブウーファーを鳴らすのにはコツがいる。そのコツが上手に実践されると低音が前から聴こえてくるようになる。“前方定位”とは、その状態を指す言葉として使われている。

ところでホームオーディオを聴いている場合は、スピーカーはそもそも目の前の置いてあるので、当然ながら音像は目の前に現れる。その上で“ステレオ”の原理が発揮され、サウンドステージが立体的に再現される。

しかしクルマにサブウーファーを搭載する場合、それを目の前に設置することはほぼ不可能だ。パワードサブウーファーなら多くの場合シート下に、ユニットサブウーファーなら大概はトランクルームに設置される。このように、目の前には置かれていないサブウーファーから発せられる低音を、どうすれば目の前から聴こえてくるようにできるのだろうか。

ポイントは、「フロントスピーカーの音と上手く繋げること」にある。フロントスピーカーの音とサブウーファーから発せられるサウンドが“一体化”すると、低音の“前方定位”が可能となる。

03・低音を“前方定位”させる方法とは?

ところで、“指向性”という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは「音や光や電波の強さが、方向によって変わる性質」のことを指している。音においては、音程が高い音ほど“指向性”が強くなり、音程が低い音ほど“指向性”が弱くなる。つまり、高い音ほど真っ直ぐに進もうとする力が強く、低い音ほど真っ直ぐに進もうとする力が弱くなる。結果、高い音ほど“音の出どころ”が分かりやすくなる。逆に、低い音ほど“音の出どころ”がわかりにくい。

なので、もしも高音から低音までが“一体化”すると、どこから聴こえてくるのかがわかりにくい低音は、“出どころ”が分かりやすい高音につられて前から聴こえてくるようになる。このようにして“前方定位”は実現されることとなる。

さて、問題は高音から低音までをどうやって“一体化”させるか、なのだが…。

これを実現させるためのファクターは主に2つある。1つが「音量」で、もう1つが「位相」だ。前者についてはイメージしやすい。サブウーファーの音量を上げ過ぎてしまえば、いかに“指向性”が弱い低音でもはっきりと後から聴こえてくる。音量バランスを取ることが、まずは何より重要だ。

で、“位相”とは何かというと…。ざっくり、「音波のタイミング」だとイメージしてほしい。音は、水面を伝う波紋のように、空気中で上がり下がりを繰り返しながら伝わっていく。ドアスピーカーとサブウーファーから発せられる音のこの“上がり下がり”のタイミングがシンクロすると、“位相が合った”状態となり、ドアスピーカーの音とサブウーファーの音とが“一体化”するのだ。

カーオーディオ・プロショップでは、チューニング機能を駆使することで、この“位相”合わせも実行できる。結果、低音の“前方定位”を実現できる、というわけなのだ。

今回はここまでとさせていただく。次回もサブウーファーに関連した重要ワードの解説を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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