フロントスピーカー、アナタならどう鳴らす? 第2回「取り付けに手を掛けて性能を引き出す!」 | Push on! Mycar-life

フロントスピーカー、アナタならどう鳴らす? 第2回「取り付けに手を掛けて性能を引き出す!」

カーオーディオを楽しもうとするときの最重要項目と言えば、「フロントスピーカーに何を使うか」、そしてそれを「どう鳴らすか」だろう。この根本的なテーマを深く掘り下げて考察する短期集中連載をお届けしている。今回は、“取り付け”について考えていく。

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ワンオフした「インナーバッフル」を使用してスピーカーを取り付けた一例(製作ショップ:サウンドカーペンター)。

カーオーディオを楽しもうとするときの最重要項目と言えば、「フロントスピーカーに何を使うか」、そしてそれを「どう鳴らすか」だろう。この根本的なテーマを深く掘り下げて考察する短期集中連載をお届けしている。今回は、“取り付け”について考えていく。

■カー用のスピーカーは、販売されている状態ではまだ“完成品”となってはいない…。

ところで前回の解説の中で、エントリーグレードのスピーカーとしておすすめなのは、3万円台から6万円台くらいの製品であると紹介した。

さて、スピーカー交換をしようと考えて、仮に3万円のスピーカーを選んだとしよう。そのときに総予算は3万円ですむのかというと…。答はNOだ。カーオーディオの場合、スピーカーを新調しようとするときの総予算は製品代だけでは完結せずに、“取り付け費用”も必要となる。

もちろん、自分で取り付けるという手はある。実際、取り付け作業も楽しもうとしている方々も少なくない。ただし、難易度は結構高い。特に初心者には、ドアの内張りパネルを取り外す作業がまずはハードルとなる。さらには、スピーカーの性能を引き出すためにはさまざまなコツがある。そしてそれらを知らないと、良い音が得られないことも…。ただ装着すればいい、という問題ではないのだ。

というのも…。

カー用のスピーカーはスピーカーユニットだけで販売されている。それに対してホームオーディオのスピーカーはスピーカーユニットが箱(エンクロージャー)に取り付けられた状態で売られている。当然ながら箱もスピーカーの一部だ。各メーカーは、材質、形状、内部構造等々、箱のさまざなま部分にコストをかけ、英知を注いでスピーカーを完成させている。

カーオーディオの場合はドアが箱の役目を負うのだが、クルマのドアは基本的には“音響パーツ”として設計されてはいない。なので、“音響パーツとしてのコンディションを上げていく”作業が必要となるのだ。“取り付け作業”とはすなわち、“スピーカーを作る”作業なのである。

であるので、スピーカーの“取り付け作業”には、部材も技術も必要となる。結果、相応の費用が発生するのだ。

ちなみに最近は、取付工賃を明確にしているお店が増えている。費用のイメージは案外事前に掴めるので、その点は安心してほしい。

■スピーカーを取り付ける際にはまず、「インナーバッフル」が必要となる。

続いては、カースピーカーの“製作”に際して行われる工程について解説していこう。すべきことをイメージできると、工賃についての納得感も深まるはずだ。

まず、「インナーバッフル」というパーツを用意して、それを土台として取り付ける必要がある。インナーバッフルとは“取り付けスペーサー”であるのだが実は、“音響パーツ”としての役目もさまざま果たす。例えば、スピーカーの足場を固めてエネルギーのロスを少なくする、スピーカーの振動を鉄板に伝えにくくする、鉄板の共振を抑える等々の役割も担っている。

なお、それらの役割をより効果的に果たさせようと思ったら、インナーバッフルはワンオフしたいところだ。ワンオフすれば、取り付ける車種、装着するスピーカーそれぞれにベストマッチするものを用意できるからだ。しかしながら、高性能なインナーバッフルを用意しようとすると、予算も多く掛かってくる。高級素材を使ったり、形状を工夫することで効果をさらに高めることが可能なので、その分費用もかさんでくる。

その一方で、予算を下げる手段もある。ワンオフせずに市販の汎用タイプを使うという手もあるのだ。汎用タイプにもグレードがさまざまあるが、手頃なものでは数千円から用意されている。

ただし、インナーバッフルを使わないという手はない。何らかのインナーバッフルは絶対に必要だと心得たい。

■“デッドニング”に手間暇をかけると、スピーカーの性能をより引き出せる。

そして、“スピーカー製作”のメインメニューとなるのは、“デッドニング”だ。ちなみに“デッドニング”は、“ドアチューニング”と呼ばれることもある。

その中で行われる工程はさまざまあるが、中心となるのは、ドア内部の鉄板のビビリ(共振)の抑制だ。“制振材”という部材を貼ってビビリにくくしたり、“吸音材”を使ってスピーカーの裏側から発せられる音エネルギーを吸収しビビリの原因を減らしていく。また、内部の機密性を高めようとする作業や、内張りパネルのガタツキを抑えようとする工程も存在する。手を掛けようと思うと、やるべきことは結構いろいろある。

なお、最初からがっつりと“デッドニング”を行わず、初めはごくごく簡単な内容にとどめておくというやり方もある。最低限のことだけやっておいて、手を掛けるのは後のステップアップとして取っておく、という考え方もあるのだ。

その一方で、高級なスピーカーを選ぶ場合には、早い段階で手厚く“デッドニング”を行っておきたいところだ。高級なスピーカーであるほどに、その性能を十分に引き出せないともったいない。

ところで、エントリースピーカーに対して十分に手を掛けたときと、上級スピーカーを簡単に取り付けたときとを比べると、前者の方が音が良くなることも往々にしてある。というわけなので結局のところは、どのようなスピーカーを選ぶにしても、ある程度“デッドニング”には手間暇(予算)をかけるべきなのだ。最初はライト仕様にとどめたとしても、後々にしっかりと作業を施すと、音が良くなる感動を再び味わえる。ぜひとも覚えておいていただきたい。

今回はここまでとさせていただく。次回は、取り付けスタイルのあれこれを解説していく予定だ。お楽しみに。

《太田祥三》

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