売れ筋パワーアンプ、計8機種一気試聴! Part.3「多chパワーアンプ」編 | Push on! Mycar-life

売れ筋パワーアンプ、計8機種一気試聴! Part.3「多chパワーアンプ」編

パワーアンプの人気モデルの実力を探るべく、計8台の試聴取材を実施した。そのリポートを紹介する週刊特集をお贈りしている。ピックアップしたのは、イース・コーポレーションが昨年末に発表した『CAOTY(カーオーディオオブザイヤー)2017』での上位入選製品だ。

カーオーディオ カーオーディオ特集記事
売れ筋パワーアンプ、計8機種一気試聴! Part.3「多chパワーアンプ」編
  • 売れ筋パワーアンプ、計8機種一気試聴! Part.3「多chパワーアンプ」編
  • ヴァイブ・オーディオ BLACKAIRCH5-V1
  • ヴァイブ・オーディオ BLACKAIRCH5-V1
  • ヴァイブ・オーディオ BLACKAIRCH5-V1
  • JLオーディオ XD600/6v2
  • JLオーディオ XD600/6v2
  • JLオーディオ XD600/6v2

パワーアンプの人気モデルの実力を探るべく、計8台の試聴取材を実施した。そのリポートを紹介する週刊特集をお贈りしている。ピックアップしたのは、イース・コーポレーションが昨年末に発表した『CAOTY(カーオーディオオブザイヤー)2017』での上位入選製品だ。

第3回目となる今回は、『多チャンネルパワーアンプ部門』で好位置にランクした2台をフィーチャーする。

なお、今回の試聴においても、リファレンススピーカーとして使用したのは「ロックフォード・フォズゲート」の2ウェイコンポーネントスピーカーのトップエンド機、『T5』(税抜価格:30万円)。それ以外の使用機材については、前々回の記事をご参照いただきたい。

サブウーファーchのパワーが確保された、リーズナブルな実用機。


まずは、『CAOTY2017』の『多チャンネルパワーアンプ部門』で第3位に入った「ヴァイブ・オーディオ」の『BLACKAIRCH5-V1』についてのインプレッション・リポートからお伝えしていく。最初に主要スペックを確認しておこう。

ヴァイブ・オーディオ BLACKAIRCH5-V1

☆『BLACKAIRCH5-V1』(税抜価格:6万7000円)
●仕様:5chパワーアンプ ●定格出力:90W×4(4Ω)+300W×1(4Ω)515W×1(2Ω) ●周波数特性:10Hz~25kHz(±1.0dB) ●クロスオーバー:ハイパス50Hz~220Hz(-12dB/oct)ローパ50Hz~220Hz(-12 dB/oct) ●サイズ(幅×奥行×高さ):520×165×54mm ●リモートベースコントローラー付属

なお当機は、『CAOTY2016』においても第3位を獲得していた。その前年の第9位から一気に躍進し、そしてその勢いを『CAOTY2017』でも維持したわけだ。もはや、“多chパワーアンプ”の人気定番モデルとして定着した感がある。

総ch数は5chで、そのうちの1chがサブウーファー用chとなっている。つまり、1台で「フロント+リア+サブウーファー」、もしくは、「フロント2ウェイ+サブウーファー」の“マルチアンプシステム”を構築可能だ。そのサブウーファーchは定格出力300W(4Ω)が確保され、強力に重低音をドライブできる。リーズナブルなモデルでありながら、なかなかのスペックと言っていい。このあたりも人気を得ているポイントと見ていいだろう。

そのかわり、サイズは大きめだ。両端に装備しているエンドキャップまで入れると横幅が520mmあり、シート下へのインストールは不可能だ(エンドキャップを外せば横幅は400mm/ターミナル含まず)。ただ、奥行は165mmと短め。従来機に比べて回路部が50%小型化されているとのことで、超大型モデル、というわけではない。

デザインは至ってシンプルだ。ピアノブラックのボディからは高級感も醸し出されている。音に対しても期待したくなる、気品あるルックスだ。さて、実際のところはどうだったのかと言うと…。

質感は上々。「ヴァイブオーディオ」らしいコスパの高さが光る。


ヴァイブ・オーディオ BLACKAIRCH5-V1ヴァイブ・オーディオ BLACKAIRCH5-V1

最初の出音で感じられたのは、「キレ味の良さ」だった(試聴はフロントchのみで行っている)。ムダがなく、ヌケも良く、その上でかっちりとリズムが刻まれ、小気味良く音楽が再現されていく。音色はどちらかというとドライ傾向だろうか。中域にはほど良く温かみがたたえられているが、全体的にはソリッドなサウンドのように思えた。そんなところも“キレ味”の良さをブーストしている要因だろう。

そして質感も上々だ。6万7000円という予算で「4chパワーアンプ」とハイパワーな「サブウーファー用アンプ」を同時に手にできるリーズナブルな価格設定でありながら、音に粗さはない。静寂感もしっかりと感じられているので、S/Nも悪くないように思えた。高域の繊細さ度合いにも不満は感じられない。ルックスから受けた印象とサウンドの傾向がリンクしている。「ヴァイブオーディオ」ならではのコスパの高さを当機もいかんなく発揮している。

単に聴かせ上手であるだけではなく、“実”を伴ったサウンドだと思えた。これは人気となって当然だ。満足度の高い仕上がりを見せている。サブウーファーをしっかりと鳴らせるシステムを低予算で組みたいと考えたときには、『BLACKAIRCH5-V1』があることを、思い出そう。当機は使える。

“多chパワーアンプ”を多彩にラインナップする「JLオーディオ」の製品群の中で、人気が急上昇した注目機。


続いては、『多チャンネルパワーアンプ部門』で第2位となった「JLオーディオ」の『XD600/6v2』の試聴ルポをお伝えする。まずは主要スペックから見ていこう。

JLオーディオ XD600/6v2

☆『XD600/6v2』(税抜価格:12万6000円)
●仕様:6ch(6/5/4/3ch)パワーアンプ ●定格出力:75W×6(4Ω)100W×6(2Ω) ●周波数特性:12Hz~22kHz(+0-1dB) ●S/N比:104dB以上 ●クロスオーバー:ハイパス50Hz~500Hz(-12dB/oct)ローパス50Hz~500Hz(-12dB/oct) ●サイズ(幅×奥行×高さ):260×180×52mm

ところで「JLオーディオ」は、「多chパワーアンプ」を多彩にラインナップしているブランドだ。『CAOTY2017』の同部門を見ても、10台中なんと7台が同社のモデルだ。第1位こそ「ロックフォード・フォズゲート」の人気エントリーグレード『プライムシリーズ』の『R600X5』に譲ったが、ランキングのほとんどが同社の製品で形成されている、というわけだ。

その中にあって当機は、『CAOTY2016』の第9位から大ジャンプアップを果たしていて、ここにきて著しく人気を上げた。その秘密は何なのだろうか。

理由として考えられるのはまず、サイズの小ささだ。これ1台で「フロント3ウェイ」の“マルチアンプシステム”、または「フロント2ウェイ+サブウーファー」の“マルチアンプシステム”が組める。にも関わらず、シート下へのインストレーションも十分に可能なサイズに仕上げられている。このようなパッケージングを完成できたのは、良質なフルレンジ“D級アンプ”の開発にいち早く取り組んだ同社ならではのノウハウがあればこそ、だろう。

デザインは、フラッグシップ『HDシリーズ』の雰囲気を踏襲するブラックとシルバーのツートン仕様。「JLオーディオ」らしい安定感ある出来映えを見せている。果たしてそのサウンドやいかに…。

ミドルグレード機らしい、高品位なサウンドを響かせる。クセのない優等生的モデル。


JLオーディオ XD600/6v2JLオーディオ XD600/6v2

当機の試聴も、フロント用の2chのみを使って実行した。

さて、当機は6chを備えているとはいえ、12万円を超える“ミドルクラス”に属するモデルだ。このクラスともなると、さすがにサウンドクオリティがひと味違う。Hi-Fiサウンドの領域に達していることを実感できる。音の解像度、情報量、S/N感、これらパワーアンプに求められる基本スペックが、一定のレベルにあることを感じ取れた。

サウンド傾向としては、至ってナチュラル。優等生タイプの音だと思えた。バランスも、音色も、誇張がなく原音に忠実だ。ニュートラルでフラット。安心して音楽の世界に入っていけた。

その上で、高域は細やかでスムーズ。中域の密度感も申し分ない。低音には躍動感もあり、量感の豊富さとタイトさも併せ持つ。

さらには、余韻の美しさにも特長が感じられた。淡々と原音どおりのサウンドを聴かせてくれているのだが、音楽性もなかなかに豊かだ。聴き応えがある。

ここまでコンパクトで、かつ6chも備えられているにも関わらず、この音が得られるというのはすなわち利点だ。パワーアンプのch数が多く必要となることが最初からわかっているのなら、当機『XD600/6v2』をチェックして損はない。高音質システムを、効率的に、合理的に構築することが可能となる。

今回の試聴リポートは以上で終了だ。次回は最終回として、高額な4chモデル2台についてのインプレッション・リポートをお伝えする。乞うご期待。

《太田祥三》

特集

関連ニュース

page top