「外部パワーアンプ」の使いこなし術を徹底解説! 第4回 “バイアンプ接続”を楽しむ | Push on! Mycar-life

「外部パワーアンプ」の使いこなし術を徹底解説! 第4回 “バイアンプ接続”を楽しむ

「スピーカー交換」をした後に、その効果をさらに上げようと思ったら、「外部パワーアンプ」の導入を検討してみよう。これを実行することで、サウンドクオリティをもう1ランクアップさせることが可能となる。その方法論解説を、当短期集中連載で展開している。

カーオーディオ カーオーディオ特集記事
パワーアンプの一例。ロックフォード・フォズゲート T600-4。

「スピーカー交換」をした後に、その効果をさらに上げようと思ったら、「外部パワーアンプ」の導入を検討してみよう。これを実行することで、サウンドクオリティをもう1ランクアップさせることが可能となる。その方法論解説を、当短期集中連載で展開している。

■“バイアンプ接続”を実行すると、スピーカーの性能がもう1ランク上がる?

今回は、“バイアンプ接続”をテーマにお贈りする。

最初に、“バイアンプ接続”が何なのかを説明していこう。まず、これを実行するためには、交換した「市販スピーカー」に付属している「パッシブクロスオーバーネットワーク」が、“バイアンプ接続”に対応している必要がある。

「パッシブクロスオーバーネットワーク」とは、音楽信号を帯域分割する装置だ。「パワーアンプ」から送られてくるフルレンジの信号を、ツィーターを鳴らすための高音と、ミッドウーファーを鳴らすための中低音とに分割する機能を受け持っている。

であるので通常これには、出力端子が2系統(ツィーター用の出力端子とミッドウーファー用の出力端子)備えられているが、入力端子は1系統(プラスとマイナスの2つの端子からなる)しか備わっていない。

対して“バイアンプ接続”対応の「パッシブクロスオーバーネットワーク」では、入力端子も2系統備えられている。ツィーター用、ミッドウーファー用、それぞれ専用の入力を備えているのだ。

つまりこの場合の「パッシブクロスオーバーネットワーク」は、音楽信号を2つに分けるという仕事をするものではなくなり、ツィーター用の信号の中域以下をカットする仕事と、ミッドウーファー用の信号の高域側をカットする仕事、この2つの仕事を担う道具となるわけだ。

で、この“バイアンプ接続”を実行すると、「パッシブクロスオーバーネットワーク」内で音楽信号が干渉しあうことがほぼなくなるので、サウンドのクリア感や濃密さが上がる。スピーカーはそのままなのに、サウンドクオリティをもう1ランク上げることが可能となるのだ。

■“バイアンプ接続”が可能ならば、これを実行しないと損!

なお、“バイアンプ接続”の実行のしかたは2とおりがある。1つがその名のとおり“バイアンプ接続”で、もう1つが“バイワイヤリング接続”だ。

この2つの違いは、以下のとおりだ。前者は、「パワーアンプ」の別chから配線するのだが、後者は「パアーアンプ」の同一chにケーブルを2本繋いで配線する。つまり、前者では「パワーアンプ」は4chが必要となり、“バイワイヤリング接続”の場合には「パワーアンプ」は2chあればOKだ。

ちなみに、“バイアンプ接続”でも、“バイワイヤリング接続”でも、「パッシブクロスオーバーネットワーク」内での電気的な干渉がほぼなくなるので、どちらを実行しても音質向上が果たされる。だが、より高音質を期待できるのは“バイアンプ接続”だ。同じスピーカーを鳴らすのに「パワーアンプ」を4ch使うほうが贅沢だ。この贅沢さは音に直接的に効いてくる。

というわけで、もしも導入した「市販スピーカー」の付属「パッシブクロスオーバーネットワーク」が“バイアンプ対応”であったなら、まずは普通に聴いて楽しんだ後、“バイワイヤリング接続”、“バイアンプ接続”と順番に試していくと、音の変化を都度楽しめる。

なお、当特集は「外部パワーアンプ」の導入をおすすめするものであるのだが、“バイアンプ接続”の効果は、「内蔵パワーアンプ」でも味わえる。ただし、これを「外部パワーアンプ」で行えば、効果はさらに大きくなることは言うまでもない。

であるので、「外部パワーアンプ」の導入を検討する際には、「パッシブクロスオーバーネットワーク」が“バイアンプ接続”対応であったなら、ch数は“4ch”以上のモデルを候補にしたい。ch数が増えればコストはかさむが、“4chモデル”を使えば、楽しみ方の幅を広げられるのだ。ぜひとも覚えておいていただくたい。

■“バイアンプ接続”が可能だと、コントロール機能も上げられる?

もう1つ、“バイアンプ接続”の楽しみ方を紹介しておこう。これも“内蔵”、“外部”の区別なく楽しめることなのだが、この際なので紹介しておきたい。それは、「詳細にサウンドチューニングを実行する」という楽しみ方だ。

そのためには条件がある。「使用しているメインユニットに“タイムアライメント”機能が搭載されていること」。

ところで“タイムアライメント”とは、スピーカーが音を発するタイミングをコントロールする機能だ。これを操ることで、あたかもすべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。

しかしながら、一般的なAV一体型ナビの“タイムアライメント”では、ツィーターとミッドウーファーを個別にコントロールすることはできない。AV一体型ナビの中では、ツィーター用の信号とミッドウーファー用の信号とを、分割してコントロールできないからだ。であるので、ツィーターとミッドウーファーが別々の場所に取り付けられていても、それらを“1つのスピーカー”として取り扱うことしかできないのである。

だが、「パッシブクロスオーバーネットワーク」が“バイアンプ対応”ならば話が違ってくる。

フロントスピーカー用の出力を「パッシブクロスオーバーネットワーク」のミッドウーファー用の入力端子に繋ぎ、フロント出力をミッドウーファー専用のchとして扱う。そしてリアスピーカー用の出力を「パッシブクロスオーバーネットワーク」のツィーター用の入力端子に繋ぎ、リアchをツィーター用の専用chとして利用する。

こうすることでリアスピーカーは鳴らせなくなるが、その代わり、フロント2ウェイの計4つのスピーカーを、個別にコントロールすることが可能となる。結果、「タイムアライメント」を詳細に効かせられるようになるのだ。これが可能となると、ステレオイメージがさらに上がっていく。聴こえ方が変わるのだ。ぜひともお試しを。

今回は以上だ。次回もまた「外部パワーアンプ」を使いこなすためのコツをディープに解説していく。お楽しみに。

《太田祥三》

特集

関連ニュース

page top