【逸品名鑑】カーオーディオにおけるベストを徹底追求! 『Rexat』シリーズの凄さの秘密に迫る! | Push on! Mycar-life

【逸品名鑑】カーオーディオにおけるベストを徹底追求! 『Rexat』シリーズの凄さの秘密に迫る!

ヘッドホン、マイクロホンをはじめ、高品位な音響機器を多彩にリリースしている「audio-technica(オーディオテクニカ)」。同社は、車載関連アイテムも豊富に用意し、初級、上級を問わず、多くのカーオーディオ愛好家のシステム構築をサポートしている。

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オーディオテクニカの最新フラッグシップモデル、『Rexat・AT-RX28』(ラインケーブル)。
  • オーディオテクニカの最新フラッグシップモデル、『Rexat・AT-RX28』(ラインケーブル)。
  • 株式会社オーディオテクニカ マーケティング本部 国内営業部 モービルサウンド課 マネージャーの水口正晃氏。
  • 2002年に初登場した『Rexat』の第一世代製品の1つ、『AT7714』(スピーカーケーブル)。
  • 2002年に初登場した『Rexat』の第一世代製品の1つ、『AT7715』(スピーカーケーブル)。
  • 2002年に初登場した『Rexat』の第一世代製品の1つ、『AT7726』(ラインケーブル)。
  • 2007年に登場した『Rexat』の第二世代製品の1つ、『AT7791』(オプティカルデジタルケーブル)。
  • 2007年に登場した『Rexat』の第二世代製品の1つ、『AT7791MM』(オプティカルデジタルケーブル)。
  • 2007年に登場した『Rexat』の第二世代製品の1つ、『AT7791RX』(オプティカルデジタルケーブル)。

ヘッドホン、マイクロホンをはじめ、高品位な音響機器を多彩にリリースしている「audio-technica(オーディオテクニカ)」。同社は、車載関連アイテムも豊富に用意し、初級、上級を問わず、多くのカーオーディオ愛好家のシステム構築をサポートしている。

そんな珠玉の製品群の中に、ハイエンドユーザーからの厚い支持を集める高級シリーズがある。その名は『Rexat(レグザット)』。今回は【逸品名鑑】と題し、その凄さの秘密を改めて、じっくりと紐解いていく。

取材にご協力いただいたのは、同社マーケティング本部 国内営業部 モービルサウンド課 マネージャーの水口正晃氏。氏に、『Rexat』が誕生した当時のエピソードから、記念碑的モデルの開発秘話、そして今後への展望について、たっぷりとお話を伺った。

■こだわったのは“制振性能”。車載製品としての音の決め手はここにある。

『Rexat』シリーズは、2002年2月に誕生している。それ以前に「audio-technica」から発売されていた車載専用ケーブルシリーズ『EXAT(イグザット)』を超える、新たなフラッグシップシリーズとして登場した。このときに発売された製品は、ラインケーブルの『AT7726』と、スピーカーケーブルの『AT7715』、『AT7714』。

まずはこれらが生み出された背景からお訊きした。

「1990年代にカーオーディオがブームになった当時はまだ、当社では車載専用の製品を出していませんでした。しかしながら、ホームオーディオ用のケーブル類をカーオーディオ販売店様に扱っていただけるようになって。ならば、車載専用モデルを作ろうということになり、それで初めて誕生したのが『ULTRALINK』であり、それをさらに車載用として昇華させたラインナップが『EXAT』シリーズです。

おかげさまで『EXAT』シリーズは好評を博すことができたのですが、2000年を迎えようとする時期になり、ハイエンドカーオーディオの熱がさら高まってくると、より上級な製品を求める声が多く聞かれるようになりました。

ちょうどその頃当社としても、フラッグシップモデルを用意したい、とも考え始めてもいました。いち早く、車載専用品として“制振性能”にこだわったという自負もあり、その部分をさらに進化させたハイエンドシリーズを生み出そうということになり、『Rexat』の開発がスタートしたんです」

しかしながら、完成までの道のりは困難を極めたという。

「“制振性能”とは、走行によって起こる振動と、電気が流れることによって起こるケーブル自身の振動、この両方に対しての性能です。ここが車載製品としての音の決め手になると考えたんです。この発想は目新しいものでした。

試作と試聴を繰り返しながら、どのような音が求められているのか、どのような音を当社として提案できるのかを、徹底的に煮詰めていきました。もちろん、音に影響するのはその部分だけではありませんから、あちらを立てればこちらが立たなくなるという中で、延々と試作が繰り返されました。

そうして採用されたのが、振動吸収性に優れた新素材、『ハネナイト』です。完成までには、『Rexat』史上、もっとも多くの手間と時間がかかっていますね。しかしその甲斐あって、高い評価を得られましたし、特約店も想定以上の速さで増えていきました」

■創立45周年記念モデルの開発で、『Rexat』は新技術を手に入れる。

『Rexat』シリーズはその後、順調にアイテムを増やしていく。まず2007年4月には、芯材断面を4回にわたって研磨し完成させるというオプティカルデジタルケーブル、『AT7791』が発売され、同年6月には記念碑的モデルの登場をみる。「audio-technica」創立45周年記念モデルとなる、ラインケーブル『AT7727LTD』、スピーカーケーブル『AT7716LTD』が限定生産されたのだ(品番の最後の“LTD”とは“限定”を意味している)。

「さらなる究極を目指して新たなチャレンジに取り組み、そうして生まれたのが創立45周年記念モデルです。ここでのキー技術は、“クアトロハイブリット”。導体に初めて、4種類の銅素材を使用したんです。

『Rexat』が目指すのは、まずは“ハードウェアの性能をフルに活かしきる”こと。情報をロスなく確実に伝送し、ステージングをリアルに再現します。

そこからさらに、いかに聴感上の特色を出していけるか。新素材を用いることで、そこへの挑戦を試みたのです。

新素材というのは、“金クラッドOFC”と“7N-OFC”。“7N”とは、銅純度99.99999%以上であることを指しています。

これらを加えることで、それぞれのいいとこどりをしようとしたのですが、このときにも生みの苦しみを味わいましたね。配合の割合を少し変えるだけで、ガラリと音が変わってしまうんですよ。他にもさまざな要素を調整しながら、例えばプラグの材質、構造、締め付け具合…。それらを総合的に整え、何度も試作が繰り返されました。それまでの『Rexat』の延長線上にありながらも、より良い音を目指して…」

かくして、これを作り上げることに成功し、以後のレギュラーアイテムに“クワトロハイブリッド導体”は展開される。『Rexat』は、さらなる進化を遂げていく。

■まったく新しい“制振技術”、『エアースペース・インシュレーションシステム』が誕生。

そしてその4年後となる2011年11月には、早くも次なる記念碑的モデルが登場する。創立50周年限定モデルが発売され、カーオーディオ愛好家たちの間に、大きな話題を巻き起こす。ラインナップは以下の3モデル。ラインケーブル『AT-RX50A』、スピーカーケーブル『AT-RX50S』、そしてコアキシャルデジタルケーブル『AT-RX50C』。

話題の中心となったのは、搭載された新技術、『エアースペース・インシュレーションシステム』だ。究極的な“制振性能”を得るべく、まったく新しい“空気絶縁構造”が確立されたのだ。

「第1世代の製品開発にもっとも手間と時間を費やした、とお話しましたが、この50周年限定モデルの開発にも、それに匹敵する労力が注ぎ込まれています。メモリアルなものを作ることが至上命題であり、そのためには予算はいくらかかってもいい、というくらいの思いを持った大きなプロジェクトだったんですよ。そうして発案されたのがこの『エアースペース・インシュレーションシステム』だったんです。

理論上、空気は絶縁体としてもっとも理想的な物質ですが、製品化するにあたっては、もっとも現実的ではない物質です。しかしながらこれが実現不可能だと思う者は、社内に1人もいなかったはずです。私自身も、信頼する技術者がこれをやると言っているのだから、必ずや完成するだろうと思っていました。

とはいえ、期日に間に合うかどうか、相当に気をもみましたね(笑)。発表する日程が決まっている中での開発でしたから」

■「進化することを諦めず、これからもチャレンジを続けていきたい」

水口氏の心配をよそに、50周年限定モデルは無事に完成をみる。

「製品は、発売開始して早々に売り切れました。予想以上の反応を得られましたね。そして『エアースペース・インシュレーションシステム』もまた、その後のレギュラー製品に落とし込まれています。2014年7月から発売されているラインケーブルのフラッグシップモデル『AT-RX28』に、これが搭載されています。

なお、『AT-RX28』は50周年限定モデルからのさらなる進化も遂げています。ハイブリッド構造が、『クイントハイブリッド』(5種類の素材からなる構造)にまで行き着きました。『クイントハイブリッド』は、『AT-RX28』と同時に発表されたスピーカーケーブル、『AT-RX17P』、『AT-RX17D』にも搭載させてあります」

ところでケーブルは、他のカーオーディオユニットと比べて、基本構造が至って単純だ。技術としては、成熟しきっているようにも思えてしまう。今後、さらなる進化は有り得るのだろうか。

「確かに信号を流すだけのものですし、設計も比較的にシンプルです。しかし、手をかければかけただけの答が出てきます。まだ手を付けていないアプローチも数多く存在していますし。メーカーとしては進化を止めるわけにはいきません。前向きな気持ちで、今後も新しいもの、より優れたものを出し続けていかなければならないと考えています。

進化することを諦めず、これからもチャレンジを続けていきたいですね」

2002年のシリーズ誕生から15年。「audio-technica」のハイグレードライン『Rexat』シリーズは、今後もマニアを驚かせる新機軸な製品を輩出し続けていくに違いない。愛車のオーディオシステムのクオリティアップを検討する際には、『Rexat』という選択肢があることを、くれぐれもお忘れなきように。

《太田祥三》

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