名インストーラーに訊く。DIATONEスピーカーの魅力とは… <後編> | Push on! Mycar-life

名インストーラーに訊く。DIATONEスピーカーの魅力とは… <後編>

カーオーディオ 特集記事

“アンティフォン”デモカー、「ポルシェ・マカン」に搭載されたDIATONEスピーカー『DS-SA1000』。
  • “アンティフォン”デモカー、「ポルシェ・マカン」に搭載されたDIATONEスピーカー『DS-SA1000』。
  • “アンティフォン”代表、松居邦彦氏。『第3回ハイエンドカーオーディオコンテスト』会場にて撮影。
  • “アンティフォン”デモカー、「ポルシェ・マカン」に搭載されたDIATONEスピーカー『DS-SA1000』。
  • “アンティフォン”デモカー、「ポルシェ・マカン」に搭載されたDIATONEスピーカー『SW-G50』(サブウーファー)。
  • “アンティフォン”デモカー、「ポルシェ・マカン」に搭載されているパワーアンプ。
  • “アンティフォン”デモカー、「ポルシェ・マカン」。『第3回ハイエンドカーオーディオコンテスト』会場にて撮影。
  • DIATONE・DS-SA1000
  • DIATONE・SW-G50
黎明期からカーオーディオに携わってきた名インストーラーの1人である、石川県の有名オーディオプロショップ“アンティフォン”の松居邦彦氏。松居氏は当サイトでのコラム執筆ライターでもあり、コラムは名物コーナーともなっている。

その松居氏に今回は筆を休めていただいて、久々に取材協力をお願いし、愛用のDIATONEスピーカーについてたっぷり話を訊いてきた。記事は、「前編」と「後編」からなる2部構成でお贈りしている。「後編」となる今回は、『DS-SA1』への思い入れや、新フラッグシップスピーカー『DS-SA1000』の分析等々を、じっくりとお伝えしていく。


■『DS-SA1』は、音楽の“浸透力”、“押し出しの強さ”が違っていた。

松居氏は従来のフラッグシップ機『DS-SA1』に惚れ込み、これを長い間自店のデモカーに搭載していた。当機を核としてさまざなパワーアンプを試したり、純正オーディオを活用するシステムレイアウトを実験するなど、いろいろな挑戦も実行してきた。

さて、前回の記事ではこれを使うことにした理由までをお伝えしたのだが、その中で『DS-SA1』では、DIATONEならではの“B4Cピュアボロン”製トゥイーターが進化していたとの話が出た。それはどのような進化だったのだろうか。

松居「より“ワイドレンジ”になっていたんですよ。かつては、ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、5kHzとか8kHzといった高めで使うイメージがあったんですが、『DS-SA1』では1kHz台まで下げられました。その点では使いやすいスピーカーとなっていましたね。

ところで、カーオーディオでは、国内、海外問わず、トゥイーターの再生帯域を下げようとするチャレンジングが、いくつかのメーカーで行われています。新たなDIATONEからも進化しようとする意欲が感じられました。変わろうとするその意欲自体からも刺激を受けましたね。

僕は音楽に対してもそうなんですが、進化していくものに惹かれる傾向があるんです。JAZZに傾倒して聴いていた頃もそうでした。

もちろん音的にも進化していました。DIATONEらしい緻密さがさらに向上していて。詰まっているんですよ。打球が詰まる、の詰まるではなくて、ギュッと凝縮しているという意味のほうです。

結果、音楽の伝わり方が他とは違っています。例えばマイルス・デイビスのミュートトランペットの音色が濃くて、音楽的なインパクトが強まる。演奏の“浸透力”や“押し出し”が強いんです。そういうところは、このスピーカーならではでしたね」


■新たなチャレンジングによって生まれた独自素材『NCV』に可能性を感じて…。

さて、新フラッグシップスピーカー『DS-SA1000』に対してはどのような印象をお持ちなのだろうか。

松居「進化を遂げていましたが、『DS-SA1』はかつてのDIATONEの延長線上にありました。空冷ポルシェの最終型、というような。それに対して『DS-SA1000』は、水冷エンジンに変わった後の、その中での最高峰、そんな印象です。

DIATONEは『DS-SA1』を出した後に、『DS-G50』を、その後にサブウーファー『SW-G50』を、そしてまた『DS-G20』、『DS-G500』と新たな2ウェイコンポーネントスピーカーをリリースし続けてきたわけですが、これらにはすべて、独自開発された新素材、『NCV』(カーボンナノチューブを樹脂に配合した射出成形可能な新材料)が使われています。これらは言わば、新たな水冷ポルシェの名車たち、というわけです。

僕は、『NCV』は凄い素材なんじゃないかと常々感じていました。というのも、『NCV』はデジタルチューニング時代にマッチした素材だと思えていて。

例えばカメラの世界では、“良いところはそのままに、悪い部分を引き上げる”というやり方で補正が行えるようになりました。従来の光学式のカメラでは、“良いところを悪いところに近づける”やり方しかできなかったこともあるのですが。

『NCV』が使われているスピーカーでは、デジタルチューニングを上手く使うことで、良いところはそのままで苦手な部分だけを良くしていけるという側面も持っています。

ある種の潔さがある。これまでの常識には囚われていない、まったく新しいチャレンジングによって生まれた素材だと、僕は捉えているんです。そういった部分に僕は、好印象を感じていました」


■『DS-SA1000』には、2ウェイが抱えていた欠点がない。

ところで、先の『ハイエンドカーオーディオコンテスト』の「ディーラーカー部門・ディーラーデモカークラス」で4位入賞を果たした“アンティフォン”のニューデモカー、ポルシェ・マカンのスピーカーレイアウトは、フロント2ウェイ+サブウーファーだ。現在のサウンドコンペティション戦線では、圧倒的にフロント3ウェイが支持されている。その中で松居氏は、敢えてフロント2ウェイで臨んでいるわけだ。その心をお訊きした。

松居「3ウェイが有利である最大のポイントは、ミッドウーファーが分割共振を起こしてしまうことに対処できるところにあると考えています。通常のミッドウーファーは、1kHzを超える周波数帯域の音を出すために高速に動こうとすると、どうしても振動板がたわんだような動きをしてしまうんです。そうなると、その部分の位相が狂ってくる。だからスコーカーにそこのところを任すわけですね。

ちなみに『DS-SA1』ではトゥイーターがワイドレンジだったので、ミッドとのクロスポイントを低めに設定できました。なのでスコーカーを使わなくても大丈夫でした。しかしながら、逆に超高域再生は苦手だと捉えていたのでスーパートゥイーターを使っていたのですが。

『DS-SA1000』では上はかなり伸びるようになりましたので、スーパートゥイーターは必要なくなりました。しかしながら以前より、トゥイーターとミッドウーファーのクロスポイントも上がっています。でもミッドウーファーが分割共振しないので、スコーカーも必要ないままです。

結果、3ウェイに比べてクロスポイントが1か所減りますから、むしろ高音質を得るためには有利になりました。音が濃密であることなど良さは変わらず、理想的なスペックも持ち得ている。『DS-SA1000』は本当に画期的なスピーカーです」


■『DS-SA1000』を鳴らすのに、必ずしも高額なパワーアンプでなくても良い。

最後に、『DS-SA1000』に対して感じている可能性についてもお訊きした。

松居「『DS-SA1000』は決定版的なスピーカーだと思っています。唯一弱点があるとすれば、価格が高いこと(笑)。

ところで、高級なスピーカーを使う場合、組み合わせるパワーアンプもそれに見合った高級品を、というように考えられがちですが、『DS-SA1000』を使うときには必ずしもそうではないと、僕は考えています。

『DS-SA1000』と価格的なバランスを取ろうとすると、それなりの高額アンプが必要になってしまうわけですが、そうではなくて、例えば『DIATONE SOUND.NAVI』の内蔵アンプで鳴らすのでも良いと思うんですよ。スピーカーは3ウェイを買ったと思ってがまんして(笑)、しかしそれ以外には予算をかけないというやり方でも、結構いけるんじゃないかと。特にこの組み合わせならばなおさら。

カーオーディオは趣味の世界ですから、スピーカーはこれでなければだめだと言うつもりはまったくありません。例えば、アメリカの音楽が好きなので、その良さはアメリカのスピーカーじゃないと出せないとか、そういう考え方もありますから。JAZZに傾倒していた頃の僕も、そういう感覚を持っていました。

なので、『DS-SA1000』がもっとも優れたスピーカーだとは、言うつもりはないんです。ただ、普通は3ウェイでなければできないことが2ウェイでできるレベルに達していることは、紛れもない事実です。

当分はこれを使い続けると思います。『DS-SA1000』はこれからも、僕を楽しませ続けてくれるでしょうね」

今回のインタビューは以上で終了だ。実際にポルシェ・マカンの音も聴かせていただいたが、サウンドの濃密さと音楽の説得力には特に、格別のものがあった。もしも“アンティフォン”まで足を伸ばせる場所にお住まいならば、聴きに行かれることをぜひともお薦めしたい。

さて、松居氏には今後も、当サイトでのコラムを引き続き執筆し続けていただく予定だ。このポルシェ・マカンの製作記の顛末にもご期待いただけたら幸いだ。
《太田祥三》

関連ニュース

特集

page top