気鋭のジャーマンブランド、グラウンドゼロから放たれる注目のミドルグレード・パワーアンプ、『GZHA』シリーズ & 『GZNA』シリーズ。それぞれの実力を探るべく、いち早く試聴取材を敢行した。先週の概要紹介に引き続き、今週からはいよいよインプレッションをリポートしていく。
早速、試聴インプレッションに入っていきたい。まずは試聴環境からお伝えしておこう。
PCをソースユニットとし、そこからDACを経てパワーアンプに信号を送る。プロセッサーは介在させずに、直にスピーカー付属のパッシブクロスオーバーネットワークに繋げスピーカーを鳴らすというシンプルなシステムだ。スピーカーは相性を考えてグラウンドゼロを使用。セカンドグレードである“GZPC”シリーズの2ウェイコンポーネント『GZPC 165SQ』(税抜き価格:22万円)を、特製のシールドボックスで鳴らした。
使用ケーブルはすべてモンスターカーオーディオ。パワーケーブルが『MCA PF4』(税抜き価格:3000円/m)、RCAケーブルが『MCA 450i-3M』(税抜き価格:1万5000円/3m・2ch)、スピーカーケーブルが『MCA 350S12』(税抜き価格:1500円/m)という陣営だ。
今週は、4cモデル『GZHA 4200XII』のインプレッションをお伝えしようと思う。概要をおさらいしておく。価格や出力は以下だ。
GZHA 4200XII
4ch(4/3/2ch)パワーアンプ(税別価格:6万2000円)
定格出力:140W×4(4Ω)
そしてそれを聴く前に、同ブランドのエントリーモデルの音を確認しておいた。試聴したのは以下だ。
GZIA 2235HPX
2ch(2/1ch)パワーアンプ(税別価格:2万5000円)
定格出力:150W×2(4Ω)
エントリーグレードだが2chモデルなので、同シリーズの4chモデルに対して、より音質が優先されたモデルだ。1chあたりの出力は『GZHA 4200XII』よりむしろ大きい。ちなみに1chあたりの価格をみると、『GZIA 2235HPX』が1万2500円、『GZHA 4200XII』が1万5500円。1chあたりの価格の開きはそれほど大きくはない。
で、『GZIA 2235HPX』。このモデルは、ディストリビューターであるイース・コーポレーションが年末に発表した、同社取り扱い製品の実売数ランキング【CAOTY2015】でも上位入賞を果たした人気モデルだ(2chパワーアンプ6万円未満部門で第2位)。
多くのユーザーに選ばれているだけあって、確かなサウンドを聴かせてくれた。今回はスピーカーもグラウンドゼロで統一しているので、よりグラウンドゼロらしいサウンドが堪能できた。同社の製品はやはり、低域に魅力がある。しっかりと量感を出しながら、太く低く、かつ躍動する低域が聴ける。このアンプもそのサウンド傾向をしっかりと表現していた。レンジも広く、下から上までバランスよく鳴らしている。
余韻の美しさにも特長があるように感じた。各楽器の音色を雰囲気良く鳴らし、それぞれの響きがきれいだ。それでいて、全体の立体感もしっかりと表現している。にじんで聴こえるというわけではない。
改めて、人気に秘密を再確認できた。
そのままのセットで、パワーアンプを『GZHA 4200XII』へと交換していただいた。先にも書いたように、1chあたりの価格はそれほど大きく違っていないので、音の変化量もさほどではないだろうと思いきや…。
音質向上幅は、価格の上昇率よりも明らかに広い。これは良いアンプだ。
『GZIA 2235HPX』は余韻や響きの美しさに特長があったが、当機はその部分はむしろ薄まって、全体がシャキッとした印象。音の輪郭がさらにシャープになっている。比べてしまうと『GZIA 2235HPX』は音像が緩やかだったのかもしれない(味として悪くはなかったが)。結果、全体的にヌケがよく見通しが良い。各楽器の音色の粒立ちも上々だ。
1chあたりのパワーは、スペック的には当機のほうが10Wほど小さいのだが、制動力はむしろ高まっている。低域も低く太く再現するが、そこに機敏さも加わり、音楽の躍動感が向上している。
外観も上級機譲りの高級感あるフォルムであるし、総合力の高さを感じる。コストパフォーマンスは高い。これは人気が出ること間違いなし、だ。
さて次週は2chモデルの『GZHA 2400XII』のインプレッションをお届けする。当機に比べて1chあたりの価格は倍増するわけで、そのあたりが音にどのような影響を与えているのか…。
次週まで楽しみにお待ちいただきたい。