イース・コーポレーションが発表した『カーオーディオ・オブ・ザ・イヤー2014』。イース・コーポレーションと言えば、多くのカーオーディオブランド & アイテムを取り扱っているトップ・ディストリビューターだ。その同社が展開する多彩なユニットの実売台数ランキングが、【CAOTY2014】。このランキングから見えてくるものとは…。
http://www.escorp.jp/info/20149653
先週は、「2chパワーアンプ6万円未満部門」のランキング分析を行った。今週と来週の2回は、「同6万円以上部門」を見ていきたい。
ところで【CAOTY2014】には合計24の部門が存在している。その中でパワーアンプは、「2ch」「4ch」「多ch」「1ch」とch数で4部門に分けられ、さらにそれぞれが価格帯で2ないし3部門に分けられている。「2ch部門」では、税抜き価格6万円でラインが敷かれ、それを境に2部門が設定されている。
つまりは、「エントリーグレード部門」と「それ以外」に分けられているのだ。ということでこちらの「6万円以上部門」は、言ってしまえば『無差別級』。幅広い製品が対象となっている。
その前提を踏まえ全体を見てみると…。
10位までの内訳は、10万円以下のモデルと、10万円未満のモデルが5台ずつ。高価なモデルも結構売れているのである。さらに言えば、20万円以上のモデルが5台中3台もある。良いものならば、高額な製品でも数多く売れる、というのが今のカーオーディオ業界全体に言えることなのだろう。
ブランド的に見ると、ロックフォードとグラウンドゼロ、この2社が抜けている。ロックフォードは、パワーシリーズの2モデルが3年連続で、ワン・ツーフィニッシュ。ロングセラーを続けながら上位をキープし続けるのは凄い。性能が確かである証拠だ。そしてそれ以外でも3モデルがランクイン。ロックフォード強し、である。
そしてグラウンドゼロ。日本に紹介されてまだ2年ほどの新進ブランドでありながら、ベストテンに4モデルも送り出しているとは…。そしてそれらはすべて10万円以上(1台/10万円台、1台/20万円台、2台/30万円台)。大健闘と言っていい。
さて、上位5位までのモデルの音をじっくりと聴かせていただいてきた。それぞれ、どんなところが支持されているのか、詳細に分析していく。今週は5位と、4位のモデルにスポットを当てる。
第5位
グラウンドゼロ『GZPA Reference 2T』
本体価格:36万円
パワーアンプでは4シリーズをラインナップしているグラウンドゼロ。その中の通常シリーズ中最高グレードにあたるのが、この“リファレンス”シリーズだ。
ちなみに当シリーズ中に2chモデルは3機種あり、その中の2機種が同価格(最高価格)。当機と『Reference 2』の2モデルだ。2機種での大きな違いは内部の回路。『2T』ではプリアンプ部に真空管が使われていて、『2』では真空管は使われていない。出力も大きく異なっていて、当機は定格150W×2ch(4Ω)、『2』では同420W×2ch(4Ω)。ちなみ『2』も7位にランクしている。どちらも人気モデル、というわけだ。
音を聴いて納得だ。このモデルが人気を集めている理由は、音質性能が高いから、に他ならない。独特のボディカラー、また裏側がスケルトン仕様になっていることなど、ルックス面にも特長があるが、それだけで売れる価格帯でもない。ベスト5の他モデルと比べ価格は図抜けているが、音もそれに比例している。情報量の多さは明らかに別格。とにかく音がきめ細かく繊細。低域も上質だ。グラウンドゼロのパワーアンプは、エントリーモデルでも低域のエネルギー感に特長があったが、こちらでも低域の心地良さが印象的。芯があり、低く硬く、それでいて弾力感がある。
全体的な立体感の表現も申し分ない。そして、真空管モデルらしく、音が温かく柔らかい。このモデルでしか聴けない世界感をも持ったアンプだ。『2T』と『2』のどちらを選ぶかは、この部分に対する好みで分かれるのだろう。
第5位ということは、相当数のユーザーがこのモデルを手にしていわけだ…。いやはやうらやましい限りである。
第4位
ロックフォード・フォズゲート『P500X2』
本体価格:6万円
ロックフォードの『パワーシリーズ』がワン・ツーをキメるのを横目に、『パンチシリーズ』のモデルもしっかりと第4位にランクインした。
ちなみに、第2位の『T400-2』と当機の税抜き価格差は、わずか4000円だけ。あと4000円出せば上級モデルが手に入るのだ。定格出力を比べてもそれほど差はない。当機は150W×2ch(4Ω)、『T400-2』は120W×2ch(4Ω)。そう考えると、当モデルの立ち位置も微妙な気もするのだが、堂々の第4位。確実に支持を集めている。
やはりこちらは『パンチシリーズ』における2chモデル中“最上位”機種。シリーズ最強であるところが高い訴求力を持っているのだろう。
フォルムにも風格がある。しっかり感のある大きさで、カスタムインストール派にはこの部分は大切。さらに、ロックフォードの『パンチ』という名前には伝統と格式がある。『パンチ』ファンが多く存在しているのだろう。
さて、その音だが…。
ロックフォードのイメージどおりのサウンドだ。この音なら『パンチ』ファンを裏切ることはないと断言できる。ドライでソリッド。低域のドライブ感もさすが。そして、同じく『パンチシリーズ』の『P300X2』『P400X2』と比べ、ぐっと質感が向上している。音のエッジもはっきりしていて、全体のヌケも良い。『パンチシリーズ』同士で聴き比べたら、多くの人がこのモデルをほしくなるだろう。ちなみに『パワーシリーズ』と比べて、こちらのほうが新しい。音的にも、より現代的なイメージが感じられる。洗練された印象があるのだ。グレードが下というよりも、別シリーズ。これはこれなりの存在感、魅力を持っている。『パワー』を選ばず敢えて『パンチ』を。そういう選択肢も十分アリだ。
さて、次週は「2chパワーアンプ6万円以上部門」のトップ3のインプレッションをお伝えしながら、ランキング分析をさらに深めていく。お楽しみに。