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第6章 『ハイレゾ』とは何か その魅力、可能性について考える Part.1
昨今耳にする機会が増えてきた『ハイレゾ』という言葉。すでにホームオーディオでこれを楽しんでいる読者もいることだろう。しかし、言葉は聞いたことがあってもその意味までは知らない…、という方もまだまだ多いはず。これが何で、そしてその可能性とは…。そこのところを松居さんがわかりやすく解説してくれる。じっくりとお読みいただきたい。
カーオーディオではまだ本格的には導入されていないが、最近現実的になってきた「ハイレゾ再生」について触れたいと思う。
ハイレゾとはハイレゾリューションの略称で、CDが44.1kHz/16bitであるのに対し、96~192kHz/24bitなどのリニアPCMまたは、CDの64倍高速サンプリングのDSDといったスーパーな音源のことで、一部のマニアの中で少しずつ広がっていた。コンピューターを利用し、ダウンロードした音源を、USB入力が備わっていてハイレゾリューションに対応したD/Aコンバーターで再生する方法であり、PCオーディオと呼ばれている。
30年間CDがメインパッケージだった間に、録音機材は休まず進化を続けていた。「宅録」(個人レベルで使用するMTR)ですら、96kHz/24bitが今の常識で、レコード会社に至っては192kHz/24bitまたはDSDがマスターである。録音と再生との関係において、アンパランスが発生しているのである。それをバランスさせるさせる存在がハイレゾ音源であり、対応オーディオ機器、というわけだ。
ヘッドフォンステレオが主流になり、iTunesからダウンロードした圧縮音源と比較したら、CDはHi-FiでありAUDIOの主役であり続けることが出来たのかもしれない。しかし、主役を明け渡さなければいけないタイミングがやってきたのである。
ちなみにこれまでもCDから主役の座を奪おうとする勢力はあった。次世代SACD(スーパーオーディオCD)や、DVD-Audioがそれだが、これらはすでに勢いが弱まっている。CDに取って代わるまでには至らなかった。
ところで、ブルーレイ音声は96kHz/24bitのハイレゾ・マルチチャンネルである。
そんな中、2006年にスコットランドのオーディオメーカー「リン・プロダクツ」は、自分たちが運営するレーベル「リン・レコード」で、スタジオマスターのハイレゾ配信をスタートさせ、2007年このファイルを再生出来るDS(デジタルストリームプレーヤー)を発売した。
【参照リンク】Linn Records - The Super Audio Collection Volume 5 Sampler
2009年にビートルズのデジタルリマスター盤BOXCDが発売になった時、同時に24bit版USB「リンゴUSB」が発売され、話題になった。
これがハイレゾを一般に知らしめるきっかけだったように思う。「ハイレゾのスタートもビートルズだった。」
リン・レコードに加え、アメリカではチェスキーレコードが運営するサイトや、日本ではe-onkyoがハイレゾ音源を配信してきたが、今年の秋からはSONYミュージックもmoraから、ハイレゾ配信をスタートさせるらしい。
【参照リンク】HDtracks high resolution audiophile music downloads
【参照リンク】ハイレゾ音源配信サイト【e-onkyo music】
これに合わせソニーは、高級プレーヤー、ミニコンポ、ウオークマンまで、ハイレゾ対応の機種を発売する。とてもわくわくする話ではないか。
一気にハイレゾの勢いが加速することを期待している。
次回は、ハイレゾになると音楽はどう聴こえるのかについてお話しさせていただこうと思っている。