サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #41: 第5章 開催間近のパイオニアカーサウンドコンテストに寄せて Part.1 | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #41: 第5章 開催間近のパイオニアカーサウンドコンテストに寄せて Part.1

#41:
第5章 開催間近のパイオニアカーサウンドコンテストに寄せて Part.1

カーオーディオ カーオーディオ特集記事
サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』


#41:
第5章 開催間近のパイオニアカーサウンドコンテストに寄せて Part.1


今回の当コーナーは、目前に迫ったパイオニアカーサウンドコンテストについて、松居さんに語っていただこうと思う。毎年さまざまなドラマが展開される同コンテスト。今年はどんなドラマが待っているのだろうか…。


パイオニアカーサウンドコンテストが間近に迫ってきた。参加される方々は、楽しみであるのと同時に今は調整追い込みの真っ最中であるのではないかとお察しする。

今回は、このコンテストの意味合いや面白さについて思ったことを綴らせていただこうと思う。コンテストに向けての期待感が盛り上がったら幸いのだが…。

僕はこのコンテストには第1回からすべてにエントリーしている。

このコンテストは、販売店の調整能力の向上を目的に開催されたたもので、審査も音楽再生能力に絞った内容で、参加者もカロツッェリアXディーラーデモカーのみであった。

ところで、パイオニアカーサウンドコンテストの第1回が開催された当時、詳細で良く考えられたレギュレーションで、カーオーディオをトータルで審査する「IASCA」が日本でもスタートし、話題になっていた。そのことも1つのきっかけになったのだろうと思っている。競い合うことで技術を磨き合うというそれまでにはなかった方法は、とても新鮮に受けとめられていた。

「IASCA」は、オーディオシステムの取付技術を含めトータルで審査する競技で、オリンピックの採点競技のように、こと細かに採点基準が定められていて、取付の正確さ、美しさも審査された。音質においてはスペクトラムバランス、ダイナミックレンジ、定位など、各パート毎にテストシグナルや課題トラックが決められていて、冷静で的確にオーディオシステムの性能を審査できる仕組みになっていた(特別に作られたジャッジングCDを使用して審査を行う)。

取付技術で優位な部分は、音質審査のアドバンテージになり、その逆もあり、幅広く洗練されたルールになっていた。

審査員は資格試験(ルールについて理解する)にパスした人が行い、このルールにおいて審査を行えば、安定した結果が得られるように仕組まれていた。

それに対しパイオニアが始めたコンテストは、「料理の鉄人」のようなコンテストで、料理記者歴30年とか、魯山人の孫といったのと同じで、オーディオ記者歴30年、世界で成功したオーディオデザイナーと親好があったりするような、日本のオーディオ界において、最も思慮深い重鎮の方々を審査員に招き、オーディオ装置の「音楽的表現力」を評価してもらうという内容である。

またそれは、カーオーディオとしてというのではなく、家庭用ハイエンドオーディオと同じ価値基準で審査することで、家庭用ハイエンドオーディオに追いつき、そして追い越すチャレンジを意味していた。なので審査員の中には、クルマの免許を持っていない方もおられる。

課題曲も一般的に発売されている音楽CDを用い、個人の直感的な印象(第1印象)を含めコンセプトの実現性などを個人の裁量で審査するというルールである。

この方法は、審査員個人の裁量に多くを委ねることになるのだが、そこにはそれだからこその面白みがあると思う。その時々の音楽シーン(流行)やオーディオへの価値基準が反映していて、それを改めて感じられることは、オーディオ業界に生きる1人としてとても刺激になる機会である。

そんなパイオニアカーサウンドコンテストが、今年もまたやってくるのだ。

さて次回は、これまでの歴史を振り返りながら、そのときどきで感じたことを綴ってみたいと思う。

《松居邦彦》

特集

page top