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サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 #10: ダイヤトーン Part.4

#10:
ダイヤトーン Part.4

カーオーディオ カーオーディオ特集記事
サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』


#10:
ダイヤトーン Part.4


前回までは、ダイヤトーンのフラッグシップスピーカーについて、松居さん一流の解説を展開していただいてきたが、今回は話題の新作、DS-G50 & SW-G50について♪ これらの「期待値」を、じっくりと綴っていただいた!

DS-G50 & SW-G50について、僕なりの感想をお話しする。ところで、前回までにお話ししてきた、DS-SA1 & SA3は、DIATONE伝統の技術を復活させた製品である。基本設計は、90年代のDS-10000までさかのぼる。2wayのみという思想も、DIATONEが培ってきたモニタースピーカーでのこだわりであったのだろうと理解している。

2006年の復活に際し、カーオーディオの環境が、モニタースピーカーの環境、つまり『ニアフィールド』再生に似た環境であることから、本来の価値を評価されやすいのではないか。また、カーオーディオユーザーにはHi-Fiを指向する人も多く、そういった人々が価値を理解してくれるのではないか、と考えたのだろう。その考えは少なくとも僕にはストライクであった。

登場から6年が経った今でも、耳にタコができるほど聴き慣れたCDからも新しい発見をすることもあるほど、長く使っていて新鮮さを失わないスピーカーだ。


(サムネールはクリックで拡大。拡大後は写真右側クリックで進む:左側クリックで戻る)


ダイヤトーン Part.4#1

ダイヤトーン Part.4#2


そして、今回新しくDS-G50 & SW-G50が発売されたのだが、このシリーズは今までのDIATONEのシリーズとは少し雰囲気が違っている。

振動系の素材が『NCV』カーボン・ナノ・チューブなのだ。

これにはビックリした。現在F-1や航空機素材に使われている、カーボン繊維の次の世代の素材で、「宇宙まで伸びるエレベーター構想」や「送電ロスを減らす超伝導用素材」にも期待されている素材らしい。

この素材を「軽量と剛性」、「早い振動伝達と高い内部損失」、という相反する条件の中、これらを今までにない好条件で実現するスピーカー振動板素材として、世界で初めて使用するというのである。オーディオ業界で生きる人間として少し鼻高々な気分になる。


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ダイヤトーン Part.4#1

ダイヤトーン Part.4#2

ダイヤトーン Part.4#3


音楽性は、SA1/3と比較するとS/N感やハイスピードな応答性を重視した部分は理解出来るが、音色感、「音楽の色彩感」は薄味であり少しモノトーンチックな雰囲気に感じた。

そうはいっても、サンプルとしてカロッツエリアP-01の付属アンプで駆動、といったような軽いシステムでの使用経験しか今のところないので、これからいろいろなシステムでトライアルする中でいろいろな発見をしてゆくことだろう。

さて、今回特に注目する製品は、サブウーハーSW-G50だ。

今までの低域再生の考え方といえば、f0の位置を低くするために、M(質量)を大きくし、それに見合った強力な磁気回路を組み合わせ、高出力アンプで駆動するという方式がスタンダードである。さらに、重い振動板が磁気回路からはみ出さないよう箱の中に入れ、スティフィネス(サスペンション)をコントロールする、というセッティング方法が取られてきた。

このやり方におけるデメリットは、能率が悪くなるということだけだ。

また、このスティフィネスを電気的に制御する方式としては、YAMAHA 「アクティブ・サーボ・テクノロジー」やヴェロダインなどが有名で、僕も今までこの方向で考えていた。


ダイヤトーン Part.4


そこにきて今回のDIATONEの提案は、『NCV』のメリットである「剛性 & 軽量」を最大現に生かす方法で、f0(最低共振周波数)以下をピストンモーション領域として積極的に使用するという思想である。これは昔のスピーカー(ウエスタン・エレクトリックやALTEC、アンティークJBL)にあった設計思想。アンプが真空管で高出力が難しく、スピーカーの能率を最優先させた考え方なのだ。

ヴェロダインがやっていたようなサーボコントロールを磁気回路でメカニカルに行い、スティフィネスのことも考えないで、デジタル・スピーカー・プロセッサーの機能(パンチEQみたいにLOWをブーストする)を活用し、未来の素材で空気を揺する。

「温故知新」。三菱DIATONE、なんともカッコイイことをやってくれたもんだ。DS-G50 & SW-G50、これからいろいろと試しながら、そして、長く使っていきたいと思わせてくれる、注目の製品である。

《松居邦彦》

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