【シトロエン C3 新型試乗】SUV化したボディ、初のプラットフォーム、そして装備の“取捨選択”…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【シトロエン C3 新型試乗】SUV化したボディ、初のプラットフォーム、そして装備の“取捨選択”…中村孝仁

のっけから車両価格の話で恐縮だが、新しいシトロエン『C3』車両本体価格を見て、その下に書かれたある文字が気になった。

自動車 試乗記
シトロエン C3
  • シトロエン C3
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のっけから車両価格の話で恐縮だが、新しいシトロエン『C3』車両本体価格を見て、その下に書かれたある文字が気になった。

そこには、「価格には経済変動加算額100,000円(税込)が含まれます」と書かれていた。この経済変動加算額って何だ?と思って公式ページを見てみると、以下のように書かれていた。「当社では、これまでお客様に安定した価格で車両をご提供できるよう努めてまいりましたが、昨今の急激な円安および製造・物流コストの高騰による厳しい状況に対処するため、2026年より経済変動加算額を申し受けます。」

正直、“?”と思った。だったら初めから車両本体価格を上げておけばそれで済むことじゃないの?それとも、車両本体価格を意図的に低く見せるために、こんな姑息な手を使うわけ?と、ちょっとムッとした。購入される人はもっとムッとするのではないかと思うわけである。

◆初のプラットフォームと“取捨選択”した装備

まあ、それはともかくとして、新しいC3は、同じステランティスの中でも、お初となるプラットフォームを採用しているという。もっともベースは以前から採用されている「CMP」と呼ばれるもので、これを新興国でも生産がしやすくするために、色々といじったそうだ。電動化などに対しては、最新事情にマッチしたものが取り入れられていると思うが、要は生産をしやすくしたということ。だから、プラットフォームに関しては、従来よりも簡略化しているのかもしれない。

てっきり先日試乗をしたプジョー『208ハイブリッド』と同じかと思ったら、そうではないという。その代わりと言っちゃなんだが、シトロエンお得意の、ダンパーの中にもう一つダンパーを入れた「プログレッシブハイドローリッククッション」を装備して、乗り心地の向上を図っている。

どうも、「新興国」という言葉が引っかかってしまうのだが、そんなものは使わないだろう…という装備は見事に省いている。例を挙げれば、208には装備されていたドライブモードがない。それに同じく208に装備されていたパドルシフトもない。まあ、この二つはどうしてもなきゃダメ、というわけのものではないのだが、なんと、エンジンスタートは昔ながらのキーシリンダーにキーを挿して、それを捻る方式。なんだか20世紀に戻った印象である。この鍵を採用しているおかげで、クルマを降りた時の施錠も、ドアに付く特定の部分を押したりする方式ではなく、昔ながらのリモコン方式。なんかこう、新しいはずなのに、ちっとも新しくない。

ステランティスの新たなMHEVは、基本的に他のモデルと共通だった。即ち、1.2リットルピュアテックの3気筒エンジンと、トランスミッションの中に電動モーターを仕込んだ、6速DCTとの組み合わせである。プジョー208に乗った後にこのクルマに試乗したが、プジョーで非常に気になった高周波のノイズは、しっかりと抑え込んでいて、これはさすがに新しくなったおかげなのかとも思えた。

◆SUV化したボディ

「シトロエンよお前もか」ではないけれど、C3のコックピットはプジョーのiコックピット同様、メーターパネルをステアリングリムの上から見る方式になった。もっともメーターは、ダッシュボードの最上階に、横方向に展開されるデジタルディスプレイを見る形であって、プジョーのようにメーターナセルがあるわけではないから、iコックピットほどの違和感はない。

先代のC3に比べて、ボディは少し大きくなった。というよりも単刀直入に言えば、SUV化した。顕著なのは車高が従来よりも、先代最終型と比較して95mmも高くなって、1590mmになったこと。残念ながら立体駐車場はアウトである。車体がコンパクトだから、立駐不可は都内在住者にとっては諦める要因の一つになり得る。一方で、当然ながら室内の開放感は向上していて、まさに痛し痒しである。

このクルマのカラーマテリアルフィニッシュ(デザインの一部)を担当したのは日本人女性で、某日本のN社から移籍した方だそうである。明るくて開放的に室内は、個人的にお気に入り。

それにしてもシトロエンのロゴである、ダブルシェブロンのデザインはボディのいたるところに散見されて、少々やりすぎの感も否定できない。おまけに新しいエンブレムは、創業当時のイメージに仕立てオーバル型になった。フロントもリアも、それをちゃんと見せるために、意図的に垂直につけられている。斜めに見ると楕円ではなく円形に見えてしまうからだとか。それでフロントエンドのデザインが屹立した。

◆肝心の「プログレッシブハイドローリッククッション」は

ドライブモードがなくても、正直、走りには大きな影響はないのだが、肝心なプログレッシブハイドローリッククッションの良さが、このクルマではそれほど強調されておらず、何だ「208と大して変わらないじゃん」というのが個人的な印象。やはりコンパクトカーではそれを使ったところで限界があるのか?と思えた。

今回の試乗ではあまり高速を使う機会が少なく、燃費は思ったよりも伸びず17.5km/リットルであった。まあ、それでもプジョーよりはだいぶ良いので、良しとしよう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

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